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【電子書籍〜4巻。コミカライズ予定】ダイアナマイト - 転生令嬢は政略結婚に夢を見る -  作者:
第三章 4CとC-4は些細な違い

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君に決めた!

 要らない誠実さを発揮したシルバーは、翌日からダイアナを託せる人物を探した。


 国内の貴族に、ダイアナを幸せにできそうな人物は見当たらなかった。

 どうあっても彼等は、成金男爵と縁続になることに尻込みする。

 スターリング家のようなワケアリじゃない限り、婚約の打診を受け入れるとは思えないし、ワケアリだとシルバー同様問題を引き起こす可能性が高い。


 ダイアナの新しい婚約者として、シルバーはジャスパー・ベリルに目を付けた。

 留学生の取りまとめ役になっているジャスパーは、エスメラルダの補佐をしているダイアナとも度々話す仲だった。


 ベリル家は、領地に複数の天然資源採掘場を所持している。

 政治的な発言力は強くないものの、コランダムでも指折りの資産家で、アダマス家の海外進出の助けになる。

 これならクレイも納得するだろう。


 遊び人な他の男子と違い、ジャスパーは異性にだらしなくない。

 彼に想い人がいない事は、それとなく確認済みなので、シルバーの二の舞にはならないだろう。

 シルバーが探りを入れたところ、彼はダイアナに対して好意的だった。

 彼には婚約者がいないし、ダイアナが元平民という点も気にする素振りはなかった。

 これ以上ない好条件が揃っている。


 シルバーはアレキサンダーに事情を話し、協力してもらう事にした。

 シルバーとアレキサンダー……この時点でフラグ、ビンビン。

 彼等の場合、三度目の正直とはならない。

 二度あることは、三度あるのパターンである。



 以前約束したこともあり、ジャスパーはアレキサンダーが王都観光に誘うとすぐに応じた。

 アレキサンダー、シルバー、ジャスパー、エスメラルダ、ダイアナの五人で出かける計画を立て、当日シルバーが体調不良で欠席すればWデートの出来上がりだ。

 アレキサンダーがダイアナとジャスパーの様子をチェックし、もし二人が良い雰囲気になれば、婚約者の変更を提案しようという魂胆である。

 実にお粗末な作戦だ。


 アレキサンダー主催ということで、女子二人は乗り気ではなかったが、ジャスパーは日頃から交流のある留学生。「彼に町案内したいので協力してくれ」と言われては、交流委員の彼女達は断り辛く、渋々参加することになった。


 シルバー……明らか人選ミスだ。

 そして、何故引き受けたんだアレキサンダー。

 先日のやり取り以降の微妙な空気で「一緒に出かけようZE!」と言われても、エスメラルダは「ハァ?」としか思わないぞ。

 なんなら「頭おかしいの? 反省する気ない?」となりかねない危険な行為だ。

 アレキサンダー。相変わらず危険な橋を、そうと気付かず渡る男である。


 男達の作戦は、もうこの時点で半分失敗していた。





 Wデート当日。

 彼女達はあくまで「交流の一環として他国の貴族を、ジェンマ国の貴族として接待する」というスタンスだったので、シルバーの欠席を伝えた時もあっさり受け入れた。

 男女比が二対二になったところで、デートとは認識しなかったのである。


 雲行きの怪しいスタートとなったお出かけは、やっぱりその後も微妙な感じで進行した。


「エスメラルダ。お前これ好きだったろ?」

「いつの話ですか……」

「ええと、今はこっちか?」

「どなたかとお間違えでは?」

「……」


 まさかの、仕掛け人がデバフ持ち。

 ダイアナとジャスパーが良い感じになるようにアシストするどころか、アレキサンダーが何かするごとに盛り下がる。おい、これが試合だったら、監督は速攻で選手交代してるぞ。


 アレキサンダーから誘ったため、彼なりに気を遣っているのだろうが、始終この調子で空回りしている。戻れアレキサンダー! それ以上はいけない!


 その光景は、破局間際のカップルというよりは、長年家庭を顧みず熟年離婚を切り出された夫に近かった。

 正直言って、滅茶苦茶気不味い。ジャスパーは居心地悪そうにしているし、ダイアナに至っては適当な理由をでっち上げて、エスメラルダと一緒に離脱する計画を立てだした。


 アレキサンダーは、今まで一度もエスメラルダをデートに誘ったことがない。

 婚約して十年──親戚同士で付き合いがあった期間を含めると、それこそ生まれた時から一緒にいると言っても過言ではないが、こうしてプライベートで遊びに出かけるのは、実は今日が初めてだ。

 エスメラルダとのデートは初めてだが、過去の不貞相手達とは何度もデートした経験がある。

 自分は経験値が高い、と自惚れていた彼は「実際に出かければなんとかなる」とノープランで挑んだが甘かった。

 毎度の事だがアレキサンダーの無駄な自信は、どこから湧いてくるんだろうな。自己肯定感高過ぎだろ。

 今までノープランでも上手くいっていたのは、相手がアレキサンダーに対して好意を持ち、彼とのデートを楽しもうとする気持ちがあったからだ。


「えーっと、俺……旧劇場に行ってみたいんですが、良いですか?」


 終いには、接待相手であるジャスパーに気を遣われる始末。


「旧劇場? 新劇場の方が近いぞ」

「コランダムで出版されている観光ガイドには、旧劇場が載ってるんです。一度見てみたくて」


 あるあるだ。観光ガイドと、実際の観光スポットに時差があるやつ。

 現地の人は「え? そんな微妙な場所に? もっと良い所あるよ」となるが、観光客にとってはその場所こそが、押さえておきたい定番スポット。


「今は封鎖されているから、外観を見るだけになるが……そう遠くないし、行くか」


 他に良い案もないので四人と、それを上回る五人の護衛はゾロゾロと移動した。


 よっぽど過保護なのか、ジャスパーの親は護衛の最低人数を五人としたので、ダイアナ達は自前の護衛を用意せずに彼の警護に乗っかることになった。

 マンツーマンにしても、一人フリーになる護衛がいる。


 確かに金持ちなんだろうが、こんなムチュコ大しゅきな家に嫁いだら、苦労するに決まってる。

 シルバーは女を見る目もなければ、男を見る目もイマイチだった。

面白い! 続きが気になる! などお気に召しましたら、ブックマーク又は☆をタップお願いします。


!ATTENTION!

次回からダイアナお嬢様が暴れまくります。

コメディの範囲ですが、念の為R-15に変更しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 頭文字D大暴れかぁ( *´艸)次回から期待大だね。(*ノ▽ノ)
[一言] シルバーのおかげでアレキサンダーが某皇帝のところへ行く確率が上がりましたね★ 次回ダイアナ様が暴れるとのこと。楽しみすぎて夜しか眠れません!
[良い点] 地雷を的確に踏み抜く男たち…… 次回は目を離せない!
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