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第二十話 赤い縞模様は誰のもの?

「レノールおはよう」


「おはよう。で、朝の悲鳴は何?」


 レノールは早朝の悲鳴で目を覚ましたようで、暇になって準備をすでに整え終えていたようだった。


 これは近くの住民は皆起きただろうな。今後は人がいないところでやらないと迷惑になるか。


「天然の目覚ましだ」


 荒木はレジーナを恥ずかしくさせたかったので、ふざけて答えた。


「あんな悲鳴みたいな目覚ましがあるんだ」


 レノールは音がレジーナの声だと思っていないので、素直に言った。レノールの言葉がさらに本人を恥ずかしくして傷つけた。


「目覚まし?」


 ユードラはぐっすり眠っていたため、気づかなかったので何だろう? と思いながら疑問形で荒木とレノールに聞いた。


「あれね」


 リクシーは目覚めた時のことをゆっくりと思いだした。


「…」


 レジーナはみんなの反応などを見た結果。恥ずかしくなったので、後ろから荒木に向かって殺気を含んだ目で睨んできた。荒木はその視線に臆すこともなくそのまま続けてふざけることにした。


「よく起きれたでしょ」


「確かに一発で目覚めたけど近所迷惑だから止めて」


「分かってる。人がいるところではやらないよ」


「それなら好きにすればいいんだけどね」


 レノールは荒木が再び目覚ましを使うと聞いたがしっかりと、他人に迷惑を掛けないと聞いて、納得した。しかし、一人納得していない者がいた。


「…」


 荒木が朝と同じことを行うとしていることをレジーナは気付いてしまった。しかし、レジーナは人間と話したくもなかったので、止めるようには言うことはしなかった。その為、荒木の奴隷である以上、避けることは出来ないと悟り、朝に悪戯されることは諦めた。


「今の時間帯から馬車を売ってる場所知らない」


「冒険者ギルドの近くにある場所かな」


「じゃ、そこに向おう」


 荒木はレノールに案内されるまま冒険者ギルドに向かって歩いて行った。


「ここがスーミというお店で馬車を売ってる」


 冒険者ギルドに行く道中にスーミという看板の店に向かってレノールが言った。荒木達は大きめの入り口から店内に入ると簡易的な柵で区切られて管理されている魔獣たちの姿が見えた。その中央には大きめの通り道があった。


「普通の馬車だな。とても馬車や魔獣を売っているところには見えない」


「そう? 魔獣を売っている場所はどこもこんな感じだと思うけど」


 牧場をイメージしていたんだけど。まさか室内でしっかりと管理されているとは。共食いとかあるのかな。


「いらっしゃい」


 荒木が店内に入ったのを確認した店員は朝なのにも係わらず元気に挨拶をしてきた。


「馬車売ってますか?」


「売ってますよ。案内しましょう」


「お願いします」


 荒木は魔獣達を素通りして店の奥へと案内された。奥にいくと数種類の馬車が置いてあった。


「皆さんの人数ならこれくらいの大きさの馬車でどうですかね。この馬車ならいい木をつかっていますから数十年持ちますよ」


 冒険者ギルドの近くにある馬車屋だからか、店員は屋根付きの豪華な耐久性のある馬車を勧めてきた。


 どうせすぐ壊れるから、軽装備の馬車がいいかな。


「天井はいるけど、もうちょっと小さめの馬車がいいですね」


「この馬車なんかどうですか?」


 店員はさらに奥の方にある荷物が落ちないように四方向に板が付いていつ行商人が使いそうな馬車を紹介した。


 壊れる可能性があるからこれくらいの馬車でいいだろうな。


「この馬車でお願いできますか?」


「分かりました。カスタマイズすることも出来ますが、どうしますか?」


 時間が掛かかるだろうからな。カスタマイズなら後で足りないものが分かったときに自分でやれば十分だろう。


「このままで大丈夫です」


「馬車を引く魔獣はどうしますか?」


 買ってみたいが、俺がいいと思てる魔獣はこの中には存在しないからな。俺の持っている式を使って引かせるか、自分で引いたほうが速い。


「持ってるから大丈夫。馬車の会計を済ませて」


「分かりました。銀貨2枚になります」


「はい」


 荒木は銀貨を取り出し、店員に渡した。店員はしっかり銀貨2枚を確認すると馬車を荒木に渡した。


「店の外まで手伝いましょうか」


「いいです。自分で持って行けますので」


 荒木は馬車に手を置いた。次の瞬間馬車は荒木の手の中に吸い込まれて消えた。


「なるほど、アイテムボックスですか。またのご来店をお待ちしております」


 店員は一度見たことのある自分の知識でアイテムボックスだと勘違いしていた。荒木は勘違いされたことを好都合と思いながらそのまま店を出て行った。


「流石は異世界人。アイテムボックス程度は習得しているのね」


 先程の光景を見ていたレノールは異世界人とういう情報を聞かれてはいけないと配慮してか店の外に出てから小声で感心していた。


「そうだな。異世界人だからな」


 気で作った空間に入れているだけだから違うんだけど、勘違いしてもらって欲しいからそのまま勘違いしてもおう。


「それよりも、荒木って異世界人なのにもう魔獣と契約してるんだ」


 リクシーは異世界人がこの世界でだいたいどのくらいの期間で魔獣を得たりしているのか知っている様子だった。


「そうだけど変かな?」


 なるほど。リクシーにとってその情報はいい情報なのか。でも、異世界の魔獣とは違うからリクシーがどうしようが、たぶん、意味をなさないで満足のいかない結果に終わりそうだ。適当にリクシーの都合のいいように匂わせておこうか。


「いいや、変じゃないよ」


 リクシーは荒木が大体どんな状況下にいるのか情報を手に入れたと思い満足そうな顔だった。


 何か。異世界人の統計でも取られているのか。あれだけ異世界人が転移させられたりしていれば当然のことか。学校の皆、不利な状況だな~。


「リクシー! ご主人さまを呼び捨てにするとは」


 リクシーの荒木に対しての態度が気に食わないようで、ユードラはリクシーに態度を改めるように注意しようとしていた。


「別にどう呼んでもらっても構わないけど」


「ご主人様がいいのなら、別いいです」


 荒木はどう呼ばれようと、どうでもよかったので、気にしないことをユードラに伝えた。ユードラは開き直ったようにリクシーを怒るのを止めた。


 ユードラに関しては右手を治しただけなのに忠実だし、もうエヴァンジェリアの護衛を任せてもいい段階だな。他の二人は予定通り矯正して行かないと。


「それじゃ、旅に必要なものを揃えていくか」



 それから、町を回り旅に必要な食料やアイテム(食料と水、ステータス回復系アイテム各種)などを買い揃え終えた。


 旅に必要な道具が揃った荒木達は日が真上に上がった頃、南東の門の前で馬車を出して荷造りを始めようとしていた。荒木が気の空間に入れていた荷物を取り出し荷台に積んでいった。4人はその光景をただ眺めていた。


「ご主人様手伝いましょうか?」


 準備に関して何も命令されていたなかったが、一人で準備をしている荒木を見てユードラは忍びなくなっていた。


「何でアイテムボックスを持っているのに荷物を積む意味があるの?」


 3人は既に気づいていたが、そのままアイテムボックスに入れて行けば、荷台に荷物を積む必要が全くないことにレノールは気づいた。


「力を封じられたら、使えなくなる可能性があるからね」


 この例えを言っても大多数の人がそんな珍しい敵とも出会ったこともないだろうから、理解は出来ないだろうな。


「そんな魔法があるのですか?」


「リクシーはどう思う?」


 荒木は情報が欲しそうなリクシーに対抗してこちらもリクシーに悪魔の魔法知識があるだろうと思い、情報を引き出す感じでわざと聞いた。


「そんな魔法は聞いたことない」


 俺の気力もこの世界の魔力も力には無限の可能性があるはず。これはリクシーが知らないだけだな。それか、リクシーがその魔法を使って偽情報として、嘘をついているかだが、実力が伴ってないからそれはないか。まぁ、俺は出来るんだけどね。


「魔法に詳しくはないが、あると考えて行動したほうが確実だと思うよ?」


「気にしすぎも良くないですよ。ご主人様」


 深く考えている荒木に足して人生の先輩と勘違いしているユードラは気にしても仕方ないということを伝えた。


 実際そんな者たちと戦ってきているが、この見た目で長生きしている人には思えないだろうから説得力がないな。大事なことだが今は諦めて、話すときが来たら説明しよう。


「それと、レノールもローブを着たほうがいいよ。余計な戦いをせずに済むと思う」


 荒木はあらかじめ作っておいた気の世界からローブを取り出して優しく渡した。


「ありがとうございます」


 そして、ややあったが、荷造りが終ると荒木もまたフル装備になりルーバ森林へと旅立つ準備が整った。後は荒木の魔獣を待つのみになった。


「それで魔獣はアイテムボックスにでも入れてるの?」


 レノールが未だ姿を見せない荒木の魔獣の所在を推測して言った。


 魔獣ってアイテムボックスに入るものなのか? アイテムボックスについて知らないが式神を呼ぶか。


「今出す。式―べに


 全身赤い刺青をしている奇抜な服を着ている女性が現れた。


「お呼びでしょうか。く・・・荒木様」


 紅は荒木の本当の名前を言おうとしたが、周りに他の者たちがいるのを確認すると急に今の名前に切り変えた。


 抜かりないな。別に本当の名前を言ったって、危なくなったことはないんだから、言ってもいいんだけど。


「別に紅の好きなように呼んでいいんだけど」


「危険ですからそう言うわけにはいきません」


 名前を呼んで何かしらの効果を及ぼすことの出来る敵に経過してるんだろうな。うちの式神たちは何故か警戒心が俺よりも高いからな。いつも優秀な式神たちはときどき面倒だ。


「獣型になって荷台を引っ張ってくれない?」


「人型でも問題ないですよ。荒木様も女の人型の方が好きでしょう?」


 男性趣味もないし、飽きの来ない服を着ているからな。それは見ていて楽しいけど、現状、人の体系で馬車を引かせると悪目立ちそうだから、避けたい。


「今はまずいから」


「分かりました」


 紅はシュッ! という音とともに素直に変身することにした。鮮やかな赤色の縞模様が紅の地肌に巻き付くように現われ、徐々に体からは白い毛が生え始めた。腕を地面に着けて獣の体系になると、尻尾が生え、全長2メートルくらいある大きなレッドホワイトタイガーに変身した。荒木以外の目にはその姿が神秘的なものに見えていた。


「…!」


「凄いですね」


「これが主さまの魔獣ですか?」


「へー」


 みんなは最初女性を魔獣として出した瞬間偏見の目で荒木を見ていた。しかし、紅が変身しすると、4人は神秘的な紅の動物姿を見たとたん目の色を変えて驚いていた。


 まぁ、驚くか。俺も初めてあった時は神秘的で強そうだと思ったもん。反応を見るのはこの辺にして、出発するか。


「みんな出発するから荷台に乗って」


 荒木が紅に見とれている皆に言うと皆は紅の余韻を残しながら荷台に乗っていった。


「じゃ、荷台が壊れるからのんびりとこの道を歩いて」


「了解」


 紅は馬車に括り付けてある縄を口に咥えて歩き始した。紅の動きに合わせて馬車も正常に動き出した。


 流石、しっかりと力加減を考えて引いてる。これならしばらく紅に任せても良さそう。


 荒木達は門で検問をしている騎士たちに身分証を見せて前を横切ると、その門番やそこにいる者たちも紅の姿に驚いていた。


 これはちょっとした噂になるな。幸い皆ローブを着ているから、噂になるのは紅の本来の姿だから別に問題ないだろう。


「じゃ、俺は索敵しながら屋根の上で休むからみんなはここで休んでてよ」


「手伝おうか?」


 リクシーは荒木の情報を抜き出せると思いユードラより先に荒木と一緒に周囲を警戒することを買って出た。


「はい。私も手伝います」


 先を越されたユードラもリクシーに負けないよう、元気よく手を挙げて荒木を手伝うように名乗り出た。


 索敵能力が俺と比べものにならない程低いだろうから、手伝ってもらうほどでもないな。皆には休んでいて貰おう。


「俺一人で十分だからここでみんなと一緒に休憩しておいて」


「交代制にしましょうか?」


 レノールが親切心から交代しようと提案して来た。


「今休んでおかないとダンジョンで大量の敵と戦って疲れるだろうから、休んでおいた方がいいよ。特に俺の奴隷3人はね。それに他にも捕まえている魔獣もいるから問題もないよ」


「分かりました」


 荒木がドラゴンを倒しているだろうと思っているレノールは素直に納得して索敵を荒木に任せた。レジーナ以外の荒木に無関心ではない奴隷二人は実力を知らないので、レノールが何故素直に理解したのか分らないが、休憩されるように命令されたので大人しく休憩することに決めた。


 荒木は紅が引いている馬車の布製の天井に器用に乗っかると、大空を見上げて寝そべった。そして、門から離れルーバ森林の近くにある木々が近づいてくると荒木は両手から糸を作り出してルーバ森林の前にある森から全体の探索を始めた。


 ルーバ森林を寝そべりながら探索していると紅がみんなに聞こえないように頭の中に直接話し掛けてきた。


「荒木様もしかしてあの娘たちも式神にするんですか?」


 式神の紅は自分と同じ境遇の仲間になるかもしれないと思い興味を持ち、荒木に話しかけてきていた。


「見て分かる通り、力が足りてないから式神にはしないよ」


「やはり、そうですよね。なら生贄ですか?」


 荒木の答えは予想されている解答の一つだったようで、彼女たちの未来がどうなるのかある程度ある中から、今の状況から推測して最も有り得そうな未来を皮肉交じり聞いてきた。


「間違ってはいないな」


 エヴァンジェリアが常闇の妖星が現れるまでの護衛役だからな。確かに生贄で間違いないな。それにしても生贄か。面白い表現を使うな。


「それにしても、何でまた女性ばかりなのですか?」


 この世界について知らない紅は荒木と出会った時からの地球の感覚からか、荒木がいかがわしい目的で女性だけを選んで捕まえてきたとのだと思っていた。


「条件的に女性の方が最適だと思ったから。最初から極力女性を優先して集めていたのは確かだけど、この世界の主な力は女性との相性がいいみたいだから、力の強い者を集めると必然的に女性が多くなるからな」


 紅にどう思われているのか察した荒木は一応この世界のことを説明した。


「そうですか。私は荒木様の好みでいいと思っていますけど」


 この世界に付いて説明してもらった紅だったが言い訳っぽく聞こえていた。紅は興味を持ったから聞いただけであって、別に自分の主が何をしようが、欲の赴くまま進んで欲しいと願っていた。


「もう、紅の好きに思ってくれていいよ」


 荒木は紅が憐れんで気を使ってくれているのだろうなと分かっていながら、何を思われようとも構わないと受け入れ、説明することを諦めた。

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