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聖女を救出せよ

(アラン視線です)


収穫祭の休暇が始まった。

寮に残る者もいるので無人ではないが、アンナがいないだけで、こんなに静かになってしまうんだな。


いないとわかっていても、ついキッチンをのぞいてしまう。


アンナが出発する時俺が送っていけたらなとつい思ってしまった。

そして同郷だからと一緒にアンナと馬車に乗っていくロブについ厳しい視線を送ってしまった。


思ったより重症だな俺は。


流石に騎士団全員が休みを取るわけにはいかないので、俺は毎年団員たちを優先させて休暇をとらせた。俺には収穫祭の休暇を過ごす相手もいないし、実家にも帰りたくない。でも今年はアンナと一緒に休暇を取って、収穫祭に参加できたらいいなと思ってしまった。

アンナと屋台をまわったら楽しいだろうなと思っていたら、寮に宰相のマークが急ぎ足でやってきた。


「おい、アラン。早く支度をしろ、ケルスナー地区へ行くぞ」


「ケルスナー地区って神殿のある場所か?」


「そうだ、今諜報員からの連絡で、収穫祭の儀式の時に豊穣の聖女を誘拐する計画が上がっている。おそらく、隣国の計画だろう。あの国は今年は凶作だったらしいからな」


ケルスナー地区といえばアンナの実家がある場所か。仕事とはいえ、彼女に会えるかもしれない。


「すぐ用意する、馬車の準備を頼む」


不謹慎だが、つい顔がにやけてしまう。


そんな俺をみて、

「ウキウキしすぎだろう」マークはため息混じりでつぶやいた。


俺たちがケルスナー地区に着いたのは儀式が始まる数時間前、聖女様はまだ神殿で準備をしている、俺は特設ステージの周りに不審者がいないかチェックしつつ、ついアンナがいないか探してしまった。


しかし、アンナの代わりに見つけたのはロブだった。


「あれー、団長も収穫祭にきたんですか?アンナさん見ませんでした?」


何故お前がアンナを探しているんだと言いたかったがグッと堪えた。


「ここに着いて、神殿の近くでアンナさんを降ろしてから見かけてないんですよね、小さい街だし、偶然に会う事もあると思ったんですけど。一緒にパン屋さんに行きたかったんですが、そのパン屋も閉まっているし」


そうか、アンナの実家は神殿の近くか、後で聖女様を神殿に送るついでにアンナを探そう。


「ロブ、緊急事態だ。聖女様の誘拐計画があるらしい。お前はステージの裏側で見張っててくれないか」


「え!聖女様が!わかりました。この街の自衛団とも繋がりがあるので、連絡してきます」


一応、神殿の護衛隊も見張りについているが、人数が多いには越したことはないだろう。


そうこうしているうちに、聖女様が到着され、儀式が始まった。


豊穣の聖女様を見るのは初めてだ。顔はベールで隠されているが、アンナみたいな綺麗な金髪をしている。


聖女の祈りも終わり、何事もなく儀式は終わりそうと思った時に。ステージの上の供物台がぐらっと揺れた。

聖女様に収穫物が当たったら危ないとステージへの階段を上ろうとした時に、供物台の下から2人の男が現れ、聖女様を取り囲んで、頭から袋を被せようとしている。


ベールが落ちてしまったのか、一瞬、聖女様の顔が見えた。


俺は思わず叫んだ。


「アンナーーーーー!!」


しかしステージから落ちてくる野菜やフルーツのせいでなかなか階段が上れない。


その間にアンナを担いだ男たちはステージの裏に消えて行った。


俺は急いで裏に回ったが、人混みに紛れてもうわからない。


あれは絶対にアンナだった。俺が見間違える訳はない。


絶対に探し出さなくては。


おそらく、誘拐犯は夜まで何処かに隠れていて、闇に紛れてアンナを隣国に連れ去るはずだ。

日が暮れるまで数時間。時間はそんなにない。


1時間ほど聞き込みをしたが有力な情報がなく、焦り始めた頃に、ロブと数人の若者が俺に向かって走ってきた。


「団長、自衛団の1人が大きな麻袋を抱えた男2人が町はずれの宿に入っていくのを見たと、人間が入ってもおかしくない大きさの袋だったそうです」


「よし、俺とロブがそこに行く。後の自衛団の者は情報が間違いだった時に備えて、引き続き捜索を続けろ」


アンナ待っていろよ。俺が絶対に助けてやるからな。





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