邂逅
では、早速···。
―ほっ···本当に下界に降りられるのですか!?―
うん。先ずは、自分の惑星の人々がどんな生活をしているのか確認しないと。
―はぁ···。かしこまりました。では、行き先は?―
とりあえず、大陸の1つ目の集落に。
―では、そのように。転送先はお社になりますが、その格好では···―
ん?そう言われてみると、Yシャツにスラックスじゃ目立つか。
―服の方は、袖付きの服で良いでしょう―
ん。ちょっとゴワつくけど仕方ないか。それじゃ、転送をお願い。
―畏まりました―
●
目の前が暗転する。少しの浮遊感があったと思うと、空気がヒンヤリする場所に降り立った。目を開けると、大木の根本に簡易的な石組みのナニカが目に写った。どうやらこれが、今の時代のお社のようだ。おや、背後で足音がする。どうやら人が来たようだ。
「んん?見ない顔だが、一体どこから入ってきた?」
問題なく言語理解は発動している。まぁ、ここにいる時点で、大丈夫だとは思っていたが、話しかけられるまではわからないからな。
「ん?どこか悪いところでもあるのか?」
おっと。余りにも俺が話さないから不安にさせてしまったみたいだ。しかし、私が神様ですって言ったて、頭のおかしいやつ扱いだからな···。ということは、お決まりのあれで行くしかないか。
「すみません。どうやってここに来たのか分からなくって···」
「ふむ···記憶がないのか。とりあえず、お供えをするから少し待っていてくれ。っと、そこから少し動いてくれ。お社に供えられんからな」
「あっはい。」
そう言って、目の前の男性は持っていた野花や野草類をお社の前においた。そして、一礼。どうやって二礼二拍手一礼(二礼四拍手一礼)が生まれたのだろう。そして、その信仰対象はあなたな後ろにいるわけで···。あっ!消えた。なるほど···本当に消えるんだ。そしてちょっとばかし体が温かい。これが信仰度の蓄積なのか。供物に関しては、戻ったら確認しよう。
「おう。待たせたな」
「いえ。それにしても不思議ですね」
「ん?なにがだ?」
「供えたものが消えるのって」
「···あぁ。記憶がなかったんだっけな。供えたら消える。神が居るんだから当然だろうに。さっ行くぞ」
「はっ。はい!」
そうか···供物が消えるのは当然なのか。記憶喪失って言っておいて正解だったな。さてさて、彼に着いていって鬼が出るか蛇が出るか。まぁなんとかなるかな。
『ふむ。自らの惑星の民と交流を生身で持ったか。これはこれは。なにか授けねばな』