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1月22日内容加筆。
「技を覚えてもらう前に聞くけど貫太ちゃんは寿老人のことどこまで知ってるの?」
それはアレだ。
船に乗ってる人という認識しかない。
人ではないのだが。
微妙に間が空いたのでよくわかってないことが伝わったらしい。
「簡単に言うと寿老人は七福神の一柱で長寿に御利益のある神とされている。今回、貫太坊が受け継いだのはその長寿に関する力だ。で、七宝はその神力を使えるようにならなきゃいけねぇから特訓してもらおうってことだな」
弥彦は後でいいから読んでおくようにと本を一冊、貫太に渡した。
タイトルは「七宝 寿老人専用」。
七宝のこと、一族のこと、戦隊の使命、寿老人の使命、代々の寿老人達の使用技、注意事項など諸々が書いてあるらしい。
「貫太はマニュアルを手に入れた!」
チャチャをいれる隆を横目に、読んでわからないところがあったら誰かに聞けばいいと弥彦が言った。
「あの……七福神戦隊っていうのは……?」
「……それな。自分達のしてる七福神の代理仕事は人助けで自分達はヒーロー戦隊のようなものだって言いだした奴がいてな。これからは戦隊を名乗ろうってそいつが言いやがって。やめておこうって言ったんだが」
「遊び心だとか言ってたわねぇ。確かにその子はすごく楽しそうにしてたけど」
弥彦と紗帆はそろって大きくため息をついた。
その言いだした人間はきっと本人が楽しくなればなるほど周りが困ることになるタイプだったんだろうと貫太はひどく納得できた。
「……これだ……これだよ、兄ちゃん! 俺が求めていた説明はこういうのなんだ! なんってわかりやすい説明なんだ。弥彦さん、だてに年はとってない。流石すぎる!」
「……お前ぇ、基本は説明したって言ったよな?」
「しましたよー、ナオちゃんが」
呆れた顔の弥彦に向かって隆はケラケラと笑い返す。
「……面白がって教えなかったんだ。それか人が混乱することばっかり言ったんだ」
「隆ちゃん、そういうところあるわよねぇ」
「斉藤はそういうところしかないデース」
真守、紗帆、ナオミの当代布袋に対する評価は低かった。
「それじゃ真守、技ってのがどんな感じか見せてやれよ」
「……何で俺? じいちゃんがやればいいのに」
突然の指名に真守はぶつくさ言ってはいるが、技とやらを見せてくれるようだ。
「……縁結ビーム」
「だ、駄洒落……だと……」
小声で呟いた真守は貫太の言葉を聞くと顔を真っ赤にした。
「……俺が考えたんじゃない」
貫太が「あ、うん」ととりあえずの返事をすると真守は「技の名前は俺が考えたんじゃないから」と怖いほど真剣な顔をして貫太に迫ってきた。
「真守、そこはどうでもいいだろうよ」
「よくないよ! むしろ一番大事なことだよ! これを俺が考えたと思われるなんて絶対嫌だ」
自分が原因で祖父と孫が言い合いを始めることになってしまい、貫太は申し訳ない気持ちになる。
ちなみに縁結ビームは任意の人間同士の縁を結ぶことができる。
「駄洒落とかそういうことじゃなくってさ。もっと他に注目するところあっただろ。あったよな?」
「……あ、なんか真守くんからヒモみたいなの出てた。それでまわりがキラキラしてた。粉みたいなのがキラキラって」
「粉て。エフェクトって言ってくれよ。あるだろ、ゲームとかでさ」
「あー、えふぇくと」
貫太は面倒になり、適当にスルーすることにした。