第十八話 レジーナはBあ……ユードラは長期間
「えっ、盾? 盾か~」
レジーナを悪戯の対象に決めた荒木はレジーナの小声をしっかりと聞いていたが悪戯すらためにわざと全然関係ない武器を言い、その武器を持って来た。
「剣」
レジーナは小声のせいで聞き間違えられたのだろうと思い、嫌だったが荒木に伝わるようにしっかりと声を張って言った。
「あっ、ごめん。聞き間違えたよ。ハンマーね。これなんてどう」
荒木はしっかりと聞き間違えて絶対使わないであろう変な形のハンマーを持って来た。
「(キッ)剣!」
レジーナは憎しみの怒気をはらんだ目で怒りながら大きな声で言った。
この場合どうしようかな。傷つける言葉を言うか。褒めるか。こういう娘の場合褒めたほうがいいか。いや、褒めて攻撃して傷つけよう。
「わかった。怒るなよ。せっかくの可愛い顔が可愛いくなってるよ。掌波」
荒木は褒めに褒めつつ顔の形を変えるため優しく両手でレジーナの頬を叩いた。荒木の掌波を食らったレジーナの顔はすぐに少し腫れて、顔の形が少し変形した。
「イッター! 何すんのよ!」
「ほら、怒ったから顔が膨れちゃったじゃないか。行くぞ、プフっ」
荒木はレジーナに対して少し手を口に当てて分かりやすく挑発しながら笑いつつ、どんな面白い顔をしているのか鏡で見せて上げた。
「…ニッ!」
「プふふッ!」
レジーナは再び荒木を睨んできた。荒木はレジーナが自分の顔がどんな形になっているのか知っていため、さらにわざと笑い挑発して怒らせた。
会話にはなってないが話した。やはり、こういうタイプの奴は悪戯すれば口を利くか。よし、自然に話すようになるまでレジーナには悪戯していくか。
荒木はレジーナに対して、今後のどう接していくか方針を決めた。
「貴様!」
「じゃ、行くぞ。これを着て、ついて来い」
レジーナに飽きた荒木は雰囲気を戻した。荒木は全時間帯使えると思っているクリーム色のローブを取り出し奴隷たちに投げて渡した。3人は命令された通りローブを着ながら付いてきた。荒木はそのまま出口の方向に向かって歩き始めた。
「お金」
荒木は金を取り出して、会計をするため装備代分の金貨を分かりやすく店員に向かって投げつけた。
「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」
店員は分かりやすく金貨を渡されたため、代金が支払われているのを確認したので、そのまま出て行く荒木を見送った。
帰りは裏口から出るのか。目を付けられないようにか。それとも、ただ単純に奴隷を他の人の目から避けるため配慮か。両方共だろうな。
外に出ると少し空が夕暮れに染まり始めていた。
「もう夕方か。レノールに怒られそう」
「いくぞ。ついて来い」
荒木は3人を連れて冒険者ギルドに待たせているレノールの元をへと戻っていった。
この3人の自己紹介は面倒になるから、黙ってもらっておこう。
「3人とも今から人に会うけど、面倒になるから喋らないで」
荒木は冒険者ギルドの前で3人に命令すると冒険者ギルドに入って行った。
荒木はレノールがどこにいるのか冒険者ギルドに入る前から感じ取っていたため、冒険者ギルドに入ると迷わず座っているレノールの元へと向かって行った。
「レノール用事は済ませてきた。チーム登録は済ませたか?」
「えぇ、済ませたわ。はい。あなたのクリスタル」
レノールは預かっていた荒木のクリスタルをしっかりと渡した。
「確かに」
俺のクリスタルだな。チーム登録は済ませたけど何も変わってないんだな。確かランクを上げないと色は変わらないって本に書いて有ったな。
「で、その後ろにいる人たちは誰?」
レノールは王城に行ったのにも係わらず、後ろに人を連れてきたのは何事かと思い聞いた。
「奴隷だ。買って来たから遅くなったんだよ」
「なるほどね。でも、何で奴隷?」
レノールはドラゴンの素材を売ったお金で買ったのだと思い、納得した。レノールは荒木が何で奴隷を買ったのか分からなかった。
「護衛に買ったんだよ」
「あなたはいらないでしょ」
レノールは荒木の実力をドラゴンよりも強いという認識を持っているので、そんな人に護衛を付けなくても問題ないと思っていたので思わず突っ込んだ。
「俺の護衛役じゃないよ。知人を守るために買った」
「知人?」
「そう。会おうと思えば会えるよ。会いに行く?」
「いかない」
レノールはあっても自分に何かできるとも思えなかったので、行くのは止めた。
「そうか」
行かないのなら、色々と準備してあるしランクを上げたいな。よし、早速レノールに提案してみるか。
「早速冒険者ランクを上げたいから依頼を受けよう」
「今から?」
「今から。ミサナの森とスーダ山の材料なら一通り持ってるから、時間はかかるがたぶんこれでランクを上げられる」
「そんなに」
「とりあえず。受注受けて達成しまくろう」
それから、荒木とレノールは掲示板から採集して来た薬草の依頼を受けては達成して行った。そして、二人ともGランクからEランクまで一気にランクが上がり、クリスタルの色が灰色に変化した。
「よし。これでEランクだ」
「もう夜だけどね」
レノールの言われた通り冒険者ギルドの外を見ると暗くなっていた。
確かに夜だな。俺は夜でも活動できるが盗賊のレノールも同じく活動できそうだが、レノールと他の3人は寝ないと流石に支障がでそうだな。今日は休ませよう。
「今日は休もうか」
「そうね」
レノールは何度も同じ作業の繰り返しだったが、体力が少なかったのか相当に疲れていたのか機嫌よく言った。
依頼を持ってきて達成するだけだったのに、随分疲れてるな。鍛え方が足りない証拠だな。とりあえずこれからの行動予定を話しておきたいからな。宿なら一緒の宿を借りて、今日だけでも話せるようにしておきたい。そこで、3人も紹介しておきたいし。
「レノールは宿を借りてる?」
「いえ。師匠の家を住まわせてもらってる」
なるほど。師匠の家か。無理そうだけど、一応泊めてくれるか聞いてみるか。
「ちょっと、予定とか話したいから今晩その師匠の家に泊めてくれない?」
「いいよ」
「いいの?」
荒木は想定したていた反応に反してレノールが少し驚き聞き返した。
「えぇ、師匠は最近家を使わないから。これくらいの人数なら問題ない」
「よし。じゃ、レノールの家で作戦会議だ。案内頼むよ」
「分かったわ」
「3人も付いてきて」
荒木はしっかりと3人に命令を下すと、自宅に戻るレノールの後ろを付いて行った。
「ここが師匠の家です」
「ここか」
案内された家はこの町では一般的な家で、外観はヨーロッパのどこかの国で守られている風の家だった。
普通の家だけど。隠し部屋がありそうな気配がするな。レノールには悪いが何か面白情報があるかもしれないから後で勝ってに調べさせてもらうか。
「どうぞ中に」
レノールは鍵を腰に付けている小さい袋から鍵を取り出して、ドアを開けた。ドアを開けると、レノールは親切に荒木達を家の中に招き入れた。
「なんか話し合う部屋みたいなのないの?」
「2階の階段を上った先にある部屋に応接室があるからそこを使って、後2階は応接室以外空き部屋になっているから泊まるならそこを使って」
「じゃ、先に応接室で待っているから準備できたら来て」
レノールは何か準備する必要があるかもしれないと思った荒木は準備する時間を与えた。しかし、荒木は何も準備することがないので、そのまま2階の応接に入ってった。
応接室はテーブルを挟んでソファーが二つ置いて有り、奴隷商の3人と契約した部屋に似ていたが、照明は蝋燭を数本天井から垂らして明りを取れるようにしてあり、明るさは確保してできそうだが豪華さはなかった。
「よし。そろそろか。3人とも口と行動を自由にしていいよ」
荒木は蝋燭に火をつけると、レノールを待つためソファーに座った。荒木は冒険者ギルド前から命令している喋らせない命令を解き、付いて来いという命令も解除して自由にさせた。
「あの子があなたの仲間ね」
リクシーは荒木に対して情報を知ったよと分かりやすく言い、荒木に圧力をかけた。
俺を挑発して何かしようとしているみたいだな。調子に乗らないようにそれとなく返答するだけだな。
「今日知り合ったがな」
荒木は唯々感情を表さずに平坦に答え、リクシーの挑発を軽く受け流した。
俺もリクシーを見習ってレジーナに悪戯しないとな。
「レジーナは、レノールと気が合いそうだけど」
「…」
何も言わないか。たぶん、レノールが人間ではないことに気付いていないんだろうな。言って上げれば何か言うかな?
「レジーナって人間が嫌いなだけでしょ。レノールは人間ではないからな」
「…」
荒木が気を使って行ってあげたが、レジーナは無視を決め込んだのか聞こえない振りをしてそのまま無視することを続けた。
どう悪戯するか。決めた。耳を起点に年齢をいじろう。
「耳が遠いのか。やはり、ダークエルフ。見た目は若いが年なのか。ご老体、遠慮せずどうぞ座って、座って」
女性のエルフということで年齢は流石に気にしていると思った荒木は始め普通の声で耳をいじりつつ、ご老体と言った辺りで耳が遠いいということで、レジーナの耳の付近でよく聞こえるように大声で言い、立ち上がると体でイスに座るように表現した。
「…」
レジーナは下を向き暗い顔になった。人間に年齢のことを言われて頭に来ていたレジーナは怒りを爆発させないように抑え込んでいた。
溜め込むのは良くない。追い打ちを掛けなければ。
「ご老体。いやレジーナ婆さん。どうぞ、どうぞ、遠慮せずにお座りになってください」
荒木は途中から婆さんと呼んだ方が起こるのではないかと思い、訂正してさらに怒るように再び動きとともに大きな声で分かりやすく伝わるようにわざとらしく言った。
「私はまだ217歳よ!」
散々人間が自分の年齢に対して、悪口を言われて頭に来たレジーナは声を張って自分の年齢をはっきり言った。
「へー、そうなんだ。良かったな。ぷふっ」
荒木はレジーナが真剣に反論するとすぐに、受け流し一人大声を出すという恥ずかしい状況を見た。荒木は最期にわざと手で口を隠しながら笑って、さらに挑発した。
「(むー)」
レジーナは頬を少し膨らませながら顔を赤くしながら、さらに荒木を睨みながら怒りを溜め込んだ。
レジーナが頬を膨らませるのは怒ったときの癖みたいだな。この膨らみは後の悪戯で使えそうだ。後顔が赤くなるのも使えるな。
「顔赤いよ。そうだ。ユードラの腕を治そうか」
荒木はユードラの右腕のことを思いだしたので、レジーナに赤くなった自分の顔を鏡で見せて挑発させてさらに怒らせつつ、レジーナを無視してユードラに聞いた。
「…///」
レジーナは荒木の持っている鏡から自分の顔を見ると耳まで赤くして少し恥ずかしがっていた。
「え?」
ユードラはレジーナをいじめいていた荒木が自分の腕の話を急にしてきたため、驚いていた。
契約したし、とっとと治してしまおう。糸術―肉体模型。
荒木はユードラの傷を負っている右腕の部分に向かって高速で手刀を放ち、切り落とすとすぐに糸を手から創り出して、その糸でユードラの右腕を完全再現した。しかし、その荒木の動作はこの場にいる皆には目で捉えることはできなかったため、誰にも気づかれることなく終えた。
「はい。終了」
これで、傷はなくなったから痛みなく動かせるはず。確認したからないとは思うが、これで痛みが消えなかったら呪だから、面倒な方法を取らなくなるがどうだろうか。
荒木は一応ユードラの右腕の痛みが消えたかどうか反応を確認するため、ユードラがどうなるのか観察することにした。
「え!? え?」
ユードラは荒木に終了と言われたが何かされたのか感覚ですら、気付づいていないため大変混乱していた。
「触ってみればわかるよ」
荒木はユードラの右腕が呪でないかを確認したかったため、ユードラに右腕に触るように急かすため言った。
「ほんとだ。痛みがない。呪が消えたぁー!」
ユードラは右腕の痛みが出るように動かすと、痛みがないことが確認できた。荒木を睨んでいるレジーナの隣で長い間ユードラを苦しめていた痛みから解放されて心の底から喜んでいた。
これで治ったということは呪ではないんだけど。呪ならば何をしようが消えないはずだからな。たぶん、治せなかっただけだけど、まぁ、結果慕ってくれるから訂正しなくていいか。
「一日は安静にしてね。もげるから」
「はい。ありがとうございます。この御恩は必ずあなた様に返します」
長年、苦しまされていた右腕が遂に治ったユードラは首を垂れた。
この程度でこんなにも慕われるとは儲けものだ。
「何をしたの?」
突然豹変し、喜び荒木に姿勢を低くし片足の膝を付けて、主従関係が出来上がったことに荒木の動きを見ることが出来なかったリクシーは何が起こっているのか理解できなかった。
「外科的手術。見えなかっただけさ」
荒木は特に隠す必要がなく、本当のことを話してもよかったが、自分の情報が欲しいと思っているリクシーを悩ませるため、あやふやな形にして混乱させることにした。
「?」
リクシーは荒木が言った言葉の意味が分からなかったので、考え込んでいた。
近いうちに俺の力を知れるから今言わなくてもいいだろう。やったと言って見えないものを証明できないし、面倒になるからあやふやにして、勘ぐらせておいた方が説明の手間が省けて楽だからな。それに、俺を持て遊ぼうとしているリクシーと真面目に話をするのは面倒だ。
そして、何の音もなく扉を開けて入ってきたレノールは奴隷が一人荒木の元に跪いている姿を目撃した。
「奴隷に何をさせてるの?」
そんな。荒木を見たレノールは奴隷を奴隷らしく扱っていると思って、軽蔑気味に言った。
「忠誠だな」
「はい。あなた様に一生付いて行きます」
荒木が普通に事実をレノールに言うとユードラは荒木の手を取り、忠誠を尽くすことを誓った。
軽すぎだろ。人間の寿命で考えていそうだ。俺はエルフとほぼ同じ寿命になってしまっているのだが、それは言わないほうが好都合か。ちょっと怖いが何も言わず黙って受け入れよう。
「…」
荒木は無言で自分の手を握っているユードラの手に手を重ねてユードラの忠誠を受け入れた。
「はい」
何かを察したユードラは喜んで頷いた。
「まぁ、いいわ。それで何の話をするの?」
奴隷が喜んでいるのを見たレノールは嫌がっているのではないのだと思い、荒木を軽蔑する視線を止め、話を聞くことにした。
「まだ3人に自己紹介してないから自己紹介と今後の行動予定だな。まずは自己紹介から始めよう」
荒木は一息置いてから、皆自分に注目していたので集めた本人の自分から話すことにした。
「まずは俺からだな。俺は異世界から連れてこられた荒木だ。よろしく」
「異世界人様!?」
ユードラは敬称を付けて律儀に驚いた。
「異世界人なのか」
レジーナは少し困惑気味に驚いた。
「異世界人か。面白い」
リクシーは異世界人と知るとこれから楽しくなること間違いなしと思い笑った。
「3人ともフードを取って。次は3人をレノールに紹介するよ。エルフの子がユードラ、ダークエルフの子がレジーナ、悪魔の子がリクシー、これから一緒に旅する仲間だ」
「悪魔を買ったのか?」
奴隷商の男性が言っていたことがやはり、常識なのかレノールは最後のリクシーが悪魔だと知ると、正気なのかと疑っている様子だった。
「そうだけど?」
「周りに敬遠されるわよ。それに、リクシーっていい噂聞かないわよ」
「知ってるし、周りの目なんかは気にしないよ」
それにエヴァンジェリアの護衛には強くて寿命の長い奴を置きたいからな。これから増やすにしても、悪魔とかの人間ではない種族になるから周りの目を気するわけにはいかないからな。それにローブ着とけば大丈夫だろう。
「分かっていて買ったのなら、別に何も言わないわ」
「レノールも一緒に旅する3人に自己紹介して」
「私はオクリタ種のレノール。大盗賊フィースの弟子です。よろしくお願いします」
「…」
レノールが自分の種族名を口にした瞬間無言のレジーナの眉毛が少し動いた。
これは。
「オクリタって種族知ってるの?」
荒木は興味を持ったのでレノール以外の3人に聞いた。
「知らないです」
「私も」
「…」
レジーナは無言を貫き通した。荒木は先程オクリタとレノールが名乗ったときに、少し思い当たる節があるような表情をしているのを見ていた。
あの表情は隠している表情だった。人間に情報はやりたくないと持っているのだろう。率直に聞こうか。
「レジーナは知ってるよね?」
「…」
話さないか。また悪戯しようかな。いや、今回は話さずとも反応で分かったから、話が長引くし、そのまま今後の予定を話して行こう。




