表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
17/500

十七章 修復士

十七章 修復士


 昨日の夜、アンネリを見送って、極楽亭にいてもすることがないヴィオレッタができる事と言ったら筆写士事務所を訪ねることだけだった。

 朝起きて朝食を済ませると、すぐに宿を出て筆写士事務所に向かった。事務所に着くと、事務所の主人のダントンが出迎えてくれて、応接室でお茶をもらった。

「どうでしたか?シーグアさんの家は見つかりましたか?」

「はい、見つかりましたよ。」

「ほう、それはそれは…。」

「近所の人の話ですと、シーグアさんはもうずっと昔に亡くなったそうです。空き家になっていました。」

「そうですか…」

 ヴィオレッタは嘘をついた。人間なら死んでいて当然だし、仮にシーグアがエルフで約束の月の十五日に会えたとしても、エルフを知らない人にエルフの話をしても仕方がない。かえって面倒なことになると思ったからだ。

 ヴィオレッタはさりげなく話題を変えた。

「もう修復士の方と連絡は取れましたか?」

「昨日の今日ですよ⁉︎先ほど使いを出したばかりです。そう焦らないでくださいよ。本の完全な復元ともなると、一年、二年の長丁場になりますし。」

「あはは…ごめんなさい。なんか、おかしな事言っちゃいましたね…。」

「今、使いを出している知り合いの修復士は若いですが腕は良いです。若いので多分お安く契約できると思いますよ。」

「昨日、宿に帰って手持ちのお金を確認しました。金貨が27枚、銀貨が75枚、銅貨は…まあいいでしょう。契約するのにどれくらい必要でしょうか?」

「そうですねぇ…特殊技能ですから日当で銀貨5枚ぐらいでしょうか。一年で1825枚…金貨に直すと18枚ぐらいですか。それにもろもろ必要経費もありますし、一年の契約で相場は金貨20枚ぐらいでしょうかね。原稿の状態を見せてからの話ですから、多少の上下はありますが。」

「一年かぁ…。ん…?」

 考えてみたら、近い将来ダフネ達とイェルマに戻らねばならない。ティアーク王国に一年も滞在できるはずがない。一年後に本を取りに来るにしても、支払いはどうなるのだろう?

「一年の契約をするとして、支払い方法は?」

「もちろん、一括です。」

 みんなには悪いけれど、これからは食費を節約しないといけないなとヴィオレッタは思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ