表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/88

22


 一応、蛍光灯のチェックもしつつ部屋に戻る。


 部屋の前では拓実が何をするでもなく佇んでいた。拓実は貫太を認めると歩み寄ってくる。


「よっ。七宝になったんだってな」

 カラッとした笑顔だった。


「おめでとう。また(うち)こいよ。俺な、ようやく店で料理出していいって親父に言ってもらえたんだ」

「え、そうなんだ。拓実兄ちゃんもおめでとう」

「だから、な? 来たらお前の好きな料理(やつ)作ってやっから。お祝いな」


 にししと笑って拓実はガシガシと乱暴に貫太の頭を撫でると帰っていった。

 貫太は拓実の言葉が嬉しくてほのぼのした気分になる。


 だが、ほのぼのできた時間は短かった。

 お昼を食べた後──激闘が始まったのだ。

 ポーズを決めて一人一人披露しようと主張する人間(紗帆)と一旦落ち着こうという人間(紗帆以外)の攻防だけで時間が過ぎていく。

 たった一人で六人を相手に退くことなく堂々と主張する紗帆にちょっと憧れてしまったのは内緒だ。


「ダメだ、話にならねぇ。今日は解散にしようや。この話はまた明日にしよう」

 収拾がつかなくなった場を弥彦が解散した。

 一晩経てば熱が冷めるかもしれねぇと小声で呟く弥彦に周りの人間が深く頷いている。


「仕方ないわねぇ。じゃあ今日は解散ということで。葉月ちゃん疲れたでしょ? 帰りましょうか」


 葉月、ナオミと共に紗帆が帰っていくと部屋が静寂に包まれた。


「紗帆ちゃんは必殺技に思い入れが強すぎる……」

「すごいっすよね」

 部屋に残った面々は苦笑いするしかなった。


「さて」

「首尾は?」

 突然、真面目な顔をして弥彦、隆が聞いてくる。

 晴香とのことだろう。

 気持ちを引き締めるように背筋を伸ばし貫太は口を開いた。


 晴香と連絡先を交換したこと、今日恐らくまた会うだろうことを報告すると上出来だと弥彦は頷いた。


「最初は嬢ちゃんのところに行くだろうから貫太坊と会うのはその後だな」

「あ、はい。あのー……何で晴香さんが俺と連絡とろうとするってわかったの?」


 貫太の質問に残りの面々はキョトンとした顔で貫太を見つめた。


「え、わかってないの俺だけ?」

「貫太坊が選ばれたのは多分、一番御しやすそうだと思ったからだろうよ」


 御し易い──完全に下に見られたということ。

 チョロいと言いたいのか。それはチョロいと言いたいのかー!

 自分でも気づかないうちに渋面になる。


「そんな顔すんなよ。晴香サン的には年下のほうがやりやすいと思ったんだろ。マモは年下だけど無愛想だからなぁ」


 無愛想というところで真守がジロッと隆を睨んだ。


「隆は一応、年下だけど御し易いとは言いにくいから、消去法で貫太坊ってことだ」


「……あのお姉さんてさ多分、葉月さんを毘沙門にしたくなかったんだよね」


 慌てて真守を見ると真守は当然のように話しだした。


「一族の女の人で七宝になりたいって人、あんまりいないけど七宝に選ばれて逃げろとは絶対に言わないもん」

「他にもおかしいところはあるぜ。病院ボランティアとか競馬に誘うとか」


 誘ってきたのは友達だと言っていたが、恐らく裏で晴香が葉月を誘うよう友達に頼んだのだろうと弥彦達三人の意見は一致していた。

 完全に断定してる三人を見ながら貫太は戸惑う。


「貫太坊がいない間に紗帆ちゃんがそれとなく嬢ちゃんから色々聞き出してな」


 家に泊めてくれた子は晴香と葉月の共通の友達で泊めてほしいという交渉も晴香がしてくれたと葉月は話していた。


「葉月サンがどの七宝か見極めたくてボランティアとか競馬に誘ったんだと思うぜ。なんだったら、それきっかけで七宝失格に追い込めたらラッキーみたいな感じかな?」


 どの七宝か見極める……?

 何かが引っかかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ