神殿長にプレゼン
そうと決まったら、侍女に頼んで神殿長にアポを取ってもらった。
会えるのは3日後。
プレゼンを成功させるには、綿密な下調べよね。
私が神殿にいる場合の必要経費
神殿外で住んだ時の利点
豊穣の女神としての力の範囲
円グラフとか作ろうかしらね?
そして挑んだ、神殿長面接。
「聖女アンナ、いかがなされましたか?急に会いたいとは珍しいですね?」
「神殿長様、私は神殿ではなく、王宮の寮で働きながら暮らしたいのです。これから、私がそうする事でどのような利点があるのか説明させて頂きます」
神殿長には飲もうとしていた、お茶を吹き出した。
「な。。な。。」
ここで向こうに口を出される前に、畳み掛ける。
「まず王城の寮は警備体制も完璧で、私が誘拐される事もないでしょう。そして王宮はこの国の中心、私の豊穣の力も満遍なく国中をカバーします。そして王城には実に様々な仕事があります。ここで何もしないでただ神殿に寄付される貴重なお金を私の生活費や護衛費に使うより、王城で私が働きつつ生活した方が経済的にもお得です」
神殿長は目を丸くして、口を開けたままでいたが、話は聞いていたようで、宰相様にお話をしてくれるという事になった。
そして1週間後、私は王宮に向かい宰相様と会うことになった。
私はまたプレゼンセットを持ち、今回は神殿と王宮の寮に住む場合の生活費の比較を棒グラフにした紙も持っていった。
宰相様は私の話より、円グラフや棒グラフに興味深々なようだ。
「これはとても分かりやすい、数字を見るより頭に入ってくる」
エクセルとかパワーポイント使えたら、もっといいのが出来たんだけどね。
宰相様はまだグラフを書いた紙を握り締めながら言った。
「君なら優秀な文官になれるだろう、だが立場上聖女を文官にというのは難しい。国民は聖女は神殿で国の為に祈りを捧げていて、それで国民は神殿に寄付をしているからな」
実際は私は祈りも朝の礼拝の時ぐらい、10分ぐらいしかしてない。
「しかしこの能力を遊ばせておくのは勿体無い、君は他にも何かできるのか?」
「料理、掃除、裁縫などはできますね。野菜とかも育てる事ができます」
まあ野菜は食欲旺盛な息子4人の食料確保の為に作ってただけなんだけど。
息子達、どうしてるかな?もう自立できる歳だし、元旦那も息子達の事は気にかけてくれたし大丈夫と思うけど、やはり心配だ。
「そうか、私としては私の文官になって欲しいが、今、騎士団の独身寮のお世話係がまた1人辞めてしまってね。今回の人は1ヶ月持たなかった、若い騎士団の連中は仕事はきっちりするが、寮では好き放題やってるそうだ。もうガサツすぎて耐えられないと出ていかれた」
若い男の子が集団生活、そりゃ大変だな。
「今は2人で独身騎士30人の世話をしているが、2人とも既婚で住み込みはできないし。若い女性を送り込むとすぐに手を出されそうになるし、流石に15歳の子は大丈夫だろう」
2人で30人のお世話、思いっきりブラックだな。まあ15歳にお世話係も微妙だけど、こっちは成人が17歳だしね。
「仕事内容は、朝晩の食事、洗濯、掃除だな、昼間は王宮の食堂で昼食を取るし、遠征の時はみんな出払うから静かになるぞ、そして。。。騎士団の寮はここから5分ぐらいだ。私も君とこの“グラフ”なる物の使い方を習う事ができる」
最後の部分が本音ですね。
そうして私は王宮の騎士団独身寮のお世話係になった。
もちろん、神殿で聖女のお仕事依頼が来たらそっちを優先する事になった。
アンナは前世では営業職だったので、プレゼンはお手のものです。




