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第六十六話 悪魔料理と地獄料理

 嫌がらせの下準備を開始するためにリクシーとレジーナは調理場に移動した。そこには料理を作っている姉パラメの姿もあった。


「リクシーどうしたの? 水?」


 料理の準備をしているパラメは二人が水でも飲みに来たのだろうと単純に考えた。その手を止めてリクシーに聞いた。


「いやー、私たちも料理を作ろうと思ってね」


「そんなに作ったら本当に今夜の料理は豪華になっちゃいそうね?」


 三組が料理を作ると知っているパラメは出来る料理の量がかなり大量になることが予想できた。食べきれないのではと気づいた。


「多いような気がするわ。私は作らない方が良いいのかな?」


「お姉ちゃんはお姉ちゃんの美味しい料理を作ってよ。私にはまねの出来ない美味しい料理なんだから。それに豪華になるくらい悪いことじゃないわ」


 姉が料理を作ってくれないと作戦の意味はないので、リクシーは姉をおだてて料理の意欲を引き留めた。


「確かにそうね。珍しいお客様もいることだし多いい方がいいわよね」


 こんな日があっても良いかなと思って、みんなで料理を作ることにした。


「それじゃ、さっそく始めるわよ」


 リクシーが隣を見ると、スープがほぼ出来上がっているようだった。次に肉に取り掛かろうとしていた。


「お姉ちゃんおいてある食材使っても良い?」


「好きに使っていいわよ」


「なら」


 鍋と包丁を新しく取り出した。後で温めれば良いので姉の作ったスープを横にどかした。リクシーは肉に火を通すと思いあらかじめ火口をあらかじめ開けておくことにした。置いた鍋の中に少量の油を入れて火をかけて温めた。その合間に野菜を水で洗い包丁で切り、鍋に入れて軽く痛めてから小皿に移した。空いた鍋に水を入れ、沸騰させて少したってから小皿に移動させた食材たちを鍋に戻してしばらく沸騰をさせないように茹でた。最後に個に絵にある調味料で味を調え、スープを少量小皿に移し、口に運んだ。


「うん、美味しい。まずお試し用の簡単な料理ができたわ。味見してみなさい」


 作った料理はリクシーの口に合っていた。確認を終えルト料理が完成したので、さっそく料理の味を姉と一緒だと疑っているレジーナに味見をさせることにした。


 レジーナは鍋の中のスープをのぞき込んで良く観察した。


「見た目はいたって普通の料理だな。問題は食べた後か」


 パラメの料理も見た目は普通だった。しかし問題はこれからだった。パラメの料理の厄介な点は見た目からして、明らかにヤバそうではない点であった。食した時が一番危険であった。この料理もその類のものなのかもしれないだと思っていた。


 一向に食べようとしないレジーナにしびれを切らしたリクシーはスプーンを取り、スープをすくった。


「ほら、食べなさい」


 リクシーは食べようかどうか躊躇っている隙にスプーンに料理を乗せ、レジーナの口をこじ開け、入れた。


「なっ!…(美味しい)」


 いきなりのことで驚くが、そのまま料理を味わった。結果は恐れていた事態にはならず料理のおいしさだけがレジーナの味覚を刺激した。


「どう?」


「何も変化が起きない。良いと思うぞ。それに荒木の料理よりもおいしい。わかった。料理はリクシーに任せる。私は大人しくしていよう」


 体に異常がないかどうか確認したが少し経っても何も起こらず心配はなさそうだった。荒木のもちろん味のない料理よりかは美味しい。なら、リクシーに料理を任せても心配はなさそうだった。


「任せなさい」


 レジーナに料理の味を証明できたリクシーは張り切って料理を作り始めた。そして、リクシーはパラメを横目にその料理を参考にしながら作り始めた。







 リクシーが料理を作り始めてから少し経ち、荒木も料理をするため戻ってきていた。姉の料理を信じ、料理をすり替えようとして偽装工作目的の料理を作っている二人と必然的に荒木は鉢合わせることになった。そして、荒木、リクシーと同じ思惑を持つレジーナの二人とパラメの三者が集った。


「なんで、荒木が台所に入って来ているのよ。何か用なの?」


 リクシーにとってはこの作業はあまりばれたくないので少し怒り気味に何のために台所に来たのか聞いた。


 なるほど。二人も同じ考えか。しかし、俺が一度料理を食べている姿は見ているはずなんだが。もっと強力なものを作ろうとしているのかな?


 一度料理が効いていない姿を見ているリクシーが作るということはさらなる高みの料理を目指していると思った。妹にその才能が引き継がれていてもおかしくなかった。


 なら、こっちも腕によりをかけて作ってあげないと。


「みんなのために料理を作ろうと思ってね」


 リクシーだけでなくパラメも料理を作っているので、真っ向勝負をしかけて来たのかもしれないと荒木は思い、熱い戦いのようでやる気が少し湧いてきた。


「なんで荒木が料理を作るのよ?」


「せっかく料理を作ってもらったからな。昨日のお礼を兼ねて俺が料理を作ってあげようと思っているんだよ」


「荒木が料理を作れるの?」


リクシーは懐疑的だった。楽しめるような料理を作れると思えなかった。というより、荒木は味なし料理しか作れないのだと、決めつけていた。その味なし料理のことも美味しくないので、料理に分類していない。リクシーの中では荒木が料理を作っていることにはなっていなかった。


「味なし料理を作っているのは俺だ。それに、半年いや1か月に一回くらいは俺だって肉とか普通の料理が恋しくなって食べる時がある。まあ、修行食だから俺はたまにしか食べなくても良いんだけどね。刺激が足りないからね。それにこの世界になれる目的でもあるからな。糸を本気で扱うということは難しいということだ」


 荒木も他の料理を食べていた。1か月に1回程度だったが、たまには荒木も他の料理を食べている。二人に食べさせる気がないだけで。


「何を言っているの? 意味が分からないわ?」


 自分の目を信じているリクシーは荒木が味なし料理以外の食べ物を食べている姿を見る機会は未めぐってこないので、今もまだずっとそれしか食べていないと確信している。ほとんど同じ料理で飽きているレジーナとは違い。リクシーは味がしない料理をまずいと感じてさえいる。さらに毎日食べさせられていることで嫌いになっていた。しかし、味なし料理から、なぜ糸につながるのかはリクシーや他の人には理解できていなかった。


「味なし料理は奥が深いのよ」


 分からないだろうと思いながら、うなずきながら答えた。荒木は味なし料理の極致にたどり着いていた。


「それ、作る意味あるの?」


 リクシーは荒木の料理と言えば毎日出される味のしない料理だけしか印象になく簡単にそれが出される光景が想像できていた。パラメの料理よりは凶悪ではないものの、味のしない料理を振舞ったところで意味がないと思った。


「食べたらわかるって」


 今回は修行仕様ではない普通に振舞うパラメに合わせた正当な料理を作ろうとしている。もちろん、味は美味しくなる。しかし、それを言ってはつまらないので、味は後でのお楽しみのため隠しておくことにした。


「そうですよ。みんなで作ればいいじゃない」


 パラメはおおらかだった。


「まあ、いいわ」


 リクシーはどうせ味のしない代り映えのない料理だろうとしか思ってなかった。食べたくはないが、幸いなことにまずいだけで害はないので、我慢をすれば食べても気にしなくて大丈夫だろうと判断した。パラメの驚異的な料理からしたら赤子のようなものだった。幸いにして、同じ料理という武器を使うので、真正面からの勝負になり少しリクシーに気合が入った。


「…」


 レジーナも荒木の料理が害になる体験をしたことは一度もないので、問題はないと無視してその場の成り行きに任せた。


 どうなるか知らんが、まあ、家族水入らずにしてあげるか。


「この場で料理は窮屈そうだから、俺は外で一人料理を作って来るよ」


 台所は食事をした部屋とは区切りがあり別の部屋となっているため荒木が入るとさらに狭くなって作りづらいのもあるが、久しぶりの家族との再会荒木は一緒にしてあげようと配慮していることと、何かしようとしていて興味があったので外で作ることにした。荒木にとっては外でも中でもあまり、変わらないので問題なかった。


「パラメさん家の裏を使って料理を作っても良いですか?」


「良いですよ」


 荒木は家主のパラメに許可を取ると家の裏へと向かった。




 パラメの家の裏に来ると料理をするため、まずは環境を整えることから始めようとしていた。


 何か二人の細工に時間が掛かりそうだし、暇つぶしを兼ねて糸で時短をせずに行っていくか。


 荒木は台所に入り糸と気術などを駆使して、ものの数分で料理を作り終える予定だったが、リクシーが何やらやっていたので、ゆっくりと料理することにしていた。


 荒木は土を裏拳で2か所抉り穴を作り、糸で細い穴をあけ空気の通り道を確保した。近場に落ちている枝を拾い集めた。ここは豊富な森林のため、近辺での燃料になる良質な枯れ枝は容易に採集できた。そして、最終してきた枯れ枝を穴に放り込む。残った枝はそこら辺置き、荒木は枝と枝二つを手に取り交差させ、すごい速さで一回こすり合わせた。摩擦によって枝には火が付いた。その枝二つを別々の穴に入れると、何の苦労もせず自然と火が他の枝に移りみるみるうちに火が出来上がった。穴の中心に糸が重なり合うように置きそこにフライパンと鍋を取りあえずおいて、掘りかまどが2つ出来上がった。


 少し経ち荒木は鍋の上の空気変化を感じ取った。


 よし、鉄も温まってきた料理の開始だな。


 まずは村にある井戸から組んできた水を鍋に入れる。沸騰するまでに持ってきた食材をみた。


 材料はそこら辺に生えていた名もなき草たちいわゆる雑草。雑草には毒があるものもある、ランダム要素があって素敵だ。次に雑草や良く分からない木の葉っぱ、もちろんこれにもランダム要素があるが大体の人間が食べられない率の方が上だ。そして、今日森で採集してきたしびれるオウチャ草、猛毒のシガムキノコ、本日のメイン食材フォボウボウという猪のような良く分からない魔物の肉だな。まあ、猟師がとってきているから毒ではないんだろうが、毒であっても関係ない。大体混ぜれば見た目は一緒だ。


 そして、荒木は食材たちを少しばかり眺めて、今日何を作ろうか考えた。


 あの作っていた料理たち昨日と一緒のような感じだったな。だったら、こちらも似たよう感じにした方が良いか。


 荒木は少しパラメとリクシーの料理を伺いみることが出来ていた。荒木には似たようなものを作っていると思っていた。混乱させた方が面白いなと思った荒木はその意図に乗ってみることにした。


 じゃ、3品だ。普通の山菜炒め、似たような山菜スープで決まりだな。最後はパンを付け込んだもの俗にいうフレンチトーストにしよう。砂糖はこの村にはなさそうだがなければ自分で作れるし持っている。卵はこの村でも普通に扱っていた。入手はすでに入手済み。これをデザートと称して出そう。


 前の2品とも美味しいが、最後デザートと称してフレンチトーストを出して一口入れただけで、昇天する味にしてしまおう。


 荒木は油断したところで不意の一撃を加える案にたどり着いた。しかし、別に前の2品もデザートと同じ時間帯に発動する遅効性の毒なだけで、ちゃんとした料理を作ろうとしていた。


 荒木は大体の山菜全ての山菜を洗うこともせずに少しずつを沸騰している鍋に投入。すぐに取り出すとフライパンに移し、その山菜たちを潰した。するとどろどろの液体になり、濃縮された毒ソースが出来上がった。次に毒類以外の雑草を鍋に投入しようとした。すると山菜に芋虫のような虫がついていた。


 虫だ。潰して鍋に入れておこう。苦みが発生しやすいそれを消さ中ればならないが後でどうとでもなる。


 虫が一匹入っていようがもはや毒料理なので変わりようがなかった。しいて言えば毒の足しになるかもしれないと好天的に捉えた荒木は取りあえずで、鍋に入れていた。山菜も煮込み始めた。


 次は肉の投入だな。変な山菜だけだと、苦みとかが大変になるが肉がまろやかにしてくれるはず。基本新鮮な肉は普通に美味しいから、これですべてを包み隠してくれるはずだ。


 苦みが出そうな山菜なので、フォボウボウという猪のような肉の塊を半分にして、半分をまろやかになるように期待して鍋に投入。半分は糸で穴をあけ貫通しないようにアリの巣のような穴を作り出した。肉に先ほど作ったソースを注入して、肉に位置を通して直火で焼いた。次に空いたフライパンに卵とパンと毒ソースを投入した。


 最後に残った山菜と焼いている猪肉を切って炒めれば野菜炒めも出来上がり。


 後は待てば料理は出来るので、仕上げとして味を調える作業が待っていた。


 最後に仕上げ、ここが重要だ。全ては味付けにあるそれだけでいい。味付けで大体どうとでもなる。毒料理を隠すためには濃い味が良好だがどうだろうな。味で誤魔化して香りで誤魔化すが鉄則だ。


 荒木はそれぞれの味見をして確認してみた。


 焼いている肉は少し舌をしびれさせるな。辛めの味付けで味覚をなくさせて誤魔化そう。毒はすでに遅延している。これなら修正は少なくて平気だな。


 少しだけオウチャ草と辛めの香辛料を入れることにした。


 次にソースを舐めてみた。


「美味しい」


 これはイチコロだな。これならソースを全部吸ってくれるフレンチトーストは問題ない。


 最後にスープを飲んでみた。


「美味しいがこれはまずい時の美味しさだな」


 このままでは苦くてまずいゴミみたいなものになるな。美味しく整えないと。


 パラメの家にあった塩とよくわからない辛い香辛料とよくわからない香りの草などを大量に投入して味を誤魔化すと、次第に美味しくなっていった。


 味付けも終わったし後は焼けた肉を薄切りにして、山菜を炒めれば料理の完成だな。


 そして、時間がたち料理が完成すると荒木は出来た料理を家へと運んで行った。途中最後に味の採集チェックをした。


「良い感じだな」


 これくらいすればパラメも喜んでくれるだろう。二人は地獄のような苦しみにいざなわれるだろうけど。


 ただ苦しむだけになるので、二人のことは気にしなかった。精神も鍛えられて一石二鳥くらいには思っていた。


 並べられた料理たち、複数の料理がテーブルにあふれんばかり混在していた。大体似ている料理のため普通の嗅覚ではどの料理からかの香りなのかかぎ分けられるような光景ではなかったが、美味しそうな匂いはしていた。


 3組中2組が毒料理だが全て見た目はいたって普通だった。


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