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「かーんーた。あーそーぼ」
休日ともなれば隆とナオミが連れ立って家まで誘いに来るのも恒例となっていた。
公民館の防音室に入るとすでに弥彦と紗帆が待っていた。
休日だけでなく、平日も全員集まっていることが多い。付き合いがよすぎてむしろ怖いくらいだ。
勉強してるだけだし、七福神は関係ないから全員が集まる必要はないのでは?
そう言ってみたものの代替わりの最中は集まっていたほうが都合がいいのだと言われたのだ。
そうなると引き下がるしかない。
二週間も経つと色々わかってきたことがある。
例えば──
「貫太は今日のお昼、何にすんの? あ、カレーじゃね? カレー好きすぎっしょ」
素のナオミはデース口調ではない、ということとか。
「うちの食堂から出前してもらいましょ」
「そんじゃ俺、みんなに聞いて注文しときますよ。貫太はカレーだよな?」
なぜか自分の大好物はカレーであると全員から認識されてることとか。
カレー嫌いじゃないけど。
うん、好きだけど。
「そういえば毘沙門天の人は見つかったんですか?」
「いんや、見つかってねぇ」
気を取り直して聞くと、弥彦は難しい顔をしていた。
本来、代替わりは先代の印が消えてから二週間以内に行われる。
例外はない。
「毘沙門は寿老人より先に見つかると思ってたんだけどねぇ。これはもう決まりね……」
ため息をつく紗帆に弥彦は重々しく頷いた。
本来の期間を過ぎても印の顕現者が名乗り出ない。毘沙門天の印持ちを見たという報告もない。印を人目に触れないよう隠しているとみて間違いない。
──それは当代毘沙門天は七福神としての責務から逃れようとしていると判断されても仕方のないことだった。
「早く探しださないとマジやばくなーい?」
軽口のようでありながらナオミは憂いを帯びた顔をしていた。
七宝一族は七福神の力を受け継いでいるため、他の一般人よりはるかに恵まれた境遇にある。
そんな恵まれた境遇だけを享受し、七宝としての責務を放り出すのであれば。
いつどうなるかわからない。天罰が下される前に見つけ出さねば。
「中山家の人が来てるよ」
真守が部屋に入ってきた。
ドアが開いたせいで部屋の外から激しく言い争う声が聞こえてくる。
「あなたは帰りなさい。いつまでついてくるつもりなの」
「わたしが葉月に言ったことがきっかけでこうなったんです。わたしから、説明させていただきます」
2023.03.29 晴香の台詞変更。




