蜜を拒めない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
悪ーい二人が出てきます。
生き物に例えるなら、蜘蛛とか蛇の類い。
彼女と一緒にアニメを見ていると、何とも面倒臭そうな皮肉屋でひねくれた子が登場した。開幕一発目から煽るような物言いをして、空気を冷やしこんでいた。
それを見て、何とも言えない背徳感が胸に湧く。思わず舌舐りをしそうになった。
「君、この子好きそうだね。近くに居たら構うでしょう? 相手が暴言吐こうが止めないでしょう? そうしてきっと依存させる」
棒付き飴をチロチロやりながら、彼女は薄い笑いを浮かべた。それを見て、裏のない微笑みで返した。この笑顔をアニメの中のあの子はきっと見破れない。見破っても、拒めないだろう。
「よく分かっているね」
ひねくれている子は、一見扱いが難しく、面倒臭そうに思えるが、誰よりも愛情に飢えている。だから見返りのない愛情を渡されると、割とコロッと落ちてしまう。其れを毒だと知っていても、きっと拒めない。
幼児に蜂蜜を与えると、否応なしに飲み込んでしまうのだそうだ。其れが毒だとしても、甘いから、吐き出せないのだそうだ。
だから彼女は幼児によく似てる。愛情に飢えているところも、毒を否応なしに受け入れてしまうところも。本質的には変わらない。
「でも君もそうなんじゃない? だって似た者同士だもの」
「そうね。多分毎日構うと思う。飴をあげると思う。其れを拒絶しないのを、裏で悶えるのを、ひっそりと喜ぶと思う。あぁそれと――」
其れから舐めていた棒付き飴を口から引き摺り出した。それを私の口の中に押し込んで、ぐりぐりと口腔で掻き回す。
「君にも紹介すると思うよ」
「嬉しいなぁ」
そう言って、互いにまた黙ってアニメを見た。
彼女とは、恋人というより、仄暗い趣味を共有する、悪友の様なものだった。
Q あの子、口説き落とせる?
A 勿論。そう時間は掛からせないよ。寧ろ、彼/彼女を口説く方が余程難しいと思うよ。
よくいるではないですか。
皮肉屋で、当たりが強くて、扱いが難しそうな子。
私が知る中では漫画に二作品、ゲームで一作品。
可愛く言うならツンデレ。良く言うなら、人間臭い。そんなキャラ。
そういう子って、滅茶苦茶、愛情に飢えてる。
当たりが強いのも、試し行動と似ていて、其れでも愛して欲しいんです。
多分、文句言いながらも、人から与えられる気遣いを拒めない。
色恋詐欺とか、悪徳宗教に気をつけなきゃいけないタイプです。
聞こえが良い言葉で丸め込むのが上手いから。
其れを見越した上で、駄目にしたい二人の話。
食べてる飴ちゃんを面倒臭いその子に例えて、二人で可愛がり(いじめ)ようね。という話。