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結論を言うと──朝カレーは美味しかった。
あの後、加山食堂に行くとなぜか注文もしていないのにカレーが用意されていたのだ。
貫太にだけ。
なぜこんなにも自分のカレー好きが浸透しているのか、不思議でしょうがない。
まさか隆が言って回っているんじゃ。まさか。
弥彦達が焼き魚定食を食べるなか、貫太は疑問を感じながらもカレーを食べた。
結果、もちろん美味しかった。
食べながら、説明を受ける。
契約はしてもしなくても構わない。
お互いの合意がないと契約は結ばれない。
そう聞いたとき、貫太は思わず大きく息を吐きだした。
心底ホッとした。
昔は七宝の身の回りの世話なども仕事の一つだったが、今となってはそんなことはしていないし、部下というほどの明確な上下関係もなく、七宝のことを最優先に協力してくれる仲間くらいの感じとは弥彦の弁。
「僕は明確に自分が弥彦さんの部下だという認識でしたけどね」
「そのわりに人を徘徊老人だの怪異だの言ってたな」
「南〜無〜」
すかさず念仏を唱えた亀山をジロリと見据えた後、弥彦は大げさにため息をついてみせた。
「な? 俺はこいつらと契約してるが、扱いはこんなもんだ。契約っつってもそんな固く考えるこたぁねぇぞ。なんかあったらこいつらは俺を助けてくれて、その代わり俺を通じてこいつらは七宝の恩恵を受け取る。ういんういんてやつだ」
……Win-Winだな。
確かに弥彦達三人には明確な上下関係はなさそうだった。従者と名乗るわりに亀山と真鶴の弥彦への態度はへりくだったものでもなく、対等な付き合いをしているように見える。
説明の間、千晶は一度も口を挟まなかった。




