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勇者召喚されたのは黒猫だった  作者: 雪月花VS花鳥風月
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勇者召喚されたのは黒猫だった

新作を投稿します。

黒猫が主人公の話です。

「もはや勇者召喚を行うしかあるまい」

王国は魔族の侵略を受けようとしていた。

既に国境付近まで魔族軍が迫っていた。

この危機的状況を覆すには禁断の勇者召喚しか無かった。

国王は勇者召喚を行う決心をした。

神官達が王宮の召喚の間に集められて、召喚の宝玉に魔力を注ぎ始めた。

【召喚】

大神官が召喚魔法を発動させた。


僕はベットの白猫シロと黒猫クロと一緒に朝の散歩をしていた。

突然地面が輝き始めて、不思議な模様が現れた。

「ニャアアア」

「シロ、危険だから動くな」

シロがびっくりしてしまい、模様から飛び出してしまった。

「シロ、戻れ」

僕もシロを追いかけて、模様から飛び出した。

「ニャア」

クロだけが模様内に残された。

 

「ニャアア」

「く、黒猫だと。黒猫が勇者だと言うのか。せっかく禁断の勇者召喚を行ったのに、そんな馬鹿な事があるもんか~」

勇者召喚されたのは1匹の黒猫だった。

国王はあり得ない状況に絶句してしまい、挙げ句の果てに絶叫を上げた。


『禁断の勇者召喚だと。どういう事だ。いやそれよりも此処は何処だ。俺は御主人様とシロと一緒に朝の散歩をしていた筈だ。それなのに突然地面が輝き始めて、不思議な模様が現れたんだ。思い出した。あの模様は召喚の魔法陣に似ていた。すると此処は異世界なのか。何て事だ。再び異世界に召喚されるなんて俺は世界一不幸だ。俺はいや私は前世で異世界に聖女として召喚された。無事に聖女の役目を終えて、元の世界に送還された。契約を全て破棄され、約束の報酬も与えられず、無償でだ。人の欲深さに幻滅した私は今世では雄の黒猫クロに転生して猫ライフを満喫していた。それなのに今度は勇者として召喚されただと。ふざけるな。絶対にお前達の思い通りにはならないからな』


「クロが居ない。消えてしまった」

輝きと模様が消滅した地面にはクロの姿は無かった。

「クロ、何処にいるんだ~」

僕は必死でクロを探し続けたが、結局クロは見つからなかった。


「もしかしたらこの黒猫が本当に勇者かもしれませんので、一応鑑定をしてみます」

「・・・・そうだな。鑑定してくれるか」

【鑑定】

大神官は鑑定の魔法を発動させた。


『ステータス』

名前=クロ

種族=黒猫

性別=雄

レベル=219

生命力=6621

魔力=7212

攻撃力=1023

防御力=1112

体力=1534

知力=933

技能=鑑定、聖魔法、空間魔法、状態異常無効、物理攻撃無効、魔法攻撃無効、不老長寿

称号=聖女、勇者


「・・・・こ、このステータスの高さは何だ。規格外過ぎるだろう。それに黒猫の雄なのに称号が聖女と勇者なのは何故だ」

クロのステータスを鑑定したら規格外の能力値だった。

「大神官殿、どうしたのだ。貴殿の顔色が真っ青だぞ」

「この黒猫は本当に勇者です」

「・・・・何だと。大神官殿、間違いではないのか」

国王は黒猫が本当に勇者だと聞いて、大神官に確認した。

「間違いありません。確かに勇者です」

「そこまで言うなら、試してみるか。魔族の捕虜を一人連れて来い」


『鑑定されてしまったか』

クロは大神官の様子を見て、鑑定されたと気付いた。


「魔族、この黒猫と闘え。勝てたなら貴様を解放してやる」

「この黒猫に勝ったら本当に解放してくれるのか」

「約束する」

「分かった。闘う」


『このクソ国王、俺の意思を無視してコイツに俺と闘えと命令しやがった。ふざけるな。後で覚えていろよ』

クロは国王の態度に激昂してしまった。


「死ね黒猫」

魔族はクロを踏み殺そうと足を上げた。

『この野郎、俺に殺気を向けやがった。どうやら死にたいらしいな。望み通り死なせてやるよ』

危険を察知したクロは高く跳躍した。

「黒猫が跳躍した」

「フギャアア(死にやがれ)」

前足の爪を振り下ろした。

「ぎゃあああ」

魔族の身体は上下に切り裂かれた。

「魔族の上半身と下半身を切り裂いた」

「信じられん」

「あり得ない」

「夢なのか」

「幻覚ではあるまいな」

「あの黒猫が本当に勇者だったのか」

周囲に居た者は想定外の光景を目撃して、全員が唖然となってしまった。

クロはその隙を見逃さなかった。

『勇者なんて冗談じゃねえ。俺は逃げるぞ』

【飛翔】

クロは飛翔の魔法で王宮を飛び去った。


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