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千晶回3。


 従者契約のことを知ったのは中等部ニ年の時だった。

 そのころ、千晶は焦りのような感情に付き纏われて常にイライラしていた。

 学内の給付型奨学金を受けることができたので七宝学舎を辞めずに済んだが、生活のために働き詰めの母と原因不明の体調の悪さに悩まされる妹を思うと何もできない自分が歯痒かった。


 だから、弥彦達の会話をたまたま立ち聞きして従者契約というものを知ったときは、この状況を打開するためにそれしかないと勝手に確信した。

 寿老人の従者家系であるというのは自分にとって非常に都合がよかった。


 今思えば、七福神の代理として選ばれた人間には印が出るとか七福神の御利益を必殺技で人に与えることができるとかよく信じたなという感想しか出てこないが。

 切羽詰まっていたのだろう。


 弥彦達に契約を結びたいと申し出て何度も話し合い、一年以上かけてようやく今代寿老人を紹介してもらえたのだ。


 そして今、目の前にいるこの男は軽々と言ってのけた。何の気負いもなく。

 妹に会うと。会わせてほしいと。

 そんなことをしたって貫太には何もメリットはない。それによって千晶の忠誠心を得ようとしているとも考えられるが、貫太がそんなことを求めているようには見えなかった。


 友人なんて一緒にいてメリットがあるかどうかが大事なのだとあの時から頑なに思い込んでいた千晶の心はあんな一言でほぐされるものだったのか。

 千晶は思わず「ちょろいよな、俺も」と呟いていた。


「え、ちょろイン? 千晶ちゃんが?」


 一言で人の気持ちをガラリと変える男。それが貫太。


「……違う」

「えぇ〜? でも今ちょろインて……」

「言ってない」


 誰がちょろインだ。誰が。


 従者としての初仕事は耳鼻科探しだなと思うと千晶は少し楽しくなって笑った。


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