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スー回。
貫太は無事に謎を解き終え、すっきりした顔で宿題を再開していた。
王子様だからフロックコートを着るという論理は理解できなかったが、来門が王子であることに異論はない。
「貫太さんて面白いですよね」
スーと目が合った真守はくすくすくすくすと笑いが止まらない様子だった。
側から見てると、ものすごく考え込んで出た結論がアレ、というのは確かに面白い。
真守の笑顔を見てスーは親戚の中での貫太の立ち位置がわかった気がする。
きっと貫太は家族からも親戚からもすごく可愛がられているのだろう。
その証拠に親戚年長組が貫太を生ぬるく見守っている。
「迷探偵貫太くんは次、これな」
「名探偵ってそれほどでもー」
貫太は隆から問題集のコピーらしき分厚い紙の束を渡されていた。
貫太よ、何を謙遜しているか知らないがそのめい探偵はおそらく迷探偵だ。名探偵ではないぞ。
そう思ったが口には出さないでおく。
自分の宿題は終わったのでスーは明日の予習をするという真守の勉強を見守った。
真守は弟と一緒で小六と聞いたが、真守の教科書を見てるとずいぶんと問題が高度に思える。少なくとも公立小に通う弟の教科書にこの難易度の問題はない。
真守が七宝学舎で隆は七宝大学。
もしかしたら弥彦も七宝学舎OBかもしれない。
貫太は七宝学舎に通うのが当たり前の環境に囲まれているんだなと思うとブルーな気分が蘇ってくる。
思いの外、自分は貫太と同じ高校に通うことを楽しみにしていたらしい。
貫太の志望校変更を聞いたとき、スーは少し落ち込んでいたのだが隆が持ってるりんごを見た瞬間、そんなものはどこかに吹き飛んだ。
自分の目に狂いがなければ、あれは。あのりんごは。
間違いなく『もみじ』である。
りんごなのに『もみじ』とはおかしな話だがそういう呼び名なのだ。
全体は赤く色づくもみじを思わせる色でありながら、つるの周りが黄色いのが特徴だ。
なぜか、もみじの木の中に混じって生えているのも『もみじ』と呼ばれる由縁であった。




