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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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二十七章 突然ですが、結婚しました!

二十七章 突然ですが、結婚しました!


 次の日の夜、色んな意味で事態は急展開した。

 筆写士事務所から帰ってきたアンネリが言った。

「ヴィオレッタさんに会えた。あっちは心配ないようだ。それで…明日の早朝、ここを出るよ。」

「えっ…!」

 オリヴィアは、一緒に寝台に座っていたセドリックに抱き着いた。セドリックは自分が渡した手紙の成り行きを気にして、今日も実家を訪れていた。

「わたし、行かなぁ~~い。」

「…うぉ⁉」

「せっかく…せっかく、こうしてセドリックと運命的な出遭いを果たしたのに…もう少し一緒にいたい!」

「いやいや…いやいやいやいやっ!これはもう、決定事項だよ、オリヴィアさん!そういう段取りになったんだから、駄々をこねないでっ‼」

「だってぇ…だって、だって、だってぇ~~っ…!」

 その様子を見て、グレイスは笑い転げていた。

「あはははは、いいねぇ…いいねぇ、オリヴィア。自分に正直に生きてるねぇ!」

「笑いごとじゃないですよ、グレイスさん!オリヴィアさんがここにいたら、いつかはばれて憲兵に捕まっちゃいますよ!そうなったら、グレイスさんもセドリックもただじゃ済まないでしょう⁉」

「…確かに。オリヴィアをかくまってるつもりはないけれど、あの伯爵様のやることだ、一緒にいたら…母子そろって吊るし首ってのはあり得るね。」

「わたしがお二人をお守りいたします!この命果てるともっ‼」

 オリヴィアは大見栄を切った。

「果てちゃだめだろーがっ!」

 グレイスは再び、腹をよじって笑い転げた。そして、笑いが収まると物静かに言った。

「…セドリック、あなたオリヴィアのこと、どう思ってる?好き?」

「え…っと…嫌いじゃないですよ。」

 セドリックは寄り掛かって必死に左腕を捕まえているオリヴィアの顔を見た。潤んだ目と半開きの厚めで大きな唇が、どちらも蠟燭の火に照らされて綺麗だった。少し視線をさげると、お母さんの着古したワンピースの襟から少しだけ…自分の左腕が押し付けてできた胸の谷間が見えた。

「…どちらかと言うと…好き…です。」

「じゃ、もう、結婚しなさい、ここで!今すぐっ‼」

「!」

「きゃあぁぁぁ~~~っ!」

 オリヴィアは歓喜の叫びをあげた。

「…う、ウソ!」

「それで、どこでもいいから次に会う場所を約束しなさい!夫婦なんだから神聖な約束よ、絶対に破らないこと!夫婦の絆が二人を再会させてくれる…そう信じなさい!それで、明日オリヴィアはアンネリと一緒に行く…はい、決定!」

「わ、わかりました、お母さん。」

「結婚は嬉しいけど…行きたくなぁーい…」

 この期に及んでも、まだオリヴィアは駄々をこねた。グレイスがオリヴィアに質問した。

「オリヴィア、親御さんはいる?」

「いません…親代わりになってくれた人はいるけど…」

 オーレリィの事だ。

「じゃ、いないってことで!セドリックの母はこの結婚を認めました、立会人のアンネリも認めました、結婚成立!」

(オ…オリヴィアさんってば…イェルマを抜けるつもり?それともイェルマから通うの⁉)

 オリヴィアは何も考えてなかった。

「今晩は初夜よ、良い思い出を作って明日出発しなさい。私とアンネリは子供たちに混ざって寝るから…それじゃね。」

 グレイスとアンネリは二人を残して部屋を出て行った。

 アンネリは歩きながらグレイスと話をした。

「あれで良かったんですか?凄く強引だったような…」

「ああでもしないと、オリヴィアはここを動かないでしょう?」

「でも、セドリックの気持ちは…」

「大丈夫、大丈夫!セディの好みは母親の私がよく知ってるわ。オリヴィアしかいないって!」

「なぜ断言を…」

 グレイスはアンネリに自分の豊かすぎる胸を突き出してみせた。それかっ…それが決め手か!

「それにしても…」

「はい?」

「ホントに十八歳…?」

(言えない!絶対に言えない…この状況で!子持ちだなんて、もっと言えないっ‼)

 

 蝋燭一本の薄明りの小さな部屋で、オリヴィアとセドリックは二人だけになった。

「オリヴィアさん、約束の場所はどこにしましょう。」

「うぅ~~ん、どこにしよう…」

 オリヴィアが思い浮かべるのはイェルマしかなかった。

「そうだ、セドリックゥ、コッペリ村って知ってるぅ?」

「最近聞きましたよ、その村の名前。ケントさんが言ってました、東世界に一番近い村だって。養蚕を始めるなら、そこがいいんじゃないかって。」

「ようさん?」

「蚕ですよ。こちらの世界でもシルク糸を作ることができたら、もっとシルク生地が広まって莫大な利益を生むと思うんですよね。」

「シルクって言った?今、シルクって言ったぁっ⁉」

「…言いました。ゆくゆくはコッペリ村にシルクの紡績工場を作れたらいいなぁ。」

「やりましょうよ!わたしも協力するっ‼二人でシルクの工場を作りましょう‼」

「…本当に?」

「もちろんっ!わたしたち夫婦でつくりましょうよっ‼」

「…うん!」

「じゃぁ、約束の場所はコッペリ村に決定ね!」

「ですね!」

 上気した二人の顔は次第に近づいていき、お互いの唇が重なり合った…約束の証として。


 ここで終われば純愛ラブロマンスなのだが、まだ続いてしまうのがオリヴィアだった。

 興奮を抑えきれないオリヴィアは、十五歳の少年の唇に舌を入れた。セドリックは、これが噂に聞いた大人の、十八歳の接吻かと思い、頑張ってその舌に自分の舌を絡めた。オリヴィアはセドリックの唇を求めつつ、彼の股間に手を伸ばし、「別の物」も求めた。セドリックの興奮も次第に膨れ上がり、それに比例するかのように「別の物」も膨れ上がった。それを認めたオリヴィアはすぐに服を脱いで全裸になり、セドリックのズボンを降ろした。そしてオリヴィアはセドリックにまたがり、「別の物」に「別の唇」で接吻をしようとした。だが、ふたつが触れるや否や、放出してセドリックは果ててしまった。

「あらららぁ…。」

「ご…ごめんなさい…。」

「いいのよぉ~~、心配しないでぇ~~。若いから何回でも取返しがつくわぁっ!」

 オリヴィアは萎えてしまった「別の物」を……。そして再び萎えてしまった「別の物」を……。さらにしつこく萎えてしまった「別の物」を……。

 結局この夜、オリヴィアとセドリックは本当の夫婦になることはできなかった。夜が更けて二人はグレイスの寝台で重なるようにして寝た。栗の花の香りがオリヴィアの鼻をくすぐった。


 次の日の早朝、ティアーク城下町の南門。南門は東の正門に比べると、使用される頻度が少ないのではるかに小さい作りになっている。

 六人の兵士がやってきて、詰め所の夜番三人と交代した。そろそろ開門の時間である。普段であれば門番は三人程度であるが、ロットマイヤー伯爵邸襲撃の事件をうけて増員されたのだ。

 城門が開き、四人の兵士がそれぞれ門の外側と内側に立った。残り二人は詰め所にいる。

 外側に立っていた門番が何かに気づいた。

「あれは何だ?」

 街道から人影らしきものがこちらに歩いてくる。人影は少しずつ近づいてきて、約50m先あたりでそれが髪の毛の黒い少女であることがわかった。

「あれ、黒髪の少女じゃないのか?伯爵邸を襲ったという…!」

「本当か⁉」

 全ての門番が南門外に出張ってきて警戒態勢をとった。少女は歩をとめて、くるりと背中を向けた。

 門番の責任者である兵士長が叫んだ。

「あの少女を捕らえろ!」

 六人は槍を構えて全速力で少女を追った。

 すると少女は左側に立っている大きな木の陰に隠れてしまった。追いついた門番たちが木の周りを捜索したが、少女はどこにもいなかった。

「探せ、もっとよく探せ!」

 門番たちが50m先で探し物をしている光景を眺めながら、門の近くに潜んでいたオリヴィア、そして「デコイ」を解除したアンネリがこっそりと南門を抜けていった。

 しばらくして、馬車が南門を通過した。

「皆さん、おはようございます。どうされたんですか?」

「ん…?なんだ、冒険者ギルドのホーキンズか。俺たちは忙しい、さっさと通っていけ!」

「いやぁ、朝から仕事熱心で感心、感心。それでは失礼しますよ。」

 馬車は小さな街道をゆっくりゆっくり進んだ。オリヴィアとアンネリは物陰に身を隠しながら、その馬車を追った。

丸ごとぼやき その2


 レンタルDVD屋に行きました。最新DVDのコーナーに、「ハウスオブドラゴン」というDVDが置いてありました。「ドラゴン」というワードに反応してしまう私。

 解説を読むと、映画ではなくTVシリーズのようだ。5年前の大ヒットTVシリーズ「ゲームオブスローンズ」の前日譚とある。「ゲーム」というワードに萎える私。この手の物語はゲームのルールを理解しないと楽しめない?認知症の進行を危惧してEPAサプリメントを飲んでいる今日この頃、小難しいルールを覚える気はさらさらないのです。

 でも、興味があったので、「ゲームオブスローンズ」を探してみました。ありました。第8シーズンまであるのか!思い切って、2巻借りて観ました。ドハマリしました。ハードファンタジーでした。

 雰囲気としては、「ロードオブリング」に近いでしょうか。とにかく、エロい、エグいの連発!人を殺すシーンの表現が直接的すぎ!主人公かと思っていたキャラクターがどんどん、あっけなく殺されていく。性格異常者?がしぶとく生き延びる…面白い。ドラゴンも登場して…全シリーズを一気に観てしまいました!「戦乙女イェルメイド」の参考にもなりました。

 刺激が足りないとお嘆きの貴方、是非一度ご覧あれ。

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