オカンは弱い者の味方
あいたたた。
いきなりステージで袋に詰められて、誘拐され。今はベットらしき物の上に転がされている。
そして私は大変怒ってる。
朝からこの儀式の準備で忙しく、コルセットのせいで何も食べられず。終わったら屋台で飲み食いしようと思ってたのに全てパーだ。
「ちょっとーー、袋から出しなさいよ!!!」と袋の中で大暴れ。
なんだか紐が緩んだのか、なんとか顔だけ出せた。
男2人がギョッとした顔でこちらを見ている。
よく見ると若いわね、1人は少年と言ってもいい年齢だ。
どうやら、隣国のスパイに私を攫ってこの宿にきたら、大金を支払うと言われて、供物台の中に隠れていたらしい。
だから供物が落ちてきたのか。
「貴方達、お水とか食べものとかないの?私を生きたまま向こうに渡さないといけないんでしょ?私はお腹が空いて死にそうなんだけど」
「兄貴、俺が何か食べ物を持ってくるよ。兄貴は聖女様を見張ってて」
というと弟くんはそっと部屋を出て行った。
私は兄くんに
「いい加減袋から出して欲しいんだけど、私は作物を育てる以外に能力がないから、戦えないわよ」というと。
兄くんは袋から出してくれた。素直で可愛いな。
「ねえ、あなた達なんでこんな事してるの?ここの地区に住んでいるのよね。隣国のスパイに見えないし。あ!思い出した。あんた達、神殿の近くのパン屋の息子たちじゃない。私はあそこのパンが好きでよく買いに行ってたのよ。ここに帰ってきた時に行ったら、閉まってたんだけどどうしたの?」
兄くんはずっと黙っていたが。
ポツリポツリと話始めた。
「オヤジが数ヶ月前に急死して、俺と弟でパン屋を継いで、母ちゃんはずっと昔に死んだから、俺たちが末の妹を養ってきたんだ。そうしたら、いきなりオヤジには借金がある、金がないなら店を開け渡せって、何人もの男を連れた金持ちっぽいやつが来たんだ。借用書を見せてもらったら、確かにオヤジのっぽい字なんだが、そんな金見た事ないし。オヤジは金とか借りるやつじゃないって言い張ったら、俺と弟はボコボコに殴られて、妹は何処かに連れ去られたんだ。借金を返すまで、妹は解放しないって。そんな時に見知らぬ外国人がうちにやってきて、今回の聖女を誘拐する手助けをしたら、借金を肩代わりするって」
「それは典型的な詐欺だね。
絶対に借金とりとその外国人は繋がっているよ」
そう言うと、兄くんの顔が一気に青ざめた。
「ど。。どうしよう、聖女様を誘拐なんて、死刑にされてもおかしくない」
「あなたは悪くないわよ。あなた達は被害者なんだから、弟くんが戻ってきたら、一緒に逃げて、騎士団に妹さんを保護してもらいましょう」
しかし兄くんは私の言う事を聞いていない。
「どうしよう、どうしよう、俺は兄なのに弟をこんな事に巻き込んで」
「こら!しっかりしなさい!パニックになってもしょうがないわよ」
兄くんのほっぺをパチンと両手で挟むと、大人しくなった。
「私はこの国の騎士団長と友達なの。とってもいい人だから大丈夫よ。弟くんが戻ってきたらすぐに逃げましょう」
「おやおや、どこに行く気ですか?」と外国訛りの声がドアの方から聞こえた。




