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ぷにキュー。
聞いたことがある。
牛島だ。牛島が放課後、熱く語っていたアニメの名前だ。
なんてタイムリー。
地球侵略を目論む宇宙人を相手に変身して戦う女の子達の話で、変身後の猫耳、尻尾、猫の手姿が超絶ラブリーだという、友のしつこい主張を右から左に聞き流した記憶がある。
そういえば牛島が好きだと言って画像を見せてきたキャラが晴香と同じ髪型をしていた。
あのキャラは確か──
「ぷにキュー・ノルン……?」
「なんだ、貫太坊も知ってるんじゃねぇか」
「え、貫太さん?」
「ん? 違っ!? 違うよ? え、違っ、友達! 友達が好きだって、たまたまこの前見せられてそのとき初めて知って……!」
真守は大慌てで言い訳する貫太にハイライトを失った目を向けた。
真守の目を見て貫太は確信した。
──これはゴミを見る目だ!
言葉を尽くしてるが言いたいことが真守に伝わってないとしか思えない。
誤解だー!とわたわたする貫太をフォローすることなく隆と弥彦は話を続けた。
「詳しいんすね」
「悠里花がハマっててなぁ。ぷにキューの説明を毎回してくるから覚えちまって。会うたんびにぷにキューごっこさせられて、結構な時間付き合わされてよ。これがなかなかキツいんだぜ。年寄りを労われってんだ」
言葉だけ聞くと愚痴っているようだが弥彦の口元には笑みが浮かんでいた。
スープがこれっぽっちも冷めない距離に住む長女一家の一人娘、悠里花はアニメぷにキューが大のお気に入りで、弥彦は悠里花と会うたびに悪者宇宙人役をやらされていた。
「悠里花に会ったらぷにキュー話に付き合ってやってくれや」
続けて、ぷにキュー好きは恥ずかしいことじゃないぞと言われ、居た堪れない気持ちになる。
ぷにキュー好きは友達だと言ってるのに。
優しい眼差しは時として凶器になるのだと初めて知った。
そんな中ただ一人、真守は曇りきった眼で貫太を遠巻きに見ていた。




