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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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五百六十九章 ペトラの死

あ…更新日を間違えました。

仕方がないので…三月いっぱいは奇数日の更新ということで…><;;


この物語もそろそろ終わります。

最終決戦の締め括りと、伏線回収のためのエピソードがいくつか残すのみです。

さて、次はどうしましょうか…考えているのは3パターンです。

オリヴィアの前日譚、第九次人魔大戦、それとも全く別の短編(仮題:魔窟姫 プリンセスダンジョン)

よく考えてから決めたいと思います。

五百六十九章 ペトラの死


 タマラとオリヴィアは馬を駆ってイェルマ回廊を逆走していた。

「オリヴィア、どうして着いてくる?」

「ペトラがどうなったか…知りたいのよ…」

「…知ってどうする⁉︎」

「…生きてたら…生きてたら…イェルマ橋をよくぞ守ったって褒めてやる…!」

「…。」

 イェルマ城門前広場の最左翼に到着すると、二人は馬を捨て絶壁を深く削って作った不恰好な階段を登っていった。頂上に着くと、ちょうどペトラを斥候達が担架に乗せて搬送して来るのに出会った。

「ペトラ…!」

「タマラ師範…ペトラを祭事館に運び込みますっ!」

 ペトラは身をよじらせ、うめき声を上げていた。タマラが見ると、ペトラの皮鎧は焼け焦げ全身火傷…特に火球のほぼ直撃を受けた両腕は酷かった。「ファイヤーボール」は正確には爆弾ではない…超高熱のマグマの塊で、少し粘性を持っていて着弾後に爆発するのではなく飛び散るのである。なので…火球を弾いたとしても少し纏わり付く。

(お前は極熱に耐えて…火球を川に叩き落としてくれたんだな…)

 ペトラの両手は焼け落ちて…指がなかった。

 オリヴィアはペトラの姿を見て…声が出そうになったが何とか抑えた。

 ペトラが苦痛で体を反り上げた。

「…うぐうぅ〜〜っ!」

 その途端、斥候たちはペトラを抑え切れずにペトラを担架から落としてしまった。

「ペトラァ〜〜ッ!」

 ペトラは朦朧とした意識の中で、タマラが目の前にいることに気づいた。

「…あ、姉上…」

「ペトラ、心配するな…すぐにアナ殿に診てもらうからなっ!」

 ペトラはタマラの手のひらを握ってあげたかったが…。

「姉上…熱い…体じゅうが痛い…」

「分かってる、分かってるよ…。だから、ちょっとの間…大人しくして担架に乗って…」

 だが…痛みに耐えかねたペトラは仕切りに体を反り返し、さらに意識が混濁し始めた。

「…姉ちゃん…お母ちゃんは?…お母ちゃんはどこ…お母ちゃんに会いたい…あがああぁ〜〜っ…」

 これは助からないな…斥候たちは思った。

「ペトラ、大丈夫だ…大丈夫だよっ!すぐに良くなるよっ‼︎」

「うがあああぁ…痛い…痛い…!」

 タマラはしばらく目を閉じて…そして、オリヴィアに言った。

「オリヴィア…」

「…ん?」

「…『梅花掌』で…ペトラの左胸を打ってくれ…。」

「…え…?」

「…『梅花掌』で…『梅花掌』なら痛みはない…ペトラを楽にしてやってくれ…」

「えええっ…わたしは、そんな事のために『梅花掌』を覚えたんじゃないっ…!」

「頼むから…!」

「ううううぅ〜〜…」

 ペトラは大きく口を開けて呼吸をしていた…呼吸をするのもしんどそうだった…。

 タマラが斥候からナイフを借りて、タマラの焼け残った皮鎧を裂き鎖帷子を外したので…オリヴィアは「梅花掌」を発動させて、紅潮した両の掌で左胸…心臓を掌打した。

ドンッ…

「…はううぅ…!」

 そうひと言漏らして…ペトラの心臓はすぐに麻痺して…停止した。

 しばらく…タマラ、オリヴィア、そして斥候たちはその場から動けなかった。


 イェルマ軍はすぐにコッペリ村を隈なく捜索し、残存兵の掃討にあたった。しかし、見つかったのは負傷兵ばかりで、その数は1000を超えた。

 ボタンたちは戦闘の終わったコッペリ村を馬で見て回った。アルフォンスだけは「死人を見ても面白くない」と言って、イェルマに戻った。

 ひとりのイェルメイドがやって来て、ボタンに報告した。

「ボタン様、敵の負傷兵は約1000…どういたしましょう?」

「…殺してしまえ。」

「お待ちください。」

 ヴィオレッタがボタンの言に異を唱えた。

「…騎士兵はそれで構いません。彼らは貴族の子弟でありエステリック王国に忠誠を誓った者たちですから、死の報いを受けるのは当然やもしれません。ですが、義勇兵は…自分の意志に反して無理やりこの戦場に連れてこられた者がほとんどでしょう。死を以て報いを受けさせるのは酷な気がします…。どうでしょうか、義勇兵だった者は労働力としてコッペリ村再建とイェルマ城門修復に従事させた後に…無罪放免という事にしては?」

「しかし、負傷しているからすぐには使い物にはならんぞ。ただ飯食わすのもなぁ…」

「…アナ殿を呼んで来ましょう。」

「むっ…敵を治療してやるのか?アナ殿は我が軍の負傷者だけで手一杯だと思うが…」

「アナ殿なら…敵味方関係なく、頑張ってくれると思いますよ。」

 ヴィオレッタの馬の鞍の前に座っていたセイラムが叫んだ。

「アナは敵だって治すよぉ〜〜っ!セイラムだって敵を治すよぉ〜〜っ!それがクレリックなんだよぉ〜〜っ!」

「そ…そうか、分かった。…セレスティシア殿は不思議だなぁ。戦争に勝つためには敵の武器の使い回し、暗殺など卑怯な…あ、いや、失礼…手段を選ばないのに、その敵に情けを掛けるとは…やっている事があべこべではないか?」

「…自分の仲間や家族を守るために、戦争には必ず勝たねばなりません…どんな手を使ってでもね…。でも、戦争が終わってしまえば…これ以上お互いに、大切な命を奪い合う必要はないでしょう?無闇に人を殺せば…『憎しみ』が生まれます。その仲間が報復にやって来ます。そしてまた、仲間が殺されれば報復しに行きます…こんな悲しい殺し合いの連鎖なんて、私はごめん被りたいですね…。こんな時代ですから戦争に備える事は大切ですが、リーンの民には殺伐とした感情に囚われず…いつも穏やかな気持ちでいてもらいたいですね。」

「…そうか、なるほどな…。」

 セイラムが言った。

「みんな、オキラクなのが一番だよぉ〜〜っ!」

「…んん⁉︎」

「ちょっと…セイラムちゃん、それ、微妙に使い方間違ってない⁉︎」

 確かに…戦争が終結して、みんな気楽になったのは間違いないが…。

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