蜂蜜大根であーーん
次の日の朝、私は食堂で呆然と立ち尽くした。
キッチンも食堂も綺麗になっていた。でも誰もいないのだ。今日は遠征の後のお休みの日だから寝坊していると思ったが、見事に誰も食堂にいない。いつもなら休日でもお腹が空いたと誰かしらはいるのに。
そんなに飲んだのかしらね?
誰かが来た音がしたので振り向くと、毛布をかぶってふらふら歩いている、最年少団員のロブさんがいた。
「だ。。大丈夫ですか?ロブさん」
「なんか、頭がガンガンして寒気がするんです」
え、二日酔いじゃなくて風邪??
「昨日遅くまで飲んでて、片付ける時に誰かがこうしたほうが早いって、床に水をぶちまけて、必死で掃除したんですがみんなびしょ濡れになってしまい。そのまま寝たら、どうやら風邪を引いたみたいです」
「え?みんな風邪なんですか?」
「いえ、半分は風邪で半分は二日酔いです」
とりあえず、ご飯を食べさせないと薬も飲ませられないな。
二日酔いの人たちには経口補水液を作るか。
マリさん達が出勤してきたので、残ってるパンでパンがゆを作ってもらい。私は塩と砂糖で経口補水液を作った。
息子たちに野球の試合の時にも良く作ったな。真夏の試合は水分補給が大事だからね。
1人ずつ部屋から出てきて、食堂の右は二日酔いグループ、左は風邪引きグループに分けた。
みんなにはご飯が終わった後は部屋に戻って寝る様に言ったが、1人足りない。
アラン様が来ていない。
最初に食堂に来たロブさんを部屋に送るついでに、アラン様の様子を見に行く事にする。
アラン様の部屋のドアをノックをしたが返事はない。ドアがちょっと開いているので、ちょっと覗いて、聞き耳を立てるとなんだか苦しそうな声が聞こえる。
「アラン様、大丈夫ですか?入りますよ!!!」
ベットの上には顔を真っ赤にさせて寝ているアラン様がいた。
おでこに手を当てると物凄く熱い。
私は慌ててキッチンに戻り、小さめのタライにタオル、経口補水液を入れ、マリさんにお医者様を呼んできてくれる様にお願いした。
私はお医者様がくるまでに、濡れタオルでおでこや首を冷やした。経口補水液を飲んで欲しかったが、うまくいかない。
そんな時にお医者様がちょうどいらした。
「喉の腫れのせいで熱は高いが、2-3日で治りますよ。水分補給をしっかりさせてくださいね。これが3日分の薬です。ちょっと苦いですが、ちゃんと飲ませてくださいね」
お医者様が帰ってからも、濡れタオルを何度も替えて、結局アラン様が目を覚ましたのはもう夕方に近かった。
「アラン様、大丈夫ですか?とりあえず水分補給をして欲しいのですが?」と経口補水液を出すと飲んでくれたが、喉が痛いのか水を飲むのも辛そうだ。
そこで私は昨日漬けた蜂蜜大根のシロップを出した。
「これは蜂蜜大根と言ってとっても喉にいいんです、一口でいいので飲んでくれますか?」と私があーーんといいながらスプーンを差し出すと。
アラン様は何故かプルプルしていた。
「はい、あーーーーーん」
もう一回言ったら、なんとか口を開けたので。
スプーンをそっと口に入れてシロップを流し込む。
初めは飲み込む事に躊躇していたが、どうやら気に入った様で、今度は自分から口をパカっと開けた。
もう1杯って事かな?やっぱり蜂蜜が好きなのね。
髪がボサボサで、赤い顔をして口を開けているアラン様はいつもより子供っぽい。
「ふふふ、やっぱり可愛い」と思わず言ってしまった。
アラン様は何かいいたそうだが、声が出ない。
「文句は風邪が治ってから言ってくださいね。汗もかいたでしょうから、パジャマを脱いでくださいね。今、タオルで拭きますから、さっぱりしますよ」
それを聞いたアラン様はガチっと固まって、首をブンブン横に振った。
「大丈夫ですよ、汗をかいたままだとまた風邪がぶり返しますからね」とタオルを持って近づいたら、アラン様はタオルを私から奪い取って、バスルームに駆け込んだ。
汗をかいたから、熱が下がって元気になってきたのかな?あれならパンがゆを食べて薬をとれるかも?
私はそっとキッチンへ戻った。パンがゆにも蜂蜜をかけてあげよう。
バスルームの中では、アラン様は目を手で覆って「俺を殺す気か」と枯れた声でいいながら床に座っていた。
なんか団長様の扱いがくまの○○さんみたいになってきてしまいました。




