収穫祭
私の誕生日が後2週間というところで、神殿から収穫祭に参加する為に戻って来なさいと連絡があった。収穫祭に合わせて騎士団も1週間ほどお休みになるので、実家に帰る団員さん達も多い。
流石に騎士団全員お休みになると何かあった時に大変なので、アラン様が毎年自ら志願して留守番をするそうだ。他にも実家に帰りたくない団員さんが数名残っているので、交代で休む事はできるみたいだけど。
「そうか、アンナも実家に帰るのか。私は有事に備えてここにいるが、アンナはご家族と楽しんでくるんだぞ」とアラン様は言ってくれたが、まあ神殿に戻るんですけどね。収穫祭のメインイベントでは、私が豊穣の神に祈りを捧げる儀式があるし。
「ところでアンナの実家はどこにあるんだ?」
「神殿のあるケルスナー地区ですよ」
「じゃあ収穫祭にも参加するのか?」
「ええ、まあ。大きなお祭りですからね」
まさか自分がメインイベントとはいえない。
「そうか、帰ってきたら土産話を聞かせてくれ」
「お土産話だけじゃなくて、実家では養蜂もしているので、蜂蜜をお土産に持ってきますね」
実際は神殿の裏の養蜂場だが。
「アンナは私に蜂蜜を食べさせたがるな」
「。。。。深い意味はございません」
数日後、私と同じくケルスナー地区に実家があるロブさんと一緒の馬車で帰る事になった。流石に護衛なしで移動は良くないと宰相様が手配してくれたんだが、ロブさんは私が聖女とは知らない。
「アンナさんもケルスナーの出身なんだ?見かけた事なかったね?」
神殿にこもってましたからね。
ケルスナー地区までは馬車で1時間ほど、ロブさんと神殿の近くの美味しいパン屋さんの話で盛り上がった。パンが食べたいからと、私は神殿の前で降ろしてもらって、私はロブさんを乗せた馬車が見えなくなった所で神殿に入って行った。
寮の暮らしも楽しいけど、久しぶりに侍女さんや聖女仲間と会えて嬉しかった。お土産で作って行ったプリンも好評だったし。
神殿長は寮の畑の事を宰相様から聞いていたらしく、ちょっとしたお小言はあったけど、よく帰ってきたなと歓迎してくれた。
それから3日間は収穫祭の儀式の準備で忙しく、祭りを見る暇は無かった。
忘れないうちにアラン様の為に神殿産の蜂蜜は確保したけど。
蜂蜜の瓶を持って、蜂蜜を食べるアラン様の想像をしてニマニマしてたら、誰にあげるの?って治癒の聖女さんに揶揄われたが。
儀式の日は朝から侍女さん達によって準備をしてもらった。いつも制服だったから、コルセットのキツさは忘れてたわ。
さあ、本番。
ベールをかぶって、神殿の馬車に乗ってケルスナー地区の中心地に行く。そこには特設ステージがあり、ステージの上の供物台にはたくさんの収穫物が並べられていた。
ステージの下には神殿長と宰相様が待っていた。
あれ?宰相様って収穫祭にいつも来られてたっけ?
ん。。。宰相様の隣にいるのって。。。。
アラン様!!!!!!
なんでいるの?
ビクッとした私に気がついたのか、宰相様はニヤニヤしてる。
私は神殿長にエスコートされ、ステージに上がり、供物台の前で祈りを捧げる。顔はベールで隠れているが、声でバレないかと冷や冷やだ。
しかしアラン様は私ではなく、ステージの周りに厳しい目線を送っているみたいだ。
祈りが終わり、立ちあがろうとした瞬間、供物台が揺れた。
え?立ちくらみ?
そして供物台に積まれた収穫物が下に落ちていく。私はそれを拾おうとして下を向くとベールが落ちてしまった。しまったと思った瞬間に、誰かに後から抱えられ、頭から袋が被せられた。
最後に見えたのは、落ちていく収穫物を避けながらステージに上ってこようとするアラン様だった。
アンナもアラン様がやっと気になってきました。まだ熊さん扱いですが。




