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恋と美容術で男爵令嬢は天下を取りに行く  作者: 乙巴じゅん
2章・美容術の対決だが相手は魔王エーアイのカガクを信じていた
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粘土美容術のソフィー

 市場へミナミダ伯爵家のオリビアが久しぶりに来た。

「おはよー、アカリーヌ様、マジ市場ね! 姫のビューティーコーナーにいるって。ちょーウケるんだけど!」

「はい。縁がございまして」

(それより、一緒にいるのは誰だろう。貴族ではないらしいけど)

 その女性はポニーテールでまとめた髪。シンプルなワイシャツに動きやすいようなキュロットスカート。

 相手とは挨拶も簡単に、オリビアが紹介してくれる。

「粘土美容とかでマジぱねぇ、ソフィー様連れてきたんだけど。可愛くなりたい人を応援してるんだー!」

「初めまして。わたくしがソフィーよ。あらあら、お店はこんな奥まったところにあるのね。これじゃあ、お化粧品も売れにくいでしょうねぇ」

「はい。あまりね」

(余計なお世話だって。なにしに来たんだよ)

「いまは商店街でのんびりと施術してますね」

「存じ上げておりましてよ、貴族様ってば、のんびりなさっていらっしゃるのねぇ。その、竜の涙とか仰るものでしょう? わたくしがもっと売れるようにして差し上げますわよ」

「ま、有難いことではありますが、お金がかかるとか」

(アーホカのやり方にこりてもいるし。粘土美容とは関係ないじゃん)

 それでもオリビアが話す。

「なんか粘土に竜の涙混ぜるとかマジ意味わかんねぇんだけど、ダチがあり寄りのあり! ま、今日それ買いに来たわけ」

「それならね。裏で湧いてますから」

(あ、言わないほうが良かったか)

「あら、湧水ですのね」含み笑いのソフィー。

「大地の恵みなのね。知ってますわ、粘土も同じこと。相性はよろしいのですよ。ええ、使って構いませんわ」

(ぅわ、なんだ。この上から目線は。いちおうは買いたいと言うことか。ま、貴族と違って、施術の腕も確かなんだろうけど)

 業務提携ということらしい。

「はい。椿油もお付けして一樽5マニーです」

「あらあら、欲なんてございませんってことですの? 商売には意欲も肝心ですのよ。まっ、お安い方がよろしいですわね」

「ありがとうございます。温めてお使いください」

 樽を準備しながら、コーセンスイについても話す。

「あら、美容術というものは、形もまた重要なのですよ。もっとお勉強なさいな。あの、アホなんとかは、全く参考になりませんけどねー」

(たしかにあの子爵の女は口だけが達者だよね)

「あまり。はい。施術は始めたばかりで」

「ミナミダ地方の店にいらっしゃい。教えて差し上げてもよろしくてよ」

「なにかあったら。いまはまだ」

「美容術を名乗る者は多くてよ。この国では粘土美容術が双璧なの、お判りでして」

「それは。双璧ですか、凄いですね」

(粘土美容術に興味もあるけどさ。なに威張ってるんだろう。ま、売れたから良いや)

 オリビアが耳打ちしてソフィーのことを教える。

「ダチの家系、マジ代々美容術の先生やってるからさ、話し方とかもう天狗通り越して神レベルっしょ!」

「王女様と同じだね。買って貰えて助かるし、ありがとうね」

(施術してるときは、どうだろう。たぶん違うよね)

 すくなくとも何かが動き出した。

(でも、双璧って。ほかに何かあった。あの女であるはずはないし。こんど、調べてみよう)

美容術の世界が複雑に絡み合うのだろうか。


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