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ようやく家に辿り着いたころにはあたりは薄暗くなっていた。
「ただいまでーす」
「ただいまなの」
「……ただいま」
隆は当たり前のように安西家に帰宅し、安西家の面々も自然にそれを受け入れている。
「おかえり。どうした、暗い顔して」
出迎た父の目から見ても貫太はどんよりしていた。
「うん、ちょっと」
「そうか」
言葉を濁した貫太の肩をまるで慰めるように父がぽんぽんと軽く叩く。
貫太は部屋に直行すると抑えきれず大きくため息がでた。
「あのさ」
「うわあっ」
貫太は真後ろから声をかけられ、慌てて振り返った。
まったく気づかなかったが隆は部屋にまでついてきていた。
「俺、今日は泊まるし、お前のこの後のスケジュール決まってるから」
隆はこれまた当たり前のように言う。
今日はずっと隆と一緒ということか。
一人になりたい気分だけどと思いつつも一緒だということに安心感も覚える。
そんな貫太の気持ちを知ってか知らずか隆は秘書のごとくテキパキと貫太の今後のスケジュール内容を告げる。
夕飯後、ビデオ通話を行ない、ビデオ通話終了後、今日の勉強をこなす。
色々あって勉強がちっとも捗らなかったので、致し方ない。
「……で?」
そう言いながら隆は目元をやわらげて貫太を見た。
隆には敵わないなと思わずにはいられない。
普段は人を揶揄ってばかりのくせに貫太が心に思うことがあると必ず声をかけてくるのだ。
いつもそうだった。
「……ありがとう」
「? 何が? 一から十まで説明しろよ。お前はいつも言葉が足りないんだ。そのせいで紅葉ちゃんに誤解されたんだからな。要反省だ」
公園での紅葉との一件をいじることを忘れない隆はいつも通りだ。
夕飯までまだ時間があることを確認すると貫太は隆に向き直った。




