18
どれほど時間が経ったか、ついに覚悟を決めた葉月は叫ぶことにしたらしい。
「いきます」
皆が注目するなか、葉月は半身で右手を前に出し、何の躊躇いもなく「必勝祈願レインボー!」と叫んだ。
レインボーのエフェクトが突きだした手から部屋の隅から隅まで撒き散らされた。
自分が長寿ボンバーしたときとはエフェクトの量が段違いだ。
「ふっ……」
隆だ。見ると肩を震わせながら必死で笑いを堪えている。
「初手でポーズをとって技の名前を言った奴は初めて見たな……」
「ええっ!?」
目を瞑り口元を手で抑えた弥彦に言われ、葉月は真っ赤になった。
「逃げる気満々だったのに、必殺技言うときはやる気満々デース」
ナオミはニマニマしているし、真守は笑いたいのを我慢しているのか変な顔になっていた。
「それでこそよ」
よくわからないことを言うのは紗帆だ。本人的には褒め言葉のつもりなのだろうか。
「歴代の毘沙門天の技は何度か見たことあるけど、葉月ちゃんのは先人達よりだいぶエフェクトの量が多かったわ。ポーズをつけると増えるのかしら?」
真っ赤になってぷるぷるしている葉月を紗帆は華麗にスルーし、考察に入った。
「なあ、貫太」
隆だ。極めていい顔をしている。
嫌な予感がする。
違う、嫌な予感しかしない。
「嫌だよ!」
「まだ何も言ってないだろ」
「口がニヨニヨしてる!」
「そういう顔をしているときの斎藤は危険デース」
「そうなんだよ! 危険なんだよ!」
ナオミと心が通じ合った。
「そう言うなってー。こう、両手を横に突きだしてボンバーしてみようぜ?」
「興味深いわぁ。これは検証すべきよ」
優しげな声色だったが有無を言わせぬ様子で紗帆が貫太を見た。




