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とにかく今日の勉強をこなさなければならない。
会議終了後、隆に促され、勉強を進めていくが、精神的な疲れもあってなかなか問題が解けない。
最近では簡単に捌いていたはずの数式問題に貫太がちょくちょく躓くのを見て、隆は声をかけた。
「会議のことまだ引きずってんのか?」
「んー……いや、二人の仲が悪くて、でも表向きは仲良さそうに振る舞ってるっていうのは……一応、納得した」
「一応かよ。まあ、お前は葉月サンの晴香サン向けの顔、知らないもんな」
まるで自分は知っているような言い方に手を止める。
「なんか晴香さんのことすごく頼りにしてるみたいな口ぶりだったから、葉月さんは自分のこと全部晴香さんに知ってもらいたいのかと思ってたんだけど」
「それはかなり重いな」
ほんの少し引き攣った口元を隆は隠すこともなく、鼻で笑った。
「あの二人も大学一緒でさ、学年違うし、たま〜に見かける程度なんだけど」
中山家の二人も七宝大学の学生だったらしい。
二人は目立つタイプだから人が沢山いてもすぐにわかるだろうなとなんとなく思う。
「たまたま見たんだけど、二人っきりのときの葉月サンの晴香サンに対する態度がけんもほろろでさ。あ、ちなみにけんもほろろってキジの鳴き声が由来なんだってさ。ほろろは羽ばたくときの音って説もあるらしいけどな」
「え? え?」
なぜいきなり雑学ぶっこんできた?
わからない。隆のことが時々わからない。
「俺は実際そういう場面見たことあるから、二人の仲がよろしくないのは納得しかなかったけどな。むしろ仲良さそうな感じで晴香サンの名前連呼してるのを見ていつもの葉月サンじゃないなって思ったぜ」
普通に話を戻した隆についていけず、貫太はあんまり話の内容が頭に入ってこなかった。




