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そうなってくると他の七宝の恩恵も気になる。七福神の御利益内容も覚えてないのかと怒られるかもしれないと思いながら恐る恐る貫太は尋ねた。
「福禄寿は……」
「寿老人と同じく長寿だな。おかげさまで長生きできそうだぜ。あとは財運招福、福徳人望、子孫繁栄てとこだ」
長生きできそうのところで弥彦はふっと皮肉げな笑みを浮かべた。
尋常ではない弥彦の若々しさはやはり恩恵のおかげだったらしい。
貫太は財運招福やら商売繁盛やら金運が爆上がりしそうな七宝になりたかったと正直すぎる感想を抱いたが、弥彦は貫太の気持ちを見透かしたように言葉を続けた。
「貫太坊は隆とよく一緒にいるんだから金運上がってるだろう。それに今さっきも言った通り、七宝は自分の受け継いだ力以外の御利益も一応あるんだから、それでヨシとしねぇとバチが当たるぜ」
なぜわかったのだ、この羨望の気持ちが。
だが、まあいいだろう。
繋がりとやらのおかげでこれからどんどん金運が上がっていくはずだ。なんて楽ちん人生。祝寿老人就任。ビバ恩恵。
契約したら貫太を通して千晶もその恩恵を受けることになる。
そう考えると──
「七宝って基地局みたいなもんですね。歩く基地局」
「基地局……」
思ったことがぽろりと口から出ていた。
弥彦が何を言いだすんだという顔をしていることに気づき、このままではわけのわからないことを言う奴認定されると焦った貫太は早口で説明を始める。
「つまりですね、七宝の恩恵である御利益パワーは携帯電話の電波みたいなもので俺達七宝は神様から送られてくる御利益パワーを基地局としてみんなに送り届ける役割を果たしていると。……いや、御利益パワーは神様のものだから基地局が神様で俺達はアンテナ? ん? アンテナは周りに電波飛ばさないか。えーと神様が大基地局で、七宝は小基地局?」
「七福神を基地局扱いは不敬だろ」
弥彦がニヤニヤしているのを見て貫太はいつの間にか弥彦が隆化していることに衝撃を受けた。
必死になって説明すればするほど、相手の笑みが深くなっていく謎のループに貫太はハマった。




