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「従者ってわかるかい? あ、わからないね」
真鶴は貫太の顔を見た瞬間、貫太がまったくわかっていないことを理解した。
そのまま流れるように従者の説明に移っていく。
「従者っていうのはね、それぞれの七宝につく、まあ、簡単に言うと部下みたいなものだね。とはいっても、今となっては従者持ちの七宝は福禄寿と寿老人だけなんだけどね。僕ら……亀山家と真鶴家はそれぞれ一人ずつ福禄寿と従者契約を結ぶ人間をだしているんだ」
それで、と言葉を続けながら真鶴はずっと佇んでいた少年に目配せをした。
少年はゆらりと動くと貫太の前に立つ。
「彼が寿老人の従者家系、鹿間家の人間でね」
「鹿間千晶です」
鹿間千晶──何やら聞き覚えのある名前に考え込む。
そんな貫太をよそに真鶴はまだ戯れあっている弥彦達に声をかけた。
「そこのお二人さん、いいかげん、じゃれあうのやめてもらえませんかね。千晶くんのことは紹介しましたよ。この先は弥彦さんから説明してくださいね」
「おお、すまねぇな。助かったぜ、鶴吉」
「誰が鶴吉ですか」
また戯れ始めた。
「鹿間……鹿間千晶……千晶ちゃん?」
貫太のいきなりのちゃん呼びに全員が振り向く。
「俺、貫太だよ。幼稚園一緒だった貫太。千晶ちゃんでしょ?」
「え、貫太……?」
驚きながらも千晶はふっと体から力が抜けたようだった。
「うわー、久しぶりだね。相変わらず大きいなー。幼稚園のころから、体大きかったもんねー」
「なんだ、知り合いか。そんなら話は早ぇな。契約のことなんだが、まあ、その前に七宝の仕事を片づけようか」
そうだった。七宝の仕事をしに来たんだった。完全に目的を見失っていた自分に気づく。
ぐるりと弥彦は神社を見渡した。
「今回はここの敷地一帯をきんぴかにしていこうと思ってんだ」
最初から何を言ってるかわからない。
よくよく話を聞くと、きんぴかとはどうやら必殺技のエフェクトを表現したもので、必殺技を繰り出し、神社の敷地内をエフェクトで埋め尽くすという作業がきんぴかにするということだった。
「じゃあ、俺は向こうの端からやってくからよ。貫太坊はあっちの端っこから井戸あたりまでを頼む」
「あ、はい」
初仕事が始まる。




