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「やーっぱり私のこと試してたんだー」
軽く息を吐く貫太を目ざとく見つけると晴香はおどけた調子で貫太の腕を指でツンツンとつついた。
「いやぁ〜、気を悪くさせちゃってすいません。こんな試すようなことしたくないんですけど、一応、確認しないといけなくて。でもイヤな気分にさせちゃいましたよね」
貫太は困り顔で謝る。
「いいけどぉ。やっぱり一族の血筋でも見えてない人間には教えちゃダメ、ってこと?」
「そうですねー。見えてない人が聞きたがるって怪しくないですか? 誰がどの七宝かなんて日常生活送るのに知っておく必要ないし」
貫太に言われて晴香がわかりやすくビクッと体を震わせた。
今まさに自分がその怪しいと思われる行動をとったことを指摘されたと感じたのだろう。
「で、でも、私は、見えてたわけだから、これで信用してもらえたよね? 一族の決まりなら仕方ないと思うけど、もう試すとかしないでよー? そういうことされると悲しくなっちゃう」
晴香は一族の決まりに理解を示す態度を見せつつ、これ以上の試し行動を牽制してくる。
その後は部屋での葉月の様子を適当にだが、ひと通り伝えると晴香は満足したようだ。
話している間、晴香の手をチラチラと見ていたが、弥彦に頼まれた目的のものは確認できなかった。
どうやったら自然に、尚且つガッツリ手を見せてもらえるんだろう。
直球で聞いてみようか。
手を見せてください。
……ダメだな。そんな奴気持ち悪い。だいたい何で手を見せなきゃいけないんだって話だし。
弥彦さんに課せられた戦隊任務の荷が重い。重すぎる。
『あの子は萌え袖だったから、確認するのはなかなか厳しいと思うが大事なことだから頼むな』
どうやら晴香がしている、この袖口から手を完全に出さないで着るスタイルを萌え袖と称するらしい。
大人の男って色んなことを知ってるんだなと貫太は感心した。
「どうしたの?」
「え? どうした?」
晴香の質問の意味が分からず、聞き返すと「今さっきから手の辺りずっと見てるから。気づかないとでも思った?」と晴香が頬を膨らます。
貫太の目線はあからさますぎた。
「あ、あー。えーとですね。じ、実はー……」




