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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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五百四十九章 共闘

五百四十九章 共闘


 ベロニカ、エビータ、ティモシー、レンド、ピックにベンジャミンを加えた六人は村外れの林の中に移動した。

「ベロニカ…教えてくれ。お前らは何を考えてる、何をやろうとしてるんだ⁉︎」

 ベロニカは冷ややかな笑みを浮かべて言った。

「近いうちに、東の街道をティアーク軍が通過するわ、それを襲いまぁ〜〜す。」 

「何だとっ⁉︎…無理だ、俺たちは十四人しかいないんだぞっ!」

「食糧を襲うの。それならできるでしょ?」

「そんな事をしたら…俺たちはお尋ね者だぞ!同盟国で生きていけなくなる…」

「そんなの…バレなきゃ良いじゃん。まぁ、私たちはバレても全然構わないんだけどね。」

「一体…何のために…?」

「…ティアークの援軍をイェルマに行かせないためよぉ〜〜。イェルマまでは最短でも二週間…食糧がなければ後戻りするしかないでしょ?」

「イェルマ?…もしかして、お前…」

 ベロニカはいやらしい表情で言い放った。

「あっれぇ〜〜、言わなかったっけぇ…私はイェルメイドよぉ〜〜っ!おほほほほっ‼︎」

「…うぐっ!」

 エビータは少し…ベロニカから顔を背けた。

(…何て嫌な女。)

 ベンジャミンはエビータに顔を向けた。

「お前も…イェルメイドだったのか!」

「いや、違う。だが…私たちもイェルマにくみする者だ。」

 ベロニカは言った。

「私たち五人だけでやっても良いんだけどぉ…数は多い方が楽でしょ?できたら、ベンジャミンたちにも手伝って欲しいなぁ〜〜…どするぅ?」

 ベロニカの冷たい目を見て、ベンジャミンは思った。

(嫌だと言ったら俺は殺されるな…そして、俺のグループはエレーナが新しいリーダーとなって乗っ取られるだろうな…。)

「分かった…お前たちに従おう。で…何か、戦術があるのか?」

 エビータが言った。

「私、ティモシー、レンド、ピックは斥候職だ。東の街道付近で常時偵察をする。援軍の軍列を見つけたら、お前たちも呼ぶ。そしてみんなで食糧の馬車を襲って焼き払って、即撤退する。」

 ベンジャミンは言った。

「…なるほどな。食糧だけをピンポイントで狙うのであれば…この人数でも可能かもな…」


 ベンジャミンたちは空き家を借りる時、自分たちはティアークの冒険者だと偽った。オリゴ村の村長と接見した時には、ベロニカが自分の冒険者ギルドのメンバー票を提示した。

「ほぅほぅ…冒険者さんがオリゴ村に何をしに?」

「この辺りでゴブリンを見たという情報がありましてね、念のために冒険者ギルドで調査する事になったんですよ。」

「おお、それは怖い。もし、ゴブリンがいたら…退治してくださいよ。」

「もちろんですよ。」

 ベンジャミン、ベロニカ、エビータは他の仲間をアジトに残して、オリゴ村の探索をした。不慮の事故が起きないように、オリゴ村の事情を熟知しておかなければならない。

 オリゴ村は村人のほとんどは農民で、育てた作物やヤギ、ブタを比較的近いティアーク王国の城下町に持っていって貨幣を得ている。城下町が近いせいか、鍛冶屋や仕立て屋はないようだ。

 ベンジャミンたちは村唯一の宿屋に入った。そして、三人は一階ホールのカウンターに座った。

「この村で酒を飲めるのはここだけみたいだな。亭主、ビールをくれ。」

 ベンジャミンはビールを注文した。そして…

「お前らは飲まないのか?」

 エビータは首を横に振った。そしてベロニカは…

「私、お酒で失敗したからねぇ…お酒はやめた…。」

「お前みたいな邪悪で我欲の権化が…酒断ちなんて信じられん。」

「ベ…ベンジャミン、おまっ…何て事を…!」

 そんな会話をしていると…宿屋に金属鎧を装備した五人の男たちが入ってきた。宿屋の亭主はあからさまに嫌な顔をした。

 男たちはテーブル席に座り、ビールを注文した。

「こっち、大ジョッキ五つだ。」

 宿屋の亭主が男たちにビールを運んで行って戻ってくると、ベンジャミンは小声で亭主に尋ねた。

「おい、亭主。あれはどこの兵隊だ?」

「ティアークの騎士兵ですよ。ずっとこの村にいましてね…いやもう、我が物顔ですよ…。義勇兵五人と一緒におりまして、全部で十人ですかね…。」

「で、何やってるんだ?」

「詳しい事は知りませんが…東の街道を通る貴族や女をチェックしてるとか…?」

 ヴィオレッタがティアークの城下町からの逃亡を成功させた時、怒ったガルディン公爵が東の街道に配置した「見張り」たちだ。

 ベンジャミンは隣のエビータに視線を送って、小声で言った。

「…邪魔だな。」

「…今晩、排除する。」

 ベロニカは隣で、はしゃいで言った。

「あひゃひゃひゃ…吊るせ、吊るせ、みんな吊るせぇ〜〜っ!」

 エビータ、ティモシー、レンド、ピックは手分けして騎士兵と義勇兵の拠点を確定させ、その夜には行動を起こした。

 農家の母屋の前で、ベンジャミンはエビータたちを見送った。

「本当にその数でやれるのか…?大人はいいとして…ええと、ティモシーだったか、その少年は大丈夫なのか⁉︎」

 エビータは言った。

「大丈夫だ、ベンジャミン。相手が普通の人間の兵士なら…そもそもティモシーだけでも充分なのだ。」

「…普通の人間って…?」

 エビータはちょっと笑って、バンダナを外した。そして、レンド、ピックもバンダナを取った。

「うっ…お前ら…⁉︎」

「音が聴こえにくいので、耳を隠すのは抵抗があった。じゃ、すぐに済ませてくる…」

 エビータたちは一瞬で闇の中に紛れていった。そして…十五分程で四人揃って戻って来た。

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