1話 気取り
「ふむ、貴公が次期王と名高き」
だだっ広い、大聖堂とも言えそうな空間。
本来ならば父が座っていた玉座にいたのは一人の神父だ。その不遜な態度からして王か、神にでもなったつもりなのだろうか。周囲にいる貴族や王族、兵士の大体は許しているようだけど……まぁ、僕を連れてきた皆は苦々しい表情をしているな。
こういう所が我慢できなかったのか。
それとも父さんを殺したのは目の前の輩達だからなのか、どちらにしても目の前の存在達は敵でしか無いだろうなぁ。とはいえ、それを明確にするのは後の話だね。今は僕を信じて連れて来た皆を笑えるようにしないといけない。
「して、本日は新たな王を迎え入れるために盛大な宴を」
「お言葉ですが司祭様、本日は私自身も到着したばかりの身。治めるべき地の状態も知らぬままで王として名乗ったところで民からは望まれぬでしょう」
「ふむ、ならば、何を望むというのかな」
はぁ、ここまで言って分からないなんてね。
この時点で貴族としてすら生きられない、狸にすらなれない可哀想な乳飲み子だ。うーん、色々な事を加味すれば三ヶ月は欲しい……ただ、それらを許されるとも思えないからな。減らして減らして、疑われないような期間とすれば……。
「二月後に民も楽しめるような盛大なものを開きましょう。新たな王は民を楽しませるような存在であると思わせれば、様々な点から自由に物事を動かしやすくなるでしょうから」
「なるほど……それは悪くないな。よい、そのように教会からも計らってやろう」
「は、ありがたき幸せ」
そうだ、そうやって……ふんぞり返っていろよ。
僕の行動を見て動き出そうとした輩がいたが、しっかりと止めてあげたからな。それに僕の声で理由を口にしてやったのだから上に立つ者達にも勝手に伝わるだろう。問題は目の前にいる神気取りの神父と周囲の義兄弟達だ。どれもこれもが僕に対して目をギラつかせている。
愚かだよなぁ……だって、コイツらは……。
「下がると良い。長旅で疲れたであろう」
「……感謝致します。今晩はゆっくりと休ませていただきます」
父さん、大丈夫だよ……僕は馬鹿では無い。
貴方の仇は取る。だけど、それに囚われる程の愚かさすら持ち合わせてはいない。でも、同じ場所へと届いた時には労って貰えるように動く。だって、父さんの忘れ形見が僕に従っているのだからね。
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