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爆縮と体温の機知(9)

呼吸ダイヤグラム

膨らんでしぼむ

呼吸していることを見る

乳房が動く

だらしない腹が動く

けむくじゃらが動く

冷たい鱗が動く

ぬめりが動く

鰭が動く

根幹を見ながら

生きていることを実感する


緩やかな息という風

時々、動く足を横目に見ながら

八割は違うことをする

そばに居るということは

そういう形ばかりではないが

何処かで

そういう形に集約される欲求になる

死に際と

明日の心配すらいらないほどの

時間がある今は

どちらも同じなのかもしれない


白い息が煙突のように

朝の時間に並ぶことの

一種の幸せを噛み締めて

自転車を走らせる

今や

横並びに絆創膏が必要な世界だ

口が減らないというより

我慢がならないという

一方通行であり

高速を逆走する老人を

笑えやしない

程度を知らぬ形とはいえ


アルコールの香りと

香水が入り混じる

その中に生き物である

その人その者の匂いがする

誤魔化しの効かない

息遣いを聞く時間は

存在の大切さを問いかける

遊びの部分と利用の部分と

愛おしい部分が

ブラックコーヒーに落とした

ミルクのように

ゆっくりと混ざって

よく分からない液体になった


生き物の風のリズムを取りながら

時間と空間に存在し

そのリズムが止まれば

機能停止となる

その姿を見てきた

基本的には骨になる

繰り返して

その繰り返しを覆せたら

生き物の存在は変わるのだろうか

小さな呼吸と

花のラッパが聞こえる

有限の時間の中にある形を

無限の時間に変えるのが

人間の出来る範囲だろうと

思い落とす深夜零時






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