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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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五百九章 獣人族到着

五百九章 獣人族到着


 夜の十一時頃、イェルマ中央通りをけたたましい地鳴りを上げて…ウェアウルフとケットシーの連合軍がイェルマ中広場に到着した。

「来たよぉ〜〜っ!」

 ケットシーの族長タビサの声に、中広場で待機していた武闘家たちが集まってきた。

 タマラとペトラが歓迎の意を示した。

「…ありがたい、よく来てくれた!これでイェルマは鬼に金棒だっ!」

「にゃははははぁ〜〜っ!任しときっちゃっ‼︎」

「タビサ殿、ネビライ殿…何か欲しい物があれば用意させる、遠慮なく言ってくれ…」

「うちら…30時間、ほぼ飲まず食わずやったけぇ…何か食べさせてくれん?」

「おっ…それは気付かず申し訳なかった。北の斜面でも南の斜面でも、一段目に行けば炊き出しをやっている。そこに行けば…」

 タマラの言葉を半分も聞かないうちに…獣人族は大挙して一段目に向かって大移動を始めた。

 タマラはポツリと言った。

「そんな…一偏いっぺんに行ったら、すぐに炊き出しのお釜が空になってしまう…」


 その頃、オリヴィアは南の五段目の鍛治工房にいた。

 アヤメとドミニクは時間を掛けてオリヴィアスペシャルマークⅡの先端の「砂蟲の歯」を鋼本体から削り出してくれて、さらに取っ手部分にも砥石を掛けてくれた。

「どうだい、オリヴィア?」

「おおぉ〜〜…クルクル回るっ!…スムーズだっ!」

「重さとかバランスはどうよ?」

「もうちょっと下の方が重くてもいいかなぁ…それから、全体的にカッコいい綺麗な模様が欲しい。それと、裏側に『Olivia special mkⅡ』って刻印を入れて欲しいっ!」

「おい…いい加減にしろ。」

 オリヴィアとアヤメは時折、鍛治工房の外で剣と鋼のかいで打ち合ってはオリヴィアスペシャルマークⅡの微調整をした。

 アヤメは言った。

「よし…下の方に100gくらい鋼を盛るか…。二日くらいしたら、またおいで。」

「よろちくぅ〜〜っ!」

 オリヴィアが鍛治工房から出ると、すでに辺りは真っ暗になっていた。それでも、所々にかがり火が設置されているので、それを頼りにどんどんと南の斜面を下っていった。

 南の一段目に到達した時、オリヴィアは何かにけつまずいて転びそうになった。

「な…何だ?」

 暗がりの中で、オリヴィアがしゃがみ込んでつまずいた物をよくよく見てみると…それはウェアウルフだった。

「うおっ…死んでる?」

 死んではいなかった。長旅の疲れで爆睡しているだけだった。

 オリヴィアは少し歩いてみた。すると、南の一段目のあちらこちらで獣人族がごろ寝していて、中にはお椀を握ったまま仰向けで寝ている者もいた。炊き出しで空腹を満たした途端、強烈な睡魔に襲われて抵抗できずに…といったところか…。

「お…ケットシーもおる!」

 オリヴィアは寝ているウェアウルフの中にケットシーを見つけた。ケットシーがいるってことは…!

 オリヴィアは南の一段目を探してみた。炊き出しの屋台付近はかがり火がより多く設置されていたので、オリヴィアはすぐに見つかるだろうと思っていた。空になった三つの大鍋を岩清水で必死に洗っている生産部の駆け込み女たちを見つけた。四つ目の大鍋に頭を突っ込んで一生懸命鍋の底を舐めているウェアウルフを見つけた。ひとつのライ麦パンを取り合っている二匹の若いケットシーを見つけた。

 そして…オリヴィアは地面の上で猫のように丸くなって寝ているタビサを見つけた。

 オリヴィアはすぐそばにしゃがみ込んで…タビサの耳を指先でチョンチョンと突ついた。するとタビサの耳がパタパタと動いた。

「うひひひひひひ…」

 今度はタビサのヒゲを摘んでみた。タビサはペロッとヒゲの付け根の辺りを舐めて…頭をガードするように両手で抱え込み、コロンと転がってお腹を見せた。

「うひゃひゃひゃひゃ…」

 オリヴィアがタビサのお腹を手で優しく撫でると…タビサは仰向けのまま万歳の姿勢になって、ゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

「タビサちゃん…ホントに寝てるのかしらぁ…?思いっきり、一発殴ってみようかしら…」


 タビサは夢を見ていた。

 タビサは広い草原の真ん中にいて、なぜか立ちすくんでいた。すると、草原の草むらから一匹のモグラが顔を出して…タビサの事を笑った。

「ケケケケケケ…!」

 ムカッときたタビサは、そのモグラに飛び付いて強烈な爪攻撃をお見舞いした。しかし…モグラはすぐに地中に潜ってタビサの爪攻撃を躱し、タビサの背中側の地面から顔を出して再び笑った。

 タビサはその卓越した敏捷性で、どんどんとモグラを攻撃していった…「モグラ叩き」だ。

 十数回叩いて、タビサが「今度は成功した!」と思ったその時、モグラは身をひるがえして爪を躱し宙を飛んで…何とタビサの鼻っ柱に噛み付いた。

「ふぎゃあああぁ〜〜っ!」

 ここでタビサは目を覚ました。タビサが見回すと、辺りはごろ寝をしている獣人族たちだけだった。

「…んにゃ?」

 タビサは武闘家の深度1のスキル「鷹爪」を獲得していた。

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