囲んで総取りだー! アカリーヌは天下を取りに行く
アカリーヌは新しい温泉の情報をみつけた。もちろんニーバンのお陰だ。
「ナロ王国にも、あの竜の涙のようにぬるぬるしたお湯があるらしい」
「おなじアルカリかもね。遠くまで竜の涙を運ばなくても良いと」
「探せば、もっとあるはずだ。世界へリン波念力を広げられる」
「列車があるからね。粘土美容と競うのかなー」
(やっぱり、店舗運営はソファー先生が上手だし。エリカのところと共同で店を広げていくのかしら)
それでも、ニーバンに思惑があるらしい。
「手軽に取り組みやすいモノが流行るからな。あの鶏の羽はなー」
「なにか、アレルギーを起こす人もはたまにいるらしいけど。竜の涙も一緒だよ」
化粧品が合わないこともあるし、自分の肌にあうのを選ぶのが普通だ。
「その前のこと」ニーバンは、なにかに気付いたようだ。
「女の化粧とかは手間暇かけるはずだが、簡単なのがいいだろ」
「それはねー。歳をとると、若い時より丁寧に、って母がいってた」
「そういうものか。いや、普通に考えて楽にできるのは楽にしたほうがいい。馬を操るのはコツも必要だしな」
「エンジンで動かすなら、女でも動かせそうだよ。それがなにか」
「おなじ効果なら、鶏の羽を使うかって話」
「あれっ。そうだよね。たぶん、マッサージの効果は、強くこするか軽く摩るか」
(リン波念力でしてるじゃん。それなら、効果は同じか。粘土の効果は、と)
なにかわかりかけた。
「あの教え子たちはリン波念力を使ってる」
「鶏の羽がいいなら粘土でいいということだろ。調べてみないか」
ステーションでの施術を確かめようと提案する。
「ちょっと挨拶に来た、と顔をみせに行こうか」
そういうわけで、店舗巡り。まずは公爵領へいくことになった
アッチスグ公爵家を中心に住居や店が並んでいる。地元のご令息ということで、ニーバンへ挨拶する者も多い。結婚は来春で、と短い会話をしながらも、女性コミュニティーセンターへ来た。
「アカリーヌ様、ようこそ」
リーダーをつとめる女性があいさつするが、施術椅子には二人が座っている。繁盛しているようだ。
「やっぱり公爵領は人も多いね」
「フーモト地方も賑やかになりましたね。列車で観光客も増えそうですよ」
「ニーバンのアイデアだから。それより」
鶏の羽が飾られてるのに気づく。
「立て込むとね。ひとりづつ新しいのを使うので手入れが大変」
「そうだよね。消耗品みたいなものだし」
鶏の羽も使い続けると羽は抜けるらしい。
「もう、そのまま。粘土を塗りマッサージ。リン波念力で充分です。いいこと教えていただきました」
(なるほど、そうか。手入れに手間がかかる。それなら、直接マッサージを選ぶ。ニーバンのいってた通りらしい)
「私こそ。良い考えが浮かんだよ。リン波念力なら簡単だし、フェイシャルサロンなら店も増やせる」
「店を構えたい人も多いですから。楽しみですね」
そういうわけで、フェイシャルに特化した店舗展開を考える。
(そうしながら食生活を提案して行けばね。きれいな肌になりたい女の夢を叶えられる)
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やるべきことは、本格的なリン波念力美容術を教える施設。ま、美容コーナーの隣に、やれる場所はある。
「どうじゃ。ハーマベ王国からも教え子を募らぬか」
「そうやなー。王女様の声がかりで集まるでー」
「そうだね。次は隣国かー。この国の美容術は囲んで総取りできるから」
アトゥカラ王国でリン波念力美容術は浸透したはず。列車で近くなった他国へ夢は広がる。
(きれいになりたい女のためにさ。海も山も越えて線路を造ればいいんだ)
美容術で世界制覇をめざして、アカリーヌは走りだした。
終




