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ゴブリンごときに伝説の鳥を呼び出すな

 宿屋でゆっくり休んで翌日か。

 しかし……昨日のあれ怖すぎだろ。

 トラウマになるわ。あんなバグ二度と遭遇したくないんだけど。



「おはようロアル。昨日はゆっくり寝られた?」


「まあね」


「私もゆっくり休めたので魔法力はばっちりよ。

これでようやく本来の力が出せそうよ」


「それは良かったですね」


 本当に?あとでステータスを確認するとしよう。

 いまだに見れていないからな。


「あ、アイラおはよう」


「お……おはよ」


「昨日はよく眠れた?相変わらずお寝坊さんなんだから」


「まだ頭がまわっていないよ……」


「もう。しっかりしてよね。

……そうだ、私のペットに頭を冷やしてもらったらどうかしら」


 ルビアがそういうと、モフモフのペンギンが後ろの方から顔を出した。


「わあ、かわいい。それ新しいペット?」


「そうよ。ちょっと召喚に失敗して出てきてしまったのだけど。

人懐っこくてこんな私にもすぐに懐いたの。せっかくだから育ててみようかと思って。

それにどうやら潜在能力は高いみたいなの」


「そうなんだ。あとでいろいろ調べさせてね」


「いいわよ。でも傷つけないであげてね?」


「大丈夫。痛がることはしないから」


 とりあえず俺も会話に入れてね?話し出せるスキがないよ?



「それで……例の用事は終わったの?」


「うん。何とか終わったよ。これからは一緒に行動できそうだよ」


「そうなの。良かったわ。

じゃあこれからは一緒に本来の任務を果たしていくこととしましょう」


 ここからがようやく本番って訳か。


「えーっと……」


「ロアルですよ」


 この確認は必要なのか?昨日言ったはずだし。


「ロアルも改めてよろしくね」


「ロアルのことは昨日の夜アイラに話しておいたわ。

召喚した魔物にいう事を聞かせるときはアイラにお願いしましょう。

まずは町にいる人の話を聞いたり、依頼をクリアして報酬を貰いましょう。

わたしたちの目的は一人でも多くの未熟な召喚士を止める。

勘違い召喚の被害を少しでも食い止めることよ。わかったわね?」


 長ったらしい説明をありがとう。


「一緒にがんばろうね、ロアル」


 ルビアとアイラはロアルに微笑みかけた。


「そうだね」


 メインストーリーは未熟な召喚士を止める事で進んでいく感じかな。

 そしてサブクエストも色々ありそうだな。

 メインの話を先に進めるか……どうするか……。



 町の住民に話を聞いたら、どうやらこのあたりで見習い召喚士を見かけたらしい。

 最初の町にある隣の草原。

 RPGでよくある、最序盤の弱い魔物が出てきてレベル上げができるところだろう。


 ロアル達が少し歩くと、そこには見習い召喚士の青年がいた。


「召喚!フェニックスを、ここに召喚する」


 魔法陣は赤く光り、空に去った。

 ……やがて魔法陣は黒く光り、モヤが晴れ、現れたのは……。


 鶏が召喚された。対象のレベルは3だ。


「あーまたダメか」


「……いましたね、平凡そうな見習い召喚士が」


「どうやら思いの力が足りなかったようね」

 出たよ、お決まりのセリフ。


「鶏が勘違い召喚で、でてきているよ。害はなさそうだけど元の世界に戻してあげなきゃ」


「鶏ならまだいいほうでしょ、俺なんか筋肉もりもりの……」


「あれは何とかしないと駄目ね。ちょっと話を聞いてみようかしら」


 ……ついに話を遮られたよ。



「あの洞窟にゴブリンがたむろしているんだ。それをなんとかしたくて」


 青年が指さす方向には洞窟が見えた。


 序盤の簡単なクエストかな、ゴブリンだし。でも自分の力で倒すとかは考えないんだな。


「それで、フェニックスを?」


「そうだよ、伝説の鳥を召喚しようとしているんだ。だけど出てくるのは鶏ばかりなんだ……」


 ゴブリンごときに伝説の鳥を呼び出すな。


「フェニックス。不死鳥、火の鳥ともいわれる伝説の鳥。

あの鳥はそうね……。イフリートが召喚できるくらいではないと呼び出すことは不可能ね」


「そういえば、フェニックスは死人を蘇らせる能力をもっているらしいよ」


「じゃあ、そんな鳥を呼んでも意味がないんじゃないのか?」


「でも炎の力もあるって聞いて」


「炎の力なら他の魔物にもあるでしょう?」


「例えばどんな魔物だ?」


「それは……」


「ねえねえ、ロアルは炎の力を持つ魔物、知っている?」


 ここは俺にくるんかい。


「え-っと……。さっき言っていたイフリートとか、ドラゴンとかか。

有名どころだけどね。魔法を使える魔物も炎の呪文を使えるでしょ」


「ロアル、よく知っていて、えらいね」

 アイラは笑顔でロアルを見上げた。


 この幼女は俺を褒めるポジションなのね?


「……それなら私たちが退治するわ。

ちょうどロアルの戦闘能力でどの程度できるか見ておきたかったの」

 うん、ルビアちゃんは俺の話聞いてないね。

 てか話がどっかに飛んでいるよ。バグがまだ残っているの?


「本当に退治してくれるのか?」


「もちろん。いざとなれば私が頼れる魔物を召喚するわ。

イフリートとか、ドラゴンとかね。魔法を使える魔物も。炎の呪文を使えるでしょ?」

 ここにインプットされてんの。


「ありがとう。じゃあくれぐれも気を付けて行ってくれよ」


 まったく、最初から面倒なクエストを押し付ける見習い召喚士だな。


「さっきも言ったけど、

ゴブリンたちは洞窟の奥深くに潜んでいるんだ。よろしく頼んだよ」

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