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閑話 恵比寿と大黒天、ときどき布袋尊による、えびすの行事 其の一

2023.01.25 恵比寿の母の名前を千尋から寧々に変更。


 明日から始まる恵比寿を祀る行事──(よい)えびす、(ほん)えびす、残り福のため、恵比寿達は新幹線で移動していた。

 前乗りというやつである。

 この三日間は神社に行き、恵比寿としての仕事をこなさなくてはならない。


 新幹線のアナウンスが恵比寿達の目的地を告げる。

 大黒天は別の目的地があるため、ここで一旦お別れだ。


「じゃ、俺ら降りますんで。良い恵比寿をー」

「はーい。ナオちゃん初仕事頑張ってねぇ。良い恵比寿をー」

「よい恵比寿デース」

 大黒天の激励を受け、恵比寿と布袋は目的地に降り立った。

 今回、布袋は本えびす経験者として、商売繁盛ウェーブをかます同志として、補佐としてついてきてくれた。

 商売繁盛ウェーブは金運を少し上げ、商いがうまくいく効果をもたらす必殺技である。


「じゃあ、早速ホテルに行って荷物おこうか。あ、遠出したことだし、お土産とか買っちゃう? 明日明後日は買い物できるかどうかわからないよ」

「必要ないデース」


 そもそも布袋とは一緒に買い物するほど親しいわけではない。

 行くなら一人で行く。

 布袋はいつもにこにこしてチャラい感じを醸しだしてるが、そんな男ではないというのはなんとなくわかる。本心を見せない人間と一緒にいて休まることはない。


 早く一人になりたい。



 夕食は一緒にとるとして、一時解散となった。


 明日は宵えびすである。この期間中はできるだけ多くの神社を参る予定だ。

 神力を使えると言ってもできることは限られている。神なら公共交通機関を使った移動ではなく瞬間移動くらいしたいものだ。

 そんな神力は授かってないけど。


 去年からネット検索しつつ自分達の担当地域において、どこから始めてどこの神社まで行くか。一番無駄のないルートを確認してきた。

 (はた)から見たら旅行で神社巡りをするため楽しくルート決めをしてるようにしか見えなかっただろう。


 子どもの頃から話は聞いていた。

 しかし自分が印持ちになるとは想定外だ。

 一族の中でも男のほうが神力を顕現しやすいと聞いていたので、女の自分は七宝としての仕事に関わることなどないと思ってたのに。


 恵比寿となったからにはこれから毎年、この時期は神社を訪れなければならない。

 訪れる神社はローテーションによってすでに決められている。


 別に神社から何か報酬をもらってるわけではないが、恵比寿を祀るというのだ。この行事に神力を分け、お詣りする人達に福をもたらすのは恵比寿として当然のことである。


 気乗りしない恵比寿に母寧々(ねね)はそう断言した。


 夕食をとった後、恵比寿は早々に眠りについた。

 明日から恵比寿達は大忙しである。



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