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「貫太坊は楽しめたのか?」
「結構、面白かったです」
ぷにキューのDVDを観ておけと押しつけられたときは途方に暮れたが、観てみるとなかなか面白かった
評判なだけはある。
リビングでぷにキューを観ているといつの間にか家族が集まり、家族全員でぷにキュー鑑賞をするのが夕食後のルーティンになってしまった。
祖母と紅葉がどハマりしてたのは驚いた。イベントには誘わなかったが。
「へー……お琴ちゃんがなぁ」
「ばあちゃん、正座で観てたんですよ」
目を丸くする二人を見ながら、祖母の前のめりな姿勢を思い出し、貫太は思わず笑ってしまった。
牛島の奇行を目の当たりにしたときは誘いに乗ったことをかなり後悔したが、イベント自体は楽しくてあっという間に終了時間になってしまった。
終わってみれば、大満足な一日だった。
息抜きもできただろうと今日渡された問題集の多さにも耐えられるくらいには。
「他の子達は受験勉強、大丈夫そうか?」
貫太の脳裏には真っ先に牛島の姿が思い浮かぶ。成績が少し下がってるという話だったがイベント終わりではスッキリした顔をしていたので、今回のことはきっといい気分転換になったはずだ。
「大丈夫だと思う。スーさんは元から何の心配もないし、牛島達も合格圏内って言われてるから」
牛島と九条は県内一の公立進学校を希望している。
「あそこな」
隆のよく知っているふうな口ぶりにそこが隆の母校だったことを思い出した。
一瞬、何か引っかかったが次に続いた隆の発言のせいで違和感はすぐに消えていった。
「あそこの学校志望なら、学舎に志望校鞍替えしてもいけますね」
「そうだな」
隆がスーに引き続き、牛島達を七宝学舎に誘おうとしている。
なぜだ。
今から受験志望校を変えるなんてどうかしてる。変えた自分が言うことじゃないが。
「……なんでそんなに俺の友達、七宝学舎に引っ張り込もうとしてるの?」
「引っ張り込むって人聞きが悪いな」
「知り合いは多いほうがいいだろうよ」
なぜか二人から反論されてしまった。
間違っているのは貫太らしい。




