嫌われ勇者
三日前、僕は勇者なる存在になりました。
二日前、小さな国の王様と面会しました。
昨日、謎の刺客襲われ(王家の紋章付き)危うく命を落としかけました。
そして今日、僕は本物の勇者(なぜか鷲の姿)と会話をしているのであった。
「すまん、すまん」
と、わしは悪びれたそぶりもなく、陳謝してきた。その声は、どうやら俺にしか聞こえないらしく、この部屋に来るまでに何度も謝られたのだが、そのたびにずっと無視していた。
「もう、どうでもいいよ・・・・・・」
僕の頭の中は、一昨日の王様との面会にさかのぼっていた。
正面に王様らしき人。なんだか、とても偉そうな態度だった。その隣に女王様らしき人。それから周りには、護衛だろうか、七人の人物がいた。合計九人の人物が僕を睨んでいた。
なんというか、ものすごく敵意を持たれている気がしてならなかった。視線という視線が。雰囲気という雰囲気が痛かったから。眼球サイズの穴が体中に開きそうだった。
もともと、対人の免疫が少ない(要するに人見知り)の僕には地獄のような苦痛だった。
「どうして、勇者が嫌われ者なんだよ。」
僕の知識では、勇者というのは国王の最終兵器のような存在のはずだ。ゲームだけはやりこんできた僕だ。