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巻き込み系異世界転移~世界や魔王なんて、どうでもいいから修行がしたい!~  作者: うるす
第三章 調べて極楽、聞いて恐怖、見て地獄編
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第四十話 遺跡調査!?

 最初縄から抜け出したのを監視していたメーヴィスとその後ろにいたジャネットが同時に気づいた。後ろをチラチラと気にしていたレノールもほぼ同じタイミングで気づいていた。そして、最初にフィースに知らせたのはレノールだった。


「師匠! 荒木が縄から抜け出しました」


「何!?」


 レノールの言葉によって確認しようと振り返ったフィースは縄を引きちぎり地面を殴ろうとしている荒木の姿が見えた。


「荒木くん何をしている!」


 荒木はフィースの質問に答えず、そのまま拳を地面に叩きつけた。荒木が拳を地面に叩きつけた瞬間地面がなくなり綺麗な円上の底が見えない大穴が出来た。地面がなくなったので、荒木たちは地面へと吸い込まれていった。


「「「フライ」」」


 荒木以外の皆が一斉に同じ魔法を使い空中で静止して、落下防いでいた。


 流石に有望で冒険者なだけある。やはり、みんな飛べる魔法を覚えているか。しかし、対策はバッチし。


「ちょっと待って、荒木は飛べないの?」


 荒木が抵抗もなく穴に吸い込まれている姿を見たレノールは単純なことを荒木と並走していた。


「まぁ、力を使えれば飛べるけど、別に使う意味はないだろう。ほら上」


 荒木が人差し指で上を指すと、天井部分も水とともに粉々になった石と固そうな岩などが崩れ落ちてきていた。


 まさか。天井部分に水溜まりがあったとは。予想外だったが、あまり関係ないからどうでもいいか。


 水が落ちてくるので荒木以外の皆がさらに困難になっていた。しかし、荒木にとって落下物が増えようが意味はなかった。そのため、落下物には興味が無くなっていた。


「皆すぐに下に向かって!」


 荒木の指した方向を見て上から崩落してくるのを確認したレノールは急いで伝えた。


「何!? 皆下がるぞ!」


 フィースも予想外の落石に動揺を隠せなかったが、このチームのリーダーということもありすぐに指示を出した。皆も驚いたが命の危険が迫っていたため、上から迫ってくる障害物から逃げるように、魔法を全力で使い急降下した。


「また荒木くんか」


「そうだろうね」


 急降下している中フィースとメーベルがこの状況を作り出した荒木に怒ったため、語尾を強めた。


「まぁ、まぁ、そんな焦るな。あれは自分で処理するから、何も問題ないだろ」


 荒木は馬車の道中と違って、時間短縮のためにやっているため、皆に何かをしてもらおうと考えていなかった。そのため、荒木は怒っているフィースを宥めつつ、崩落する天井に体を向けて対処しようとしていた。


「怒っているので焦ってはいないが、そういうことでもない」


 フィースは別のことでも怒っていたようだった。荒木はフィースが他に怒っていることを思い出していると、遺跡が好きなことを思い出した。


 なるほど。フィースは遺跡が好きだから遺跡を思いっ切り、壊されたから怒っているのかな? それなら実際に壊しているから納得だ。


 そして、荒木は遺跡が壊れることは承知の上で思いっきり殴って破壊していたので、怒られて当然だと納得して頷いていた。


「幸いなことに道中はそんな重要そうな物はなさそうだから良くない?」


 重要そうな情報がない遺跡内部はあまり惹かれなかったので、荒木はそのままの感情をフィースに伝えた。


「良くはない。荒木くんにとっては重要でなくても、私たちにとっては遺跡全体が貴重で大変意義のあるものなんだ。それに今回は遺跡調査の依頼だ」


 荒木が遺跡内部を軽視している様子を見て、危ういと思ったフィースは荒木にこの遺跡全体が依頼内容に膨らまれ重要なものであることを示した。


 そんなことを言われても、もうすでに遺跡調査なんてやる気がないからな。気にされても仕方ないか。


「細かいことは気にしないことだ」


 荒木は遺跡にさほど魅力を感じていなかったので、説得されても守れるとは思っていなかった。荒木はフィースに諦めさせるため、気にさせないことにした。


 取りあえず地面も近くなってきたことだし、そろそろ崩落を止めるか。


 落下中の会話の中、そろそろ、地面も崩落も迫ってきていたので対処することにした。


「細かくない。私の話を聞いていたのか?」


 荒木に声が届いていないと感じたフィースは荒木に確認を取るため、聞き返した。


「聞いてた。聞いてた」


 フィースよりも若干崩落物に集中していたので軽い感じで適当に返事をした。荒木は適当な返事をしながらも両手から糸を作り出し始めていた。


「何をしている?」


 荒木が手から何かを生み出している姿を確認したフィースは信用が地に落ちている荒木がまた何か余計なことをするのではないかと疑いの目を向けていた。


 疑っているのか。警戒するのはいいことだな。でも、ここで動きを止められるのは面倒だから、ちゃんとこれからやることを話しておいた方がいいが、時間もないから行動で示そう。


「安全にしてあげるんだよ。まぁ、見てな」


 荒木はフィースに疑われていたが、話している時間がないので行動で示すことにした。フィースに行動で示すことに決めた荒木は落下中の場所から加速した。


「あっ」


 荒木の行動を制限しようとしていたフィースは制限をしようとする前に置き去りにされて、あっけに取られていた。加速した荒木はフィースがあっけに取られていた時には底に辿り着いていた。底に辿り着いた荒木は糸が生み出されている手を地面につけた。


「糸術―大樹木だいじゅもく


 荒木が地面に手を付けると荒木を中心に白い糸が急速に崩落物に向かって伸び始めた。伸びた糸はフィースたちを通り過ぎていった。


「なんだ?」


「荒木の糸ですね」


 フィースに一度荒木の糸を見たことのあるレノールが思い出して答えた。


「荒木の技なのかな?」


 メーベルは準備の時に荒木の糸を見たことがあったが、毛色が違ったのでレノールに聞き返した。

 

「そうですよ。荒木が使っているところを見たことがありますから、間違っていないと思いますよ」


「さっきのか」


「こういう使い方も出来るんですね」


 ジャネットとメーヴィスは荒木が作り出した糸を見極めようと見つめていた。そして、糸は皆を通り過ぎると糸が枝分かれするように一気に広がり、穴を塞いだ。


「糸で崩落を食い止める気か」


「そうみたいね」


 フィースとメーベルは荒木が本当に崩落を食い止めてくれようとしていることを真実であることが理解できた。フィースたちは自分たちではどうにかできないので崩落を荒木に任せた。そして、荒木に遅れること数秒後フィースたちは穴の底の水平な地面に辿り着いた。メーヴィスが落下中もライトボールを維持していたらしく辺りを照らして、見やすくなっていた。下に辿り着いたフィースたちは崩落が気になって上を見ると荒木が作り出した糸が穴を埋め尽くしていた。フィースたちは糸が崩落を防げるのか確認のため、見つめていた。見つめてから少し経ったが糸はたわむことも軋むこともなく、完璧に崩落を防いでいた。


「あの崩落を食い止めたのか」


「あの量を止めるのはすごい耐久力ね」


 フィースとメーベルは崩落が止められて一安心すると、荒木が作り出した糸の耐久力に驚かされていた。そして、上から視線を移すと穴の底には荒木が作り出した糸が立派な根を張り、糸が集合してから上部で華麗に広がるさまはまるで大木のようにそびえ立っていた。さらに糸が白くメーヴィスのライトボールの光によって、大木の見栄えは良く美しくなっていた。


「へぇー」


「荒木にしては綺麗なものね」


「本当に綺麗ですね」


 フィースたちは荒木が作り出した大木を模した糸の美しさに圧倒されていた。


「出口のようなものは何もありませんね」


 レノールが辺りを見回すが出口らしきものなどはなかった。


「閉じ込められてしまっているな」


 フィースが現在の状況を口にした。そして、大木の根元から現状を生み出した荒木が現れた。


「あるよ」


 荒木はフィースの声を聴いていた。


「どこにあるんだ?」


 フィースから見ても出口のようなものはなかったので、荒木に尋ねた。フィースに出口の場所を尋ねられたので、一度壁まで近づくと、大穴を開けた時と同じように拳を振りかぶった。


「荒木くんやめて!」


「やめろ!」


 フィースとメーベルは荒木がこれから何をするのかが分かったので、遺跡を壊されないように必死で静止しようとしたが、時すでに遅かった。荒木の拳が壁に当たるときれいな円状に道が出来上がっていた。荒木が作った道の先には入り口と同じ素材で出来ている道が見えた。


「ほら、道はあった」


「ほらじゃない!」


 フィースとメーベルが遺跡を躊躇いなく壊しまくる荒木に詰め寄ってきた。


「どうしたの? 二人とも血相を掻いて」


 荒木は分からない振りをした。


「だから、これは遺跡調査の依頼だ。遺跡を壊すんじゃない!」


「そう。重要なものがあるかもしれないんだから。それにランクも上げられなくなるよ」


 フィースとメーベルは遺跡をもう荒らされたくないので二人で荒木に注意した。


 とうとうランクを持ち出してきたか。目標に届いているから、上がらなくてもいいんだけどね。


 荒木はランクを引き合いに出してくると考えていたが、正直あまり気にはならなかった。


「大丈夫。だいたい遺跡内部構造の下調べはしてあるから、平気だ」


 ランクが上がらないことに興味があまりなかった荒木は自分の行動を肯定した。


「調べているのなら、もうちょっと遺跡に優しくしてくれ」


 フィースは下調べが出来ているのならば、遺跡を壊さずともすぐに進めると思ったので、荒木の態度を少しでも修正しようと努力した。


 いや、これでも最短で最小限の被害に収めたんだけど、それを言ってもきっとフィースとメーベルの耳には届かないよね。


「まぁ、善処しておこうかな」


 遺跡を重要視するフィースとメーベルの二人には被害の大きさは関係ないと荒木は考えていた。


「いや頼むから善処してくれ」


 荒木の善処が確定なものではなかったので、フィースは訂正して荒木の善処を確定させようとしていた。


「それくらい荒木くんの実力なら出来るよね」


 メーベルも荒木の実力なら朝飯前だと思ったので、荒木をおだてた。


「大丈夫だって、もうここまで、大きく破壊することはないから」


「いや、これ以下でも甚大な被害だから遺跡を壊すようなことはしないで」


 荒木の被害の大きさを見て、これ以下の被害でも相当な被害だと気づいたフィースはすぐに荒木を注意した。


「分かったから、とりあえず道も出来たから行こう」


 荒木はフィースの話を強引に切り上げて、先頭に立ち出来上がった道を歩いて行った。


「話はまだ終わってないぞ」


 フィースは荒木が説教されているのにも関わらず、進んでいったので引き留めようとした。しかし、そのまま無視されたので、荒木の後を追った。


「もう。師匠の話をちゃんと聞きなさい」


 荒木のフィースに対する態度にとうとう我慢できなくなったレノールはフィースに続き荒木を引き留めようとした。しかし、声は届かず荒木は進んでいってしまったので、レノールもその後に続いた。メーベル、ジャネット、メーヴィスも3人が前に行ってしまったので、置いて行かれそうになったので、離れないように二人も後を続くようについて行った。

 そして、荒木が遺跡内部に入るとその先に遺跡の壁と同じ素材の2mくらいの動く石のモンスターが数十体いた。


 あれはゴーレムか弱そうだな。無視してもいいが、他の人が気付かれて戦闘になりそうだ。他の人でも倒せるから俺だけ無視して奥に進んでも良さそうだな。


「俺は先に行くから任せるよ」


 荒木はフィースたちが気付かれると思ったの、見捨ててそのまま進んで行くことにした。


「? 遺跡を守っているゴーレムか」


 荒木の後ろを付いてきていたフィースは荒木が言っている意味が理解できなかったが。荒木に遅れること数秒後モンスターに気づいて、構えた。


「BBランクの水に弱いロックゴーレムね。そんなに強くはないけど、数が多いから戦闘は避けられそうにないね」


 メーベルは分かっていない人に名前と弱点を伝えて戦いやすくした。レノール、ジャネット、メーヴィスも武器を取り戦闘態勢に入った。


 やる気だね。なら俺は先に行こうか。


「じゃ、先に行ってるから、頑張ってね」


 荒木はロックゴーレムがいる方に一人歩いて行った。


「待て! 勝手なことをするな」


 荒木の言っている意味が分かったフィースは遺跡を壊す可能性を考えている荒木をその場に留めようとした。


「別に遺跡を壊すわけでもないしいいだろう。先に行っても」


 荒木はフィースの心配を解消すると止まることはなくロックゴーレムに接敵した。しかし、荒木が近づいたにも関わらずロックゴーレムたちは気付かなかった。


「何で気付かれないんだ?」


 フィースも含めて荒木がロックゴーレムたちに無視されている光景を不思議に思っていた。


「それは私にも分かりませんね」


 レノールも荒木に同行したことがあったが荒木がモンスターに気付かれない理由は分からなかった。荒木に何が起こっているのか誰にも分らないまま、荒木は先へと進んで行ってしまった。


「とりあえず。目の前の敵となんとかしましょう師匠」


 荒木のことは考えても仕方ないと思ったレノールはいったん頭の片隅に置くことにした。


「あぁ、とりあえず倒しながら進むしかないな」

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