帰宅
夕食時。ダンボールに詰まっていた荷物を悲鳴混じりに取り出して全て綺麗に整理整頓したあとの食事ということもあってか、鯖の味噌煮が格段に美味しいような気もした。これは龍馬さんオリジナルなのだろうか、味噌が甘く、それでいてご飯が恋しくなるくらいに辛味を孕んでいる。
「仕事だ!」
タンポポの宣言に、食卓が沈黙する。味噌ダレで口元をベタベタにしていた百華の顔を拭いていた輪廻さんも、その手を止めていた。
龍馬さんが米を口に運び、噛んで飲んでから話す。
「いつ?」
「今日。飯食ったら」
「誰が行く?」
「俺と、慧と、輪廻と、百華と、お前」
「箸で人を指すな」
龍馬さんは不満げだ。案外、テーブルマナー等にはこだわる人なのかもしれない。注意されタンポポは一切意に介すことなく、快活な声を上げて説明する。
「慧が新しく入ってきたからな。俺達の仕事ぶりを見せて、ここでの生き方に慣れてもらう」
ここでの生き方とはなんだろうか。私が疑問に思うよりも早くタンポポは夕食を素早く胃中へ叩き込み、片付けを始めだした。晩御飯終盤ということもあって、みんなも各々のタイミングで食器を片付けはじめる。
「俺たちが端役を倒す仕事をしているってのは、確か前にも言ったよな」
タンポポに確認されたため、私は首肯する。
「それを、実際どんなふうにやってるのかを見てもらおう」
「それはいいけど」
私は言葉に詰まる。
「私は仮面なんて出せないし、特技もないから襲われたら死ぬけど」
「大丈夫だ。お前は襲われない」
一体どこからそんな自信が湧いて出てくるのだろうか。タンポポは私に言い聞かせるように、もう一度「大丈夫だ」と言った。
書いておいてアレですが、自分でも思わず「短っ」と思ってしまいました。ですが区切りとしてはちょうどいいので今日はここまで。これを読むことを日課にしてくださっている人はいらっしゃるのだろうか。もしいたら、泣きます。