オカンの一喝
団長様について食堂に行くと、30人の若者達が大騒ぎで食事をとっていた。
みんなお肉はよく食べるが、野菜スープはあまり食べていない。私の作ったフォカッチャははじめは人気はなかったが、1人が食べて美味しいと言ったら、みんな食べ始めた。
「みんな、食事中だが話をしたいので、静かにしてくれ」と団長様が言うと、すぐに静かになった。
流石の統率力ね。
「こちらはアンナ嬢、今日から寮の手伝いをしてくれる。人が増えたとはいえ、3人で皆の世話をするのは大変だ。ちゃんと手伝ってあげてほしい」
30人の若者達は私を見ている。
「初めまして、アンナです。色々はじめは不慣れでご迷惑をおかけするかもしれませんが、皆様が騎士団のお仕事に専念できるように、一生懸命お世話させて頂きます、宜しくお願いします」
私が話した後シーンとしていたので、何か変な事を言ったかと思ったが。
「「「「かわいいいー」」」」
と一気に私の方に来て囲まれてしまった。
「こら、お前たち落ち着け」と団長様が言うが、みんな聞いていない。
そこで私は近くにあった椅子の上に乗り、腰に手を当てて、息をゆっくり吸い込み。お腹の底から声をだして。
「静かに!!はい、皆さんお食事中です。ちゃんと座って、マリさんとケイトさんが一生懸命作ったご飯を食べてください。お肉だけじゃなくて、ちゃんと野菜スープもですよ。野菜スープを飲まない人はお肉のおかわりはなしです」
その瞬間、みんなは急いでテーブルに戻りご飯をまた食べ始めた。ちゃんと野菜スープも飲んでる。
団長様は私を見て「すごいな君、私も母に怒られている気がして、テーブルに戻りそうになったよ」と言った。
「団長様も召し上がってくださいね、もちろん野菜スープも」と私が言うと。
団長様は口の端を微妙に上げて
「もちろん頂くよ」と言って食事をとりに行った。
団長様のあれは。。笑っているのだろうか?
みんなが食事を終えそうな時に、私は空のゴミ箱とタライを持ってきた。
「はい、皆さん。残った食べ物や骨はこのゴミ箱に、お皿やカトラリーはこのタライに入れてくださいね」
そうするとみんなちゃんと残り物やお皿についたソースなどを落としてからタライに入れてくれた。これで食器洗いもしやすくなる。
「団長様、私は食器の片付け等がありますのでキッチンに戻ります。ここに濡らした布がありますので、団員の方にゴミ出しと机の上を拭いて下さるようにお願いできますか?」
「わかった。キッチンの片付けが終わったら、また食堂に来てくれ。話があるんだろう?」と言って、率先してテーブルを拭いてくれた。
やっぱりいい人だな団長様、真顔だけど。
食器の入ったタライを持って、キッチンに戻ると、マリさんとケイトさんも食事を終えた所だった。
タライにまたお湯を注ぎ、石鹸を入れまずつけ置きにしておく。
「アンナちゃん、改めてまして、私はマリ、こちらはケイト。さっきは忙しくてご挨拶できなくてごめんなさいね。パン作りも食器洗いもありがとう。すごく助かったし、このパン美味しいわね」
「初めましてマリさん、ケイトさん。これから宜しくお願い致します。これから片付けをしますが、もし時間があればその後、団長様とお話しをしますので、一緒に聞いて頂けませんか?」
「お湯につけるとこんなに早く汚れが落ちるのね。お皿も汚れが少ないから洗いやすいわ」とマリさんが言う。
「ゴミ出しがないだけで、随分違うわね。重くて大変だったのよ」とケイトさんも言う。
「少ない人数ですから、みんなで協力した方が早く済みますし、負担も分散しますから」
私たちが片付けを終え、キッチンに行くともう団長様は真ん中のテーブルに座ってらした。
マリさんとケイトさんは団長様を見て緊張しているようだが、私は気にせずに団長様の前に座り、マリさんとケイトさんはその横に座った。




