王都到着
始めまして 読んで頂きありがとうございます リコリスと申します 何分老齢かつ目が非常に悪いので遅筆です 万が一楽しみにして下さった方に大変申し訳ございませんがご理解のほどを
老体に鞭打って頑張りますので応援していただけたらありがたいです」よろしくお願いいたします
その女性は大きな声を出し 既に捕らわれた今回の首謀者と思われる男をなじって居る様に思われた 仕舞いには握り拳を男の顔面に入れていた 正にボコボコである 更にユリエールに大きな声で何かを訴えていた 暫く話を聞いていたユリエールだったが ジレールに馬車の中を改めさせた 出て来る沢山の金貨や財宝 男は既に無言を決め込んでいる いつの間にか敵兵達は整列し青い顔で並んでいた ユリエールが男に何か言い渡している ぐったり項垂れる男そしてユリエールに何かを必死に訴える女性 何がどうなって居るのだろう?
安全が確保されたので心配そうに見ていたアインも馬車を降りた
一先ず屋敷に入る様だ 付いて歩いて向かって行く所で聞いてみた「どういう事なの?」
「この男はブルーノ・ケルソこのブルーノ・リアンナと結婚するためにドラグーン・フォッジャ伯爵家から来た男だ ブルーノ家はこの辺りを代々収める郷爵だ そしてこの辺りの郷爵を纏めていたのがフォッジャ家なのだが 長男をブルーノに押し付けて来たんだな 当然ブルーノ家は断れたない立場だしな このケルソって男が結婚当初は大人しくしていたが娘が出来たとたん更に娘を人質の様に リアンナを脅し始めたそうだ 当主のリアンナを思い通りにして好き勝手やって居たが 領民からの反発を買って 有る者は逃げ有る者はドラグーンに陳情に行くもケルソは息子なんだから当然無視するよな 何も言われない事で更に好き勝手やって 自分は贅沢三昧で金もため込んでいるのに金が足りないと重税をさらに懸けたが 人は逃げ商業も農業も滞ることに成り父親に助けを求めた 父親は公爵家に領地を増やす様に言ってきたが 全く相手にされず それを此奴に愚痴った所公爵家が悪いと思い込み 今回の騒動だという事だ だいたい郷爵位でこの屋敷はなんだ?伯爵家と変わらんではないか?郷爵なら平民と同じ暮らしをし同じ思いをもって政を行うものだ 全くふざけている」そう言う事か ユリエールが此処に来た時に顔を歪めていたのはこれを見て怒っていたのだな
と歩いていると屋敷についた 中には従者や侍女が沢山いた 皆不安な顔でこちらを見ていたが直ぐに深々と頭を下げた
そして直ぐに 二階の応接間だろうか?そこに通された 皆寛ぐようにソファに腰掛けると 侍女さんがお茶を用意してくれたが手が震えている やっぱり自分たちがどうなるか心配なんだろう
今度は先ほどより落ち着いたリアンナさんがにこやかにお茶を飲みながらユリエールと話している 随分余裕だなと思って居ると 急にカップを落とした 激しく動揺している
ユリエールは何かを淡々と話している リアンナさんは徐々に項垂れ顔は青く成って行った ユリエールが話し終わると号泣して何かを訴え始めていたが ユリエールが席を立った 慌てて俺達も席を立った
「どういう事?奥さん随分落ち込んでいたけど」と聞いた
「いや ケルソが勝手にやって居て 自分は脅されて仕方無かったのだから無関係だと主張していたが 当主はリアンナなのだから最終的な責任はリアンナに有ると説明しただけだ まぁ具体的に言うと財産没収と郷爵の地位剥奪だな 後は此処の追放もだがな 暫くは何処かの伯爵家の預かりに成って侍女からやり直すことに成るだろう」と言う
今まで自分で動かず侍女達に全て任せていた人たちが これからは自分が侍女に成るなんて出来るのだろうか?
「侍女からってあの人達出来るの?」
「出来る出来ないじゃない やるんだ 出来ないなら無一文で出て行き自分で稼ぐしかないだろう? どっちの方が難しいか明白だろう」と言った
確かに宿も金も無い状態で放り出されるよりはマシなんだろう
ユリエールは「結局自業自得なのだよ ケルソが好き勝手にやって居たと言うが 知らない筈は無かったし 実際自分も屋敷に住み贅沢していたのだ 共犯だよ」と言った
「まぁしかし 雑魚の事はどうでも良い それよりドラグーンの奴どうしてくれようか」と難しい顔をした なんだか大事だな お姫様も貴族も大変だな とちょっと他人事のように考えてしまう
ここまで聞いていたアインは(今日は大変な事ばかり起ったが これが貴族の争いなんて 両親もこういう事に巻き込まれて行くんだろうか?)と心配になった それよりこれからのシンを助けて行かないと行けないと更に心に誓った 何せ彼はこの世界を知らなすぎる 言葉も判らないがそこを自分が何とかしなければとも思う
「ドラグーンの事は後でじっくり考えるか それより此処の料理人は中々の腕前らしい 侍従が是非食べて欲しいそうだ どうせ今夜は ここに泊まりに成るし 料理をご馳走に成ろう」と言うユリエール
「大丈夫なの?」と思わず聞いてしまった
「大丈夫さ 間違っても我らに危害を加えようなんて考えたら 一族郎党皆殺しにすると言って有る きちんと仕事出来るものは今後も後任の郷爵の元で働ける事も保障したし それでも何かするつもりなら此方も容赦しないしな」本当怖いことサラッと言う人だ 何だか疲れないんだろうか?と心配になる
そうして 夕食の時間に成った
正に豪勢な料理が並んだ 基本は何かの獣の肉だが 魚も有る
様々な野菜をサラダだったり煮て有ったり様々な料理が並んだ「これより主菜が来るらしい 楽しみにしておこう」とユリエールが言う
ワゴンに乗せられ何だろう?何かステーキの様だが野菜を刻んだソースが掛かっている 侍従の人が何か説明している そして皆の目の前に皿が運ばれた いい匂いだ
そしてユリエールの前にも皿が並んだ するとユリエールが侍従に何か言った すると侍従は部屋を出た
「何を言ったの?」すかさず聞く「いや素晴らしい料理の礼を言いたいのでこの料理を作った料理人を呼んでくれと言ったのさ」とニヤリと笑った ユリエールが料理に手を付けないので皆おあずけ状態で待って居る すると小走りで来たのだろうコックらしき人がちょっと息を切らしてやって来た 早速頭を下げるコック それに対し何かを言うユリエール 暫くすると更に若いコックがやって来た するとユリエールが皿をその青年に差し出した 食べろという事か?すると横に居た侍女の一人が皿を取り上げ自分で食べ始めた 何が起こっているんだ?と思って居ると料理を食べた侍女が苦しみだした そして床にバタリと倒れた 大騒ぎになる そしてユリエールが何か指図してコックと青年とリアンナを拘束させた 倒れた侍女は直ぐにベットに運ばれた 食べたものを吐き出させ ユリエールが何か魔法でだろうか?治療をしている
一段落して侍女さんの呼吸も落ち着いてきた そこで治療を連れて来ていた治癒魔法師に代わって休憩しに来た
「何が何だか分からないんだが どうなって居るの?」
ユリエールが「まぁ言ったら毒殺されるところだった」続けて「料理を食べて倒れたのがコックの妻で若い料理人がコックの息子だったのだ」「なんで毒が入ってるって判ったの?」
「いや確信は無かったが 出された皿が私のだけ豪華な絵付けのされた物だった 何故だと侍従に聞いたらユリエール様だから豪華にしたと料理人が言っているが これまでそんな事していなかったのに急におかしいだろう ならば礼を言いたいので料理人を呼んでくれと言ったのだ そして呼ばれたのがあの親子の料理人 料理の礼を言った後に 息子に料理を食べてくれと言ったら 母親で有る侍女が慌てて食べたと言う訳だな 侍女には誰かに頼まれたのか聞かなくては成らんから助けた そう言う感じじだな」と説明してくれた 「リアンナの指示なら死罪だろう 誰が毒を入れたのか ハッキリさせねばいけないしな 全く面倒な事ばかりしてくれる」と不機嫌そうに言い放った だから大丈夫か?って聞いたのにと思ったが呑み込んだw余計な事言ってもややこしく成るだけだしなw
夕食は結局なし崩しに中止になった 当然だろう そしてそのまま就寝することに成った 不安な中アインと同室に成った
不安で有ろうアインを安心させるために何か出来ないかと思ったが 何も思いつかない こういう時に言葉が通じないのは もどかしい 早くこの世界の言葉が分かるようにしないと・・今できるのは 精々頭を撫で時折抱きしめて一緒に手を繋いで寝る事くらいだった 頭を撫で腕枕で一緒に寝た
安心してくれたのかアインは何時しか眠りについた それにしてもアインの寝顔はとても可愛い 天使だと思った 尊いってこんな感じなんだなって判った気がした 一層守って行かないとと決心した
実際これからどうなるのか不安が大きく成って行った
しかし不安よりアインを守らねばと言う使命感が燃えて来た
希望と不安の混じった 村を出て初めての夜だった
寝る前にアインは思った 安心して食事も出来ない貴族なんて何も良い事無いじゃないかと シンに頭を撫で慣れながら寝る心地よさも知ったが恐ろしい事ばかりの一日だったがシンと居ると安心出来る事も思い知った一日だった
料理人と侍女の夫妻は身柄を拘束され連行されることに成った
通常で有れば公爵家の人間の殺害を企てれば即斬首が本当らしいが黒幕の証言をさせる為に連行となった ユリエールが聞いた所計画は 侍女の女性が立て実際に毒を入れたのは夫の料理人だった 配膳は自分なので完璧なはずだった 息子はなにも知らないと言って居た しかし本当に大変な世界だ 貴族だけなのか簡単に毒殺とかが行われる 日本じゃサスペンスドラマ位の話だ ユリエールが言うには「こんなの日常茶飯事 だから代々ウチの家系は 人を雇っても初代は信用しない 2代目に成ってやっと信用する 実際代々家に仕えてくれている侍従侍女も多い 5代目以上が普通にいるし その位でやっと本当に信用する」
帰りの馬車は時間が沢山あった なのでその他にも疑問に思ったことを聞いた
「前に聞いてちょっと疑問だったのだが アインと結婚したら俺が村に残るのが筋と言ったけど何故?結婚したら女性は男性に付いて行くのでは?」すると「何言ってる家は女性が継ぐものだぞ 本当ならお前はあそこの村に残りポンスと協力して村の為に尽力するのが当たり前なんだぞ」と聞かされた「ええええええ なんで?」「何でって 昔からそう決まっている 第一子供を産んでも 継承者の腹から生まれた者以外は継承権がない もし夫が外に妾を作って子供を産ませても本当に夫の子供の確証が無いではないか?
実際昔はそういう事が有って 最後は国を割っての大戦争に成る所だったんだぞ それ以後妻以外の子供は継承権なしと決まったし 女性が家を継ぐことに成った 第一男なんて欲に塗れて禄な事しないだろw」だそうだ
「じゃあアインと結婚したら俺の名前はどうなるの?」
「お前はまれびとだし特殊だからな 普通ならシン タチバナからシン タルホだがお前はシン タチバナ タルホで良いだろうな」「所でこの国で結婚できる年齢って何歳からなの?」
「神への結婚の宣言すれば何歳でも出来るぞ 実際貴族等は生まれた時から結婚宣言している者も居るしな 結婚の約束じゃ無く親が結婚させてしまうのだw実際共に暮らすのはずっと後だがなw離婚も簡単だしな財産が許せば2人目3人目を貰う事も出来る 但し1人目の相手の権限は強く一人目の婚姻相手の承諾が必要だが 因みに言っておくが結婚して居なくても 相手を妊娠させた男は その子供が独り立ちするまでの生活の世話をする義務が生じる 逃げて捕まったら奴隷になるから気を付けろよ」なんて怖いんだろう 一時の気の迷いで浮気して妊娠させたら 子供の扶養義務が発生し 義務が果たせないと奴隷って・・
そして様々な話をし 少しだが言葉を習いながら旅を続けた
アインも何故か日本語が知りたいと言ってユリエールと3人で色々と話していたお陰でアインも退屈しないで済んだようだ
そこから2週間掛けてアルメニア公国州都アルメニアにやっと着いた ブルーノで捕らえた3人は州兵に渡され牢に入れられ厳しく取り調べをされるらしい
「所で此処まで来て 僕は何をすればいいの?」ユリエールに聞いた
「まずはゆっくり旅の疲れを癒せ アインも初めての長旅だろう 後でゆっくり案内するのでまずは2~3日ゆっくりしろ」と言われた ゆっくり言われてもなぁ 「まずはお前達が暮らす離宮に案内しないとな 後護衛を何人か付けなくてはな 因みにうちの侍女侍従は護衛も兼ねていて 皆凄腕だから安心しろ」 確かにあの騒ぎの時に皆さん武器を携えて 戦っていましたよね 実績は十分なので信用しますw
王宮とは隣り合わせだが 少し離れた所に アインと住む離宮だと言われ 案内された
アインは州都に付いて驚きの連続だった タルホ村は辺境の辺鄙な村で店も少ない 人だって300人居るか居ないかだ 此処はまず人が多い それこそ数える気がしないほどだ 店だってそうだ しかも沢山の品が売られている そしてあちこちで良い匂いがする これからの生活は心配も多いけど楽しみもちょっぴり増えたアインだった 買い物も自由にとユリエールに言われて 色々な食べ物を食べ 服なども見て回った
しかし女性と言うのはどうしてこうも買い物が好きなんだろう?
俺は着るものも頓着無いし 食べ物も特別不味くなければ 文句もない しかし厳しい姉からの教育を受けた俺としては一切不満そうな顔はしない これは姉からの鉄則で守れないなら女性と付き合えないと思え!と厳しく言い使っている それこそ物心ついたときは既に そういう教育されてきて骨身に染みついているので苦では無かった おかげでアインはいつもニコニコしている 姉の教育のお陰だ 素直に感謝しよう
さすがに州都に着いてからはユリエールは付きっ切りって訳には行かないらしく 何日か侍従さん達の案内で 街中を見て回った アインは楽しそうだ 彼女が楽しそうなのが何よりだ
こうして3日ほど経つとユリエールが そろそろ此方の世界の事や言葉を勉強するかと提案された
最後まで読んで頂きありがとうございます まだまだ書くことに不慣れですが精進していきます
よろしくお願いいたします