3話 メイガスの教育(1)
「それでは、本日の授業を始めるとしましょう」
メイガスの言葉に机上の本を開いて返す。
別棟最奥の古びた図書室、僕用に与えられた学び場はここらしい。とはいえ、メイガスも苦々しげに場所を伝えてきた当たり、本来なら今のような場所では教えないんだろうな。監視の目を隠しやすい時点で当然の配置か。
「メイガス、僕に対して遠慮はいりませんよ。王になるかは別としても、貴方達の期待には応えたいと思っています。何を教えれば僕のためになるか、それだけを考えて教鞭を取ってください」
「承知致しました……では、基礎的な事から教えましょう。これは確認でもあるのですが、生きていくためには必要となるものですので」
やっぱり、父さんが絶賛する程の執事だ。
僕の言っている事を理解した上で、欲しい回答を出してくれる。ヒントは多く出していたにしても綺麗に返すなんて普通は出来ない。相手の表情を見て何を求めているのか、全てに気を向けた上で思考を回転させなければ出来ない芸当だよ。
「まずは地理的な部分から、ですね」
「へぇ……そうなんですね」
「はい、口頭よりも書面の方が分かりやすいでしょうから」
最初から他者に情報を与える気は無い、と。
しかも、全てが手書きとは……魔道具を使わないで作った感じからして、本気で僕用の教材セットを作ったのだろう。それに僕に渡せるように綺麗な時で簡潔にまとめあげている点からして……昨日はあまり寝て無さそうだな。
「分からない事があったら後で聞くから今は寝ていて構いませんよ。貴方が倒れる方が余っ程、この国にとっての損害となりますから」
「……承知致しました。お言葉に甘えましょう」
父さんの忠臣は揃って、僕の大切な人だ。
そんな人達を無碍に扱うなんて真似は、天国で僕を見守っている父さんへの冒涜になる。もっと言えば、王国はどうとでもなればいいが、母さんの敵になるような輩は全員、死ねばいい。こんな汚れた世界で美しく咲く花を愛でられないなんて地獄と変わりないだろうからな。
して、書面の内容だが……。
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・ランドリアス帝国
紀元201年より建国。現帝王は第二十三代、シーザー・E・ランドリアス。能力の高い者達を雇用しており、帝国への忠誠が無い者達を多く処刑している。別名として処刑王と呼ばれており、国家としては───
・ジグニエス魔法国家
紀元507年より建国。現魔法王は第十三代、ディディー・F・ジグニエス。他国とは代わり女性の王が治めている。その魔法への理解度や能力値はマーリンを超えている。同盟間での教養の学園を所持しており、軍事的な面では小国ながら他国を超えている。国家間としては───
……
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うーん、読む内容が多過ぎて困ってしまうな。
確かに情報を欲しいとは言ったけど……国の数だけで優に三十は超えている。本当にメイガスの持ちうる限りの情報を記入したんだろうな。まぁ、さすがに書類の量からして今ある時間では足り無さそうだけど、それに……。
「次はリーディス王国に関して、か」
色々と書かれてはいるが……今は無視だ。
自国の事だからか、かなり詳細に、それも国家機密に該当しそうな事まで書かれている。これは本当に他者には見せられないか。そこら辺をどうにかする手はあるし、そちらで誤魔化す事にしよう。
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