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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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三百九十三章 エヴェレットの念話

三百九十三章 エヴェレットの念話


 その夜、ヴィオレッタたちは食後のひと時を王妃の部屋でくつろいでいた。

 エヴァンジェリン王妃と侍女のフランチェスカは紅茶を飲んでいて、ティモシーとウィルヘルム皇太子はかくれんぼをしていた。王妃の部屋はそんなに広くはないけれど、「シャドウハイド」で隠れたティモシーを皇太子はなかなか見つけることができないでいた。

 ヴィオレッタ、エビータ、そして近衛兵団長のパトリックはこれからの事を相談していた。

 ヴィオレッタが言った。

「王宮の外…せめて、冒険者ギルドのホーキンズさんともっと密に連絡を取りたいですねぇ…。一昨日、ティモシーが王妃様と一緒に外出したけれど、法務尚書の部下とやらにピッタリマークされていたらしいです…。」

 頭を抱えながら、パトリックが言った。

「法務尚書のエルガー侯爵は良い人なのですが…配下の者がガルディン公爵に買収されている可能性が高いですねぇ…。」

 金属鎧をつけたエビータが言った。

「諸悪の根源はガルディンとやらですね?…どうぞ、私めにその者を暗殺することをお許しください。」

「いいでしょう…できるだけ、血を見るのは避けたいところですが、この際仕方がないかも。…但し、絶対に証拠を残してはいけませんよ。」

 パトリックが言った。

「…それは不可能ですよ。ガルディン公爵は夜は自宅か別宅です。王宮から出るだけでも大変なのに、自宅か別邸かの二つにひとつ…それに、ガルディン公爵邸には百人もの私兵がいるそうです。」

「ううぅ〜〜ん…。」

 ヴィオレッタは腕組みをしてうつむいてしまった。その時…ヴィオレッタの頭の中で声が響いた。

(…ヴィオレッタ様…ヴィオレッタ様…?)

 ヴィオレッタはびっくりした。そしてすぐに「念話」を折り返した。

(…えっ⁉︎…エヴェレットさん?…ティアークに来てるんですかっ⁉︎)

(あなたと言う人は…一体、何をやっているのですかっ⁉︎…あれほど自重しなさいと言ったのにっ…!)

(…ごめんなさい。)

(…ご無事ですか?お体にお変わりはありませんか?ちゃんと食事は召し上がっておられますか?)

(大丈夫ですよ…。)

(ああ…良かった。必ずそこからお救いいたしますので、今しばらくの我慢を…!)

(ありがとうございます。でも…エヴェレットさんがこちらに来て…リーンは大丈夫ですか?)

(抜かりはありません!ベルデン教会のダーナを移動させて、ラクスマンの国境付近に配置して来ましたので…「念話」ネットワークでいつでも「セコイアの懐」のティルムと連絡できますよ‼︎)

(おおっ!…それはありがたい、ナイスです、エヴェレットさんっ‼︎)

 ダーナはベルデン教会の教会主としてベルデン族長区に赴任していた。そのダーナをラクスマンの国境付近に待機させることによってエヴェレットの「念話」が届く範囲内となり、「セコイアの懐」と連絡が取れるようになる。これでヴィオレッタは王宮内にいてもエヴェレット、ダーナ、ティルムを介してリーン全体に指示を出すことができる。

(それでは…こちらの準備が整い次第、リーンの軍隊を動かしてもらいます…)

(ラクスマンと交戦するおつもりですか?)

(いいえ、ブラフですよ…振りだけです。リーンの軍隊をこれみよがしに緩衝地帯に配置すれば、私がそこを通過すると思うでしょう?)

(…なるほど。そして、ヴィオレッタ様は逆方向の…イェルマ渓谷を目指すと…。ですが…そんなことをしなくても、峠の抜け道を使えば…)

(あの道を使えば容易にリーンに入ることはできるかもしれません。でも、追っ手がかかればあの抜け道の存在がバレてしまいます…リーンの絶対的な孤立を避けるために、あの峠の抜け道だけは隠しておきたいのです。)

(そうですか…それで、いつになったらそちらの準備は整うのでしょう?)

(あと二人…手元に置くことができれば…。そう言えば、レイモンドさんとダスティンさんは…?)

(王宮に潜入しようとしましたが…途中で断念したようです。)

(うぇっ…‼︎)


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