63
打ち解けているスーと真守を横目に見ながら、貫太は宿題の続きをしだした。
「何の話してたんだ?」
隆が話しかけてくる。隆達が部屋に入ったとき、話すのをやめたので気になったようだ。
「いずみんのことだ。いつもあの格好なのかってよ」
貫太の代わりに弥彦が答える。会話の内容が聞こえたらしくスーがちらりとこちらを見た。
「あー、インパクトのある服着てるからなー。やたらとオーラあるし。そりゃあ気になるよな」
「いつからあんな格好してんの? 学生のころはさすがに違うよね?」
「あれはここの管理人になってからだ。学校行ってたころも制服以外でスカート着てる記憶はねぇな」
「いずみんさ、学生のとき、あだ名が王子様だったんだぜ。さっすがだよなぁ」
何がさすがなのかはさっぱりわからなかったが、あの煌びやかオーラならば王子様であることは理解できる。
黙り込んだ貫太を目にして隆と弥彦はコソコソと話し合った。
「貫太坊は何か考え込んでるみてぇだが……」
「待っててください。愉快なことを言いだしますよ」
隆は貫太の発言が今から楽しみだというようにくすくす笑った。
貫太は二人の話し声も聞こえないぐらい自分の世界に入っていたが、ついに真実に辿りつく。
貫太は壮大な謎を解いたかのように独り言をこぼした。
「王子様……。そうか、だからいつもフロックコートを着てるんだ」
それは絶対違う。
貫太以外の人間は全員そう思ったが、誰もそれを指摘することはなかった。
隆はほらねと言うようにニンマリとした顔を弥彦に向けた。




