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カルドウェル侯爵家

食事の後、私達は寮に戻って婚約した事を皆んなに伝えた。

マリさんとケイトさんもまだ帰らずに待っていてくれた。

「こんな面白い事を見逃せますか!」とマリさんが興奮している。


ロブさんが

「団長がアンナさんには手を出すなって言ってたのに、自分が出してるなんて」と言うと。


アラン様は胸を張って言った。

「何を言っているんだ、アンナはまだ未成年だし、手は出してないぞ。俺たちの初めては結婚式の後にするって決めているんだ。俺も経験がないから、それまでに。。。」


何の話だ?


それまでにどうする気だ?


それよりアラン様は経験がないのか?


私もみんなも固唾を飲んで、アラン様の次の言葉を待った。


しかしアラン様は言いすぎたのに気がついたのか、黙ってしまった。


惜しい。


あとでゆっくり問い詰めよう。


それから、アラン様は婚約したなら別棟に私を置いていけないと、私を団長用の宿舎に連れて行った。


「こ。。ここに住んでいるのに、なんで独身寮で寝泊まりしてたんですか?」


宿舎は思いっきりお屋敷だった。


寮のお部屋もそれなりに大きくて過ごしやすいけど、お屋敷に比べたら。


「寮にいるのは、アンナが慣れるまでと思ってたんだが、意外に居心地が良かったのでね。どうせここも帰って寝るだけの場所だったし、1人だと寂しいから寮の賑やかさが良かったんだ」


寂しかったのか。


「じゃあもう私がいるから寂しくないですね」


しかし私がアラン様の宿舎に引っ越す前に、私達は侯爵家に婚約の挨拶に行かなくてはいけない。


数日後、アラン様に連れられて侯爵邸に着いた私はかなり緊張していた。

聖女とはいえ孤児で20歳も若ければ、地位や財産狙いと思われてもおかしくない。


アラン様はご両親は侯爵家の体裁の為に結婚を勧めていたと言っていたが本当だろうか?


応接室に通されると侯爵様と侯爵夫人がすでにいらした。

侯爵夫人は表情筋があまり動かないタイプの様で、茶色の髪に緑の目でアラン様に顔立ちがそっくり。

侯爵様は黒髪に青い目で背が高くがっしりしている。アラン様と並ぶと黒熊と茶熊が並んでいるようだ。


侯爵夫人は私の方を向いて無表情のまま、「あなたにはアランと結婚する理由が何かあるのかしら?」と聞いてきた。


アラン様は侯爵夫人のその言葉を聞いて、グッと拳を握りしめた。アラン様が何かを言おうとするので、私はアラン様のにぎり締めた手にそっと手を置いて、私が話始めた。


「こんなに私の事を思って大切にしてくれる方は他にいません。アラン様は私には勿体無い方です。私には家族がいないので、アラン様と一緒に大家族を作るのが夢です」と言うと、侯爵夫人の無表情がやや崩れた。


「誤解を生む様な言い方で申し訳なかったわね。単刀直入に言うわね。あなたはこんな歳の離れた、不愛想な熊の様なおじさんと結婚するので本当にいいのですか?結婚しろと脅されてない?逃げるなら今よ」


じ。。実の息子ですよね。一応、私を心配してくれているのは理解した。


「母上、それはいくらなんでもあんまりです」


「ずっと独身でいいと言っていたのに、突然こんな可愛い若いお嬢さんを連れてくるんですもの、心配するのは当たり前です」


私は思った、侯爵夫人はもしかして。。

ならばこう聞いてみよう。


「侯爵夫人はアラン様の事がとても心配なんですね。私のような身分の低い者とこの結婚を進めようとするアラン様も周りから何か言われるかもしれませんし」と私が言うと。


侯爵夫人が慌てた様に何かを言おうとしたが。


その代わりに落ち着いた深い声が聞こえた。

「それは心配しなくて良い。アンナ様は豊穣の聖女であり、アランの妻として何も問題はない。この結婚の事で不平を言うということは、このカルドウェル侯爵家に意見をすると同義だ」と侯爵様が言うと。


更にその横から

「この国の宰相に意見するのとも同義ですね」とマーク様がにこやかに言った。


部屋に入った時から気になってたのよね。

あえて言わなかったけど。


「マーク、なんでお前がいるんだよ」とアラン様が私の気持ちを代弁してくれた。


「君たちの仲は私がまとめた様な物だから、最後まで見届けないとね」とマーク様がしらっと言ったが、きっと侯爵様へのアピールだろう。訪問する日時とか教えてないのに、やっぱり怖い人だ。


侯爵夫人はそれを聞いて、私の方を向いて少し赤らめた顔で言った。


「じゃあ何の問題もないわね、ならアンナ様には私の事を公爵夫人ではなくお義母さんって呼んでもらいたいわ」


やっぱり侯爵夫人はかなりのツンデレだ。


「私の事もアンナと呼んでくださいね」

と言うと。


「いきなり呼び捨て。。少し難しいわね、できるかしら?」


アラン様に同じ事を頼んだ時と反応が同じだ。やっぱり似たもの親子なんだな。


「大体母上は何を考えているかわからな過ぎるのが問題です」とアラン様が言うが。


「あなただってそうでしょ」と親子喧嘩が始まってしまった。


侯爵様はその間で静かにお茶を飲まれてたが。

「私もお義父さんって呼んでもらいたいな」と呟いたのが聞こえた。


このご両親となら上手くやっていけそう。


そんな3人を見つつ、私はマーク様の方にそっと近づき。


「マーク様、あなたの次の計画はなんなんですか?」と私がこっそり聞くと。


アラン様も紅茶を飲みながら、

「さあ、なんだろうね?私の計画は君たちを幸せにする事だから心配しなくて良いよ」と言って、私にウインクをした。


どっちかと言うと心配しかない。




このエピソードで終わらせるはずだったのですが、アラン様のご両親のキャラが濃くて終わりませんでした。

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