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公民館話は牛島からはニヤニヤ笑い、九条からは呆れ顔を引き出すことに成功した。
そんなことに成功したかったわけではないが。
「そういや、週末イベ、行けるんだって? スーに聞いたけどさ、貫太の親戚の人、アニメに理解があっていいよなぁ」
牛島がセリフの前半はウキウキと後半は心底羨ましそうに言った。
理解があるって言うのかなと疑問を抱いていると「同じ趣味なんて最高じゃん!」と握り拳で牛島は力説する。
「同じ、趣味……?」
「否定したほうがよくね? 仲間認定されたら今度から毎回、ぷにキューイベントに誘われるぞ」
いつの間に自分は同じ趣味にカテゴライズされたのかと呆然としているとスーは冷静に貫太が今置かれている状況を説明した。
すなわち、貫太の親戚の人──隆と貫太はアニメ、『ぷにキュー』大好き仲間であると牛島の中で認定されようとしていると。
ナカーマ。ナカーマ。
そう言いながらミニ牛島が自分の周りを囃し立てるイメージが頭に浮かび、貫太は渾身の力で叫んだ。
「ちがーう!」
「なんだよー。仲間でいいだろ。ナカーマ」
「ナカーマ」
「ナカーマ」
「いや、なんで二人とも牛島側なわけ!? どっちの味方なんだよ!」
おかしい。スーと九条は貫太と同じでぷにキューとは距離があったはずだ。九条は若干怪しかったけど。
貫太の叫びにスーと九条は顔を見合わせ、コソコソ話しはじめた。
「どっち……?」
「どっちだ?」
「そりゃあ……牛島側についたほうが貫太の反応は面白くなるな」
「だな。よし!」
話がまとまったところで二人は堂々と牛島側だと宣言した。
「なんでだよ! いや、ぷにキューが嫌ってわけじゃなくて、なんというか俺、そのアニメ観たこともないし……あれ? スーさんも九条も観たことないんじゃないの?」
貫太の疑問に牛島はなぜかドヤ顔で胸を張った。
「スーには昨日、俺のコレクションである『ぷにキュー』第一シーズンのDVD全巻貸したから」
九条のほうを見ると九条は無の表情をしたまま、以前、牛島にDVD全巻を押し貸しされたと語った。ついでに今テレビで放映しているのは第二シーズンだという情報まで教えられた。別に知りたくなかった。
「スーさん、DVD……観たの?」
「イッキ見した。予習は大事だからな」
何の予習だ。真面目か。優等生め。
首席が何か言っているぞ。
貫太は心の中でツッコむ。
「なかなか面白かったぞ」
「誰がよかった? やっぱりノルンだよな!? ノルンしか勝たん!」
「アメリだな。髪色がいい」
スーはノルン推しの牛島をあっさりかわした。
アメリの髪色は黄色と赤のツートンカラーなのだという。
それ完全に『もみじ』……!と思ったが、貫太にはそれ以上ツッコむ気力はなかった。




