第四十七話 ささやかれる恐怖におど…レ…!?
○王城―
エヴァンジェリアは荒木が目立つという理由で作ったかつらを納得して被りながら隣の部屋にいる荒木の知り合い3人が気になったので部屋を訪ねていた。
「失礼します」
「入っていいですよ」
エヴァンジェリアが部屋に入るとエヴァンジェリアと同じく町にいる人々と同じ衣装を着ている3人が少し離れながら静かに座っていた。
「初めまして、私はエヴァンジェリア、3人は荒木さんとどこで知り合いになったんですか?」
エヴァンジェリアは大体の情報を集めて、荒木という名前が珍しく聞き間違えはないと思っていた。そのため、エヴァンジェリアはセシーが連れて来た時に荒木という単語がセシーと3人から聞いたので知り合いだと思っていた。
「初めまして私は荒木様の奴隷ユードラです」
ユードラは誇らしげに言った。
「私はリクシー」
「私はレジーナ。私たちは奴隷商で奴に買われたんだ」
レジーナが人間に対する憎悪から荒木を呼び捨てにしつつ、薄汚い奴だとけなすために真実をきっぱり言った。
「奴隷?」
「犯罪とか、借金や、戦争で負けた人が奴隷にされるのよ。首輪あるでしょ」
リクシーが怪訝そうにしているエヴァンジェリアに補足して、首輪を見せた。
「そうでしたか。3人は荒木さんと何をしていたんですか?」
エヴァンジェリアは奴隷について、調べた情報から知っていたので、軽く流した。そして、エヴァンジェリアは知らないところで荒木が何をしているのか気になっていたので、3人に聞いた。
「訓練です」
ユードラは一言で簡単に美化しながら言った。
「訓練?」
「ダンジョンに行って私たちをモンスターと戦わせたの」
ユードラの色々と掻い摘んでしまった一言の説明では分からないだろうと思ったリクシーは荒木にも仕返しをしたかったので、この知り合いだと思わる人物に感じたことをありのままの事実をユードラに気づかれないように少し悪い顔で話した。
「そうだな。ひどい奴だ」
レジーナもリクシーの糸を察しつつ事実だったので、頷いた。
「へー、どうしてそんなことをしたんですかね?」
荒木がこの3人になぜ訓練が今必要なのかエヴァンジェリアには分からなかった。しかし、当事者の3人なら何か知っていると思い聞いた。
「私たちは弱いから主様は強くしたかったんですよ」
ユードラは訓練が始まる前に荒木から聞いたダンジョンに連れて来た理由そのまま素直に話した。
「確かに鍛えるためとは言っていたが真意は分からない」
リクシーはユードラと同じようなことを荒木の口から聞いたのを記憶していたが、今まで一緒にいた荒木の印象からその言葉を信用出来なかった。
「人間だしな」
「どうして二人は主様を疑うんですか?」
ユードラは二人が荒木を疑っていたので素直に捉えられない二人に苛立っていた。
「いや疑うだろ」
荒木を信じて疑わないユードラの発言に、リクシーは荒木の何を見ていたのか思いながら否定した。
「どう見ても怪しい人間だからな」
元々人間など微塵も信用していないレジーナは荒木を信用しないリクシーに納得していた。
「どこも疑いようがないじゃないですか?」
「レジーナはまぁ、いいとして、ユードラこそ荒木を信用しすぎ」
レジーナが先程から人間を毛嫌いしている姿にリクシーは思うところもあった。しかし、ユードラの荒木を信じ切っている姿を見て、リクシーはユードラが荒木に利用されないためにも注意が必要だと思った。
「でも、主様は今まで治らなかった傷を治してくれたんですよ。尽くすに決まっているじゃないですか」
「へー、優しいですね」
エヴァンジェリアは荒木がユードラの傷を治してあげたことに感心していた。
「尽くすのは個人の自由だけど、それくらいで全てを捧げない方がいいよ」
簡単に荒木を信じて付いて行ってしまっているユードラの姿を見て、リクシーは荒木に何があるのか分からなかったので忠告した。
「あの腕の傷は、数百年間誰も治せなかったんですよ。長年の苦悩を取り払ってくれた主様に尽くさない方がおかしいじゃないですか」
「それでも、利用されるだけされて捨てられるかもしれないよ」
ユードラの荒木に尽くす思いが一向に止まる気配がなかったので、リクシーは荒木が万が一に行いそうなデメリットの行為で、ユードラの気持ちを揺るがせようとした。
「そうだぞ。人間は薄汚いからな。何ならこっちから裏切ってやればいい」
リクシーがユードラを説得しようとしている光景を見ているレジーナもまた、援護するような形で人間の嫌な部分を言った。
「恩を返せるなら構いません。それに私はあまり期待されていませんから、利用されるに越したことはないです」
荒木に必要とさていいなのではないかと思っているユードラはどんな形であれ、荒木に恩返しができるのであれば構わないと考えていた。寧ろ、その方法では優秀な荒木に尽くせるとは思えていなかった。
「ふぅ、相当な忠誠心ね。私はユードラが後悔しないことを祈るよ」
ユードラの思いを曲げられないと感じたリクシーは苦し紛れの一言を放って諦めることしかできなかった。そして、リクシーとレジーナの荒木の信用をユードラから落とす作戦は失敗に終わった。
「私は後悔なんてしません」
リクシーに祈られたユードラは確固たる意志で否定した。
「人間を甘く見ない方がいいぞ」
人間に国を滅ぼされたレジーナは最後に一言ユードラにアドバイスをした。
「とりあえず。何をしているのか分かりませんが、荒木さんはみんなの心に残るいい方なのですね」
3人の話を聞いていたエヴァンジェリアは荒木が今何をしているのか気になるが手掛かりは無だったので、得られる情報は何もないと判断して荒木の近況を聞くのは諦めた。それに、エヴァンジェリアはリクシーとレジーナが話しているように荒木が悪い人間ではないと思ったので、フォローを入れた。
「はい?」
荒木のことを否定し続けていたリクシーは何故エヴァンジェリアの瞳に荒木と仲がいい雰囲気に移ったのか、訳も分からずあっけらかんとした顔で変な裏声で驚いてしまった。
「何でそうなる」
リクシーと同時にレジーナも荒木が良くないと言っていたのに全然気づいていないエヴァンジェリアに思わずツッコミを入れた。
「エヴァンジェリアさんはいいことを言います」
驚く2人と対照的にユードラは尽くす人が褒められているようでうれしくなり、エヴァンジェリアを褒めた。
「ありがとうございます」
ユードラに褒められたので、エヴァンジェリアは素直にお礼を言った。
「私からもエヴァンジェリアさんに一つ聞いてもいいですか?」
「いいですよ」
「主様とはどこで知り合ったのですか?」
ユードラは荒木を知っているエヴァンジェリアがどこでいつ荒木にあったのかを興味を持っていた。
「私は荒木さんとは森で出会いましたね」
「森ですか?」
「はい。私が空から落ちてきて、偶然ですね」
「空ですか?」
ユードラは意味が分からなかったので、尋ねる形でエヴァンジェリアに聞いた。エヴァンジェリアの話を聞いていたリクシーとレジーナも空から降ってくるといった単語に疑問を持っていた。
「はい。私はあなた方から見たら宇宙人なので」
「宇宙人?」
ユードラを含めここにいる3人は宇宙人という単語に聞き覚えはなかった。
「人間じゃないのか?」
レジーナが重要なところだったのでエヴァンジェリアにはっきりと聞いた。
「ここにいる人とはどうやら違うようですね」
ここで集めた情報により、エヴァンジェリアは自身がここの人間とは一致しないことが分かったので、人間ではないことを告げた。
「そうなのか」
エヴァンジェリアが人間ではないと分かるとレジーナから発せられていた威圧感は消えていた。
「まぁ、皆さんには分からないでしょうから、空から来た人とでも思っていてください」
みんなが分からないのを察したエヴァンジェリアは分かりやすく皆にも分かるように分かりやすくした。
「分かりました。それでエヴァンジェリアさんはその後主様とどうしたんですか?」
「空から落ちて荒木さんに出会った後は一緒にエアスト帝国まで来ましたね」
「そうなんですか。分かりました」
ユードラは何かを悩むかのように考え込んだ後、納得した。簡単な説明を聞いて納得してしまったユードラにエヴァンジェリアは特に何も思わなかったが、リクシーとレジーナはその姿を不思議に思っていた。しかし、2人は話の通じない荒木の忠誠心から来ている納得だと思った。そして、二人は理解できるものではないと思い考えるのをやめた。
「私はこの国に初めて来たんですが、まだ色々と分からないことがあるので、教えてくれませんか?」
エヴァンジェリアは情報を得ていたが、図書館などからの情報でまだ、王城の外の情報などは少なかった。セシー王女からも聞けた場面はあったが、忙しくエヴァンジェリアは効けなかった。そのため、エヴァンジェリアは仲良くなれそうな3人からこの付近の情報を聞くことにした。
「分かりました」
ユードラだけがエヴァンジェリアに答えた。が、リクシーとレジーナも反応しないだけで、教えてくれそうな雰囲気はあった。
「よろしくお願いします」
そして、エヴァンジェリアはこの国の情報や近況を3人から聞いた。
○荒木
荒木はダンジョンから走り日が明るいうちにエアスト帝国の城壁にまでたどり着いていた。
門番はセシーとつながりがあるだろうからな。不法侵入しかないな。
何も知らせていないのに冒険者ギルドにセシーが現れたのを覚えている荒木は同じ轍は踏まないように不法侵入をすることに決めた。
不法侵入してもこの国の最高権力の女王は許してくれるだろうから問題ないか。
問題が起こるかもしれないと考えた荒木だったが、全ては女王に行き付いてもみ消して暮れうだろうと思い、何とかなるだろうと楽観的に考えた。
それでも、セシーは起きているだろうからな。夜になってから行った方がいいか。
色々と考えて結果、昼間に王城に行ったり、エアスト帝国に入ったりしてもセシーに見つかりやすかったので、寝ている時間帯に入ることにした。
そして、時間が流れた。荒木は夜になると城壁を飛び越えて不法侵入を果たして、屋根伝いに王城へと向かって行った。王城に辿り着いた荒木は鍵を開けて、王城に侵入を果たして、泊められている部屋の廊下にいた。
一応、連れていく前に、エヴァンジェリアの様子でも見ていくか。
荒木はエヴァンジェリアの部屋を覗いた。エヴァンジェリアはすやすやと寝息を立てて、気落ち良さそうにベッドで眠っていた。
寝つきがいいな。何かいいことでもあったのかな。
エヴァンジェリアを確認し終えた後、荒木は目的である3人の気配がある扉を開けた。部屋を開けると3人もエヴァンジェリアと同じく眠っていたが地面で雑魚寝していた。
地面が好きなのかな? まぁ、いいけど、こっちもいい寝つきをしているな。それは、どうでもいいから連れ出すか。
3人の寝つきが良くても、今は関係なかったので、問答無用で起こすことにした。荒木は気配を消して、寝ている3人に近づいて行った。
さて、どうやって起こすか。
荒木はレジーナを標的にどうやって起こすのか策を練っていた。
そうだな。夜で暗がりと言えば、幽霊とかだな。ここは一つ誰もいないのに体が動かない金縛りでもしてあげるか。
レジーナを起こすべく荒木はレジーナを見えにくい透明な糸で体が動けなくなる絶妙な個所を抑えて、レジーナを拘束した。
騒がれても困るから口も動かせない設定にして、悲鳴を封じるか。
騒がれるとセシーに気づかれるだろうと思った荒木は、レジーナの口から音が漏れないように糸でしっかりと塞いだ。
よし。準備は整った。起こして上げようか。
荒木はレジーナの頭上に回り起きても気付かない位置に移動するとレジーナの頭を手荒に揺らした。すると、レジーナはゆっくりと目を開けて、目を覚ました。
「(なに?)」
レジーナが声を漏らそうとしたが、口が一切動かなかった。不思議に思ったレジーナは体を動かそうとしたが、なぜか動かなかった。
反応が普通だな。金縛りを知らないのかな?
レジーナの反応がいまいちだと思った荒木はレジーナが何も知れないのだと考えた。
よし。せっかくだ。幽霊の雰囲気づくりに白い糸で骸骨でも作ってあげよう。」
荒木はレジーナに楽しんでもらうために、レジーナの目の前に白い糸で骸骨を模したものを作り出した。荒木は糸で作り出した骸骨口が開きレジーナを食べるように動きを付けて迫らせた。
「んー! んー! んー!」
荒木がレジーナの目の前に作り出した糸はレジーナの目では荒木が作り出したものとは思わず、本物だと思い込んでいるようだった。本物の骸骨だと思い込んでしまっているレジーナは危機的状況に陥っていると思い声を出して知らせようとしたが、口は動かなかった。そのため、レジーナは何もできずにただ骸骨が迫りくるのを見つめることしかできなかった。
おっ! 今がチャンスだな。
レジーナが一番驚くと判断した荒木は骸骨がレジーナを口に入れようとした瞬間、頭上からスッ!とレジーナの前に顔を出した。
「!?」
レジーナは体をビクッ! と一瞬筋肉を躍動させて驚いて反応をしていた。レジーナが起きたのを確認した荒木はレジーナの体を拘束している糸を外した。
「お、お前か」
荒木を視認すると一瞬間だがいつものような態度に戻し、糸から解放されたレジーナはそっけない態度で答えた。
今、驚いたのを隠したのか。人間に弱い部分を見せたくなかったのかな?
「いい年こいて、骸骨に体を震わせて怖がるとは意外と乙女なんだな」
だいたい何を考えているのかわっかた荒木はその部分を攻めて、目覚めさせてあげることにした。
「う…うるさい!」
少し目を潤ませていたレジーナだったが、荒木に怖がっていたことをいじられると恥ずかしかったのか苦し紛れにごまかした。その反応は子供みたいで可愛いく、拘束されていた事実も忘れ去っていたようだった。
そして、荒木はタイミングが良かったので、レジーナの体の糸を外して、本題に入ることにした。




