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雑巾と刺繍

今日のニョッキとローストビーフはかなり好評であっという間になくなった。


なので早めに夕ご飯の片付けが終わり、マリさんとケイトさんは家に帰った。


団員に皆さんもお腹がいっぱいになって眠くなったのかそうそうと各自の部屋に引き上げた。


私はまだ眠くなかったので、食堂の片隅で洗濯籠の中から、破れてたり、ボタンが取れかかっているシャツを出しては縫っていた。


部屋でやっても良かったんだけど、別棟まで持って行って、またここに持って帰るのが面倒だったので。


集中していると、コトンと目の前にカップが置かれた。


「まだ仕事をしているのか?」


目の前には熊さんならぬ、団長様が立っていた。


「団長様こそ、お休みになられないのですが?」


「なんか、目が冴えてしまってな。暖かいミルクに蜂蜜を入れた物が飲みたくて、多めに作ってしまったら、君が食堂にいるのが見えたから、君もどうかなと思って持ってきたんだ」


やっぱり、熊は蜂蜜が好きなんだと失礼な事が頭に浮かんだが、笑顔でお礼を言った。


「で、今は何を縫っているんだ?」


繕い物は全て終わったので、お次はいらないタオルを使って雑巾を縫っていた。


「雑巾です。床掃除に使うんですよ」


「モップじゃダメなのか?」


「モップを使った後、なかなか床が乾かないので、水分を吸収しやすい物が欲しかったんです、濡れてるとみなさんが帰ってきた時に危ないし、汚れやすいですからね」


「アンナ嬢はいつも色々考えていて、本当に感心するな」


「団長様こそ、私が過ごしやすい様に色々手を尽くしてくださってありがとうございます」


「アンナ嬢。。お願いがあるんだが、聞いてもらえないか?」


「なんでしょうか?私にできる事なら」


「私の事をアランと呼んでくれないか?団長と呼ばれるとずっと仕事をしている気分になるので」


「そうですか?私にような者がお名前を呼んでは失礼にあたりませんか?」


「いや、私が許可しているので問題はない」


「それなら、夕食後やお休みの日はそう呼びますね。私の事も呼び捨てでお願いできませんか?アンナ嬢と呼ばれるとこそばゆいので」


何せ前世はアラフォーだから、お嬢様って変な気分なのよね。


「え。。呼び捨てか、少し難しいが善処しよう」


「ありがとうございます。あ、そうだ。アラン様のシャツが破れていたので、繕っておきました。裏には穴が空いていたので、刺繍をしたのですが、気に入ってくださるといいのですが。内側から塗ったので、他の方には見えませんし」


ついね、ついやっちゃった。怒られないといいんだけど。


刺繍を見たアラン様は固まっている。やばい、悪ふざけが過ぎたかもしれない。


「そ。。それではもう遅いので私も部屋に戻りますね。ホットミルク、ありがとうございました」と逃げる様に立ち去った。


残されたアランはその刺繍を見ていた。


「く。。熊さんだと」


そこには茶色で緑の目のクマの刺繍が付いていた。







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