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プロローグ2 あーーーっという間の移動



△神の領域では神々が集まって何かをしていた。


「そう言えば熊捕久勝くまとりひさかつという男はどうなった」


 ある神が何かをしている最中に突然思い出したかのように神が隣にいた神に言った。


「テンプスが自らの体と引き換えに転生させました」


「やはり、殺はしなかったのか。どうしたものか」


 仲間が倒されたのに当然の結果というように受け入れたが、質問した神は熊捕とういう人間をどうしたものかと悩んでいた。


「はい。作戦とは違いますがまずまずです」


「まずまずとは? 他に作戦でもあるのか?」


「はい。それは任せておいてください」


「ほっとけばいいんじゃないの?」


 すると隣に座っている事情を知っている別の神が言った。


「確かにこちらから手出しをしない限りは何も起こらないが、もしこの場所の存在を知られた場合は何が起こるか分からないからな」


 しかし、神は過去の出来事から熊捕という人間をある程度は知っていた。そのため、不安要素が十分にあったので、ほっとくわけにはいかなかった。


「確かに強いから何か起こってからだと大変だよねー」


 隣に座っていた神は事情をある程度知っていたが、自分にはあんまり関係ない話だったので早々に興味をなくして話を切り上げた。

 そして、神々の何かの集まりが終わった。


「とりあえず後はお前に任せるよ」


「任せておいてください」


 質問している神は作戦が失敗したが隣にいる仲間の神に頼めば万事解決するだろうと思い全ての作戦を任せることにした。

 頼まれた神は立ち上がると、他の神のところに近寄って行った。


「あぁ、この人物の転生先調べておいてね」


「えっ、私がやるのですか?」


 突然何も知らない神が作戦を立てている神に頼まれると驚いたように言った。


「やってくれるよね」


「はい」

 

 神に無理矢理に頼まれるとは断れずに仕方なく熊捕という知らない人間がどこに転生したのか人間全てを調べる途轍もない作業を行うことになった。


「今日の集まりは終わりだな。じゃ、あの人間は任せたから探し終えたら私に伝えてね」


「はぁ~」

 

 作戦を立てている神は面倒ごとを押し付けることに成功すると、ササッとこの場を去っていった。

 事情を知らない神はこの先の苦労を思い、深いため息をついた。



○一方体が消えた男こと熊捕は再び生まれ変わり荒木という人間になっていた。


 熊捕という男が荒木として生まれ変わりそれから16年くらいが経った高校の秋、俺は机に突っ伏しながら授業を聞いていた。


 あの時はようやく戦いの中で死ねると思ったんだけどな


「はぁー」


 まぁ、確かに分からないことがたくさんあって、いいんだが。今の時代勉強しようと思えば、ネットでいくらでも情報収集できるからな。それを考えると、なんで俺が学校になんかいけないといけないんだと思うけどな。親には助けてもらっている恩義もあるし社会人になるまではちゃんということは聞いてあげるけど、まさか精神的には1000歳。肉体的には900歳くらいの俺が教えられるとは思わなかったが、よくよく考えたら戦い以外勉強なんてしたことなかったから、いい機会だと思ってよしとするか。


 荒木は先生が黒板で何か書いているのが興味を引かれなかったので無視して、周りを見回してみるとみんなは黙ってノート書いていた。


 それにしても、みんなはまじめだな。俺だけだな。寝ているのは。取りあえずノートでも開いて誤魔化しておくか。


 荒木がみんなの姿を見て自分も何かしないといけない衝動に駆られてシャーペンを持ち、カバンの中にしまっていた。みんなの姿を見なければ使う気すらなかったノートを取り出してほとんど新品同様のノートを開こうとした瞬間荒木の目の前は白い景色に包まれた。


 あれ? いったいなんだ。この白い景色は。まさかホワイトアウトか。ここは雪山でも霧がある場所でもないからそれはありえないか。レッドアウトは目の前が赤くなるし、ブラックアウトは視界が暗くなる。目を瞑ってみるか。


 荒木は目の異常の確認をするため、目を瞑って見るといつものように目が暗くなった。目に異常はなかった。


 目に異常はないか。なら一体この白い景色は何なんだ。もしかして、妖怪の仕業かもしれないな。気配を少し探るか。


 荒木は白い視界の中、五感だけで周囲の状況を確認してみた。しかし、この状況を起こしているそれらしいものは五感だけでは発見することはできなかった。


 周りに他の生徒達がいるのが分かっただけで、敵は存在しない。この状況はまずい感じがする。よくわからないうちに身に付けていた技だからできれば使いたくなかったが、久々にあの技を使ってみるか。


「天見通」


 荒木はあまり使いたくなかったが、何をしてもこの状況を理解できないうえ、危険があるかもしれないと思ったので、気を鍛えている途中で偶然手に入れた色々なものを見ることができるようになる技を発動させた。


 何だ? ここは。


 荒木が天見通を使い見た光景はこの空間が全て白く四角い空間ということ、学校関係者を含めて全ての人が倒れていることくらいしか情報が入ってこなかった。


 まさか。これだけの情報しか得られないとは。もしかして、学校全体が別の空間に移動させられているのか。今度は外を見てみるか。


 外を見ると全てが川のように流れている青い空間の中をこの白い四角い空間が、かなりの速さで移動している光景しか見ることが出来なかった。


 結局のところ現状は何も掴めずじまいか。この空間を破壊して全生徒を見捨てて抜け出すのも手だが、一人生き残るのも気まずいからな。まぁ、今の所目立った攻撃もしてこないみたいだし、誰一人も殺されていないからこのまま成り行きに任せてみるか。面白そうだし。


 荒木は今となっては遅いかもしれないが、そのまま成り行きに任せるためにこの状況を作りだしただろう敵に気付かれないようにそのまま床にうつ伏せになり、みんなと同じ状態になった。


 荒木が倒れている振りをしてから数日が経った。


 うーん。随分と長いこと敵は姿を現してこないな。まぁ、姿を見せないのならまだいいんだけど、誰かが見ている視線すらもないのはどういうことだ。それに天見通で見張っていたが誰一人として起き上がる気配が無い。もしかして、この白い何かが原因か。俺は毒が効かないから判断しようがないな。まぁ、死んではいないから致死性の毒ではないから心配はないと思うが、そろそろ飽きてきたから何か起きてほしいな。


 すると、この空間の上から突如として何かしらの発光体が一瞬で現れた。


 あれはいったい何だ。敵の攻撃か。いや、殺気もないから違うか。しかし、殺気を消して攻撃してきている可能も捨てられない。仕方ない、試してみるか。


「気術―葉」


 荒木は一瞬にして気から葉を作り出した。荒木はその葉っぱを気で強化して、発光体に向かって飛ばした。葉っぱは発光体を通り抜けた。


 威力はないか。なら当たっても何にも害がないな。じゃ、あの発光体は何のためにして一瞬で現れたんだ。どうしようか。壊すか。いや、むやみにやって爆発されても困る。面白そうだし放置しておくしかないか。


 そして、その発光体を放置すること刹那、発光体は急速に回転し始めた。発行体は瞬時にここに倒れている人数に発光体が分かれ、みんなに降り注ごうとしていた。


 ボチボチの速さだな。これなら降り注ぐ光を全て防ぎきることはできるが…見えた! なるほど、力を授けようとしている光か。致死性の害がないならば俺が阻止するまでもないが、不安もあるしサンプルが一つ欲しいから俺に向かってくる光だけは捕まえるか。


「この技でいいか。気術―封じ」


 荒木は向ってくる光に対して、手を突き出した。その突き出した手の前方に自分の手と同じ形をした気を作り出した。荒木は光が自分の作り出した気に触れた瞬間に光を逃がさないように包み込み、そのまま光を気で包み閉じ込め、丸い気の塊を作った。


「封印成功だな」


 荒木は空中に浮いている光を封じ込めた丸い気に触れると体内にそのまま取り込まれて行った。


 次はどうなるんだろうな。しばらくは安全だと思うから気長に待ってみるか。


 荒木は今の所は安全だと思い座り込んで、周囲の警戒もしながら休憩した。



△異世界の神の領域


 ここでも小規模だが神々が集まっていた。異世界の神々はみな上機嫌になっていた。


「今回の転移は気前が良かったですな」


「なぜ? 我々に協力してくれたのかな」

 

 いつもは出し渋っていてあまり乗り気ではない地球の神が今回に限って協力的なのを一人の神が珍しく疑問を持っていた。


「問題を起こしたいわくつきの子を付けているらしいですよ」


「なるほど。厄介払いのためか」


「神の罪を知っている子見たいですね」


「その子どんなことをしたんだ」

 

 神の罪と聞いて気になった神が向こうの神などの事情を言ってくれた神に再び訪ねて聞いてみた。


「そこまでは調べられませんでした」


「まぁ、どんな奴であろうと、強い奴が来てくれるのはこちらとしてはありがたいな」


 事情を知っている神が申し訳なさそうに言った。すると、何かの作業をしている神が詳しく調べられなかったのをフォローするかのように別の神が言ってきた。


「確かにね」


「ステータスの付与も終わったし、管轄に戻るよ」


 そして、仕事を終えた神はこの場所にいる意味もなくなったので早々にこの場所から退場していった。


「また次で」


「私も帰るか」


「では」


 最後の神様が帰るとそれに続くように他の神も用事は終わったのか次々とその場から姿を消して自分たちの場所へと帰っていた。



△一方地球の神の領域では少数の神々が集められていた。


「それにしてもなぜお前がここにいる」

 

「理由は単純だよ。面白そうだからただそれだけ」


 余り関係のない自由奔放の神に向かって解いたが自由奔放の神は気の赴くままに行動していることは知っていたので、話が進まなくなるのでもう触れないようにした。


「どうやら作戦が成功したようです」


 すると作戦を考えていた神が神に成功報告をした。


「これで現状の脅威は去ったな」


「なぜ我々で罰を下さなかった」


「我々が直接下しても戦神を倒した相手です。少なくとも2、3体下手すれば10体は確実に殺されます」


「まぁ…そうだが」


 この場にいた神はみんな戦神よりか強くなくどちらかと言えば支援向きの神ばかりなので、熊捕が何度も妖怪と称して戦神を倒しているという事実を知っているので、質問をした神はそれが難しいことを知っていた。知ったうえで、自分たちで何とかしたかったので、あまり納得はしていなかった。


「なら呪いとかをかければいいんじゃない」


「これもまた神の力を弾くほどの気を纏っているので掛けられないです」


 余り何も知らない神が納得していない神のために助言しようとしたが、自分たちの力だけで何とかするという神達をただ諦めさせるだけに終わった。しかし、神は損な表情を浮かべる神達を見て少し面白がっていた。


「というわけで、ほとんど効果が薄いので、最近流行っている地球から異世界召喚をしてこちらの世界の人間を連れて行く召喚に巻き込ませて、この世界から追放することにしました」


「異世界に行かせたとしても、あれほどの力があるんだ。普通に戻って来るのでは?」


「はい。簡単ではありませんが、いまだ増している彼の力なら現時点でも可能でしょう。ですので、彼に飽きさせない星を選び、その星に興味を持って遊んでもらいます。その間に彼をどうにかする作戦を練る時間を稼ぐという作戦にしました」


「本当に大丈夫なのか?」


 今まで作戦が失敗しているせいで、次の作戦が上手くいくのかが不安になっていたので、不安を解消するために再び神に聞いてみた。


「時間を稼ぐくらいなら問題はないと思います。辺境の星ではありますが地球が分子かと思うくらいの比べ物にならない広さの星ですからね。彼にとっていろんなが未知の力があり、しばらくは飽きることはないでしょう。彼を何とかする作戦はある程度は浮かんでいますが、さらに万全を期すため他の神の知恵を借りれば、必ず彼をどうにかできると思います」


 神はこれから練る作戦が失敗するとは思ってなかった。それに加え念のためにさらに複数の作戦を用意して練れば大丈夫だと判断していた。もし、失敗するならばもう我々神が考える程度の作戦でも彼を倒すことは出来ないと思っていた。


「分かった。君は作戦を引き続き頼む。私も力をだそう」


「では、力が必要な時に私から声を掛けます」


「一応俺も作戦には協力する。俺はこれで」


「私も帰る」


「じゃ、また今度ねー」


 暇つぶしに来ている神以外の神々は協力を約束して、今回の集まりはこれで終わりだと悟り、自分の居場所へと戻っていった。一人この場に残っていた神は自分の居場所には戻らずに、ある場所に寄り道をしていた。


「彼に対抗するための何か考えておいてくれる」


「えっ、また私」


 神は自分の仕事に集中していたところに再び神がお願いしに来たのに驚いていた。


「やってくれるよね」


「はい」


「じゃね」


 要件を伝え確認が取れた神は早々にこの場から離れて何処かへと消えて行った。


「はぁ~」

 

また深いため息を吐きつつも、作戦を練ってくれる優しい神だった。


(うーん。今度はその彼に会いたくなってきたな。面白そうだし、今度会ってみるか)


面白いことがないか悩んでいた神はみんなが話題にしていた熊捕という人間に興味が湧いていた。



○白い空間の中では二年の月日が経とうとしていた。


 長すぎ。あれから二年が経つけど、何も起きない。まぁ、俺の中では数年程度はもう大した時間ではないけどな。(強がり)それよりも、俺の身長が少し伸びたことのほうが気になるな。違和感がありそうだけど、数ミリの誤差だ。気付く人は少ないだろうということで忘れよう。


 荒木は転生して肉体は捨てていたが、その転生する間に意識はあったため肉体を鍛えられない代わりにその神の攻撃を凌げる莫大な気を鍛え数倍に上げている。そのため、荒木は二年経ち背が伸びているが実際は若さを保つ気の影響により成長速度が遅くなっており、年に数ミリ程度しか背を伸びていなかった。荒木も身長が伸びないのは親が心配するため、若さを保つ気をコントロールして消してはいるがそれでもなお普通の人よりも成長の速度が遅く、数センチ伸びたところで157センチと高校生の割に背が低くなっていた。伸ばしたいのはやまやまだがさすがにみんなは1日しか立っていなと思っているなか。身長が伸びているのは不自然と思いその成長促進を止めていた。


 しかし、誰かは分からないが学校の人たちに掛けているこの時間停止は便利だな。時間が固定されて成長も思考も何もかも止まっているからな。気で時間停止が出来るように鍛えれば俺なら時間停止を使えるようになるかな。


 荒木は個なら地球の頂点くらいの強さになっているのを自負している。しかし、自分よりも強い個が地球ではなく、地球以外の世界例えば宇宙に強い個がいるのではないかという可能性や、みんなが協力して戦いを挑んで来た場合、地球の全ての生き物が協力して戦えば負けるだろうという予測も立てていた。その予測に負けないためにも強くなるため、日々新しい鍛錬方など自分を強くするために考える癖が身についていた。さらに、この2年間は暇になったので色々と修行をしていた。


 それにしても、出来れば調理された肉がいいけど、最悪生でもいいから肉が食べたいな。気で水や植物系の物は作り出せるが、ちゃんとした肉は今の所は作れないからな。そこは我慢するしかないか。これも出来るようになれるのかな。出来たらもう神だな。


 荒木はそんなくだらないことを思いながら、暇を潰していると、移動した四角い空間が止まったその瞬間みんなが再び白い光に包まれて瞬間移動し始めた。


 ようやく、これを仕組んだ奴の移動先に着いたか。まぁ、どこに連れていかれても問題はないと思う。が、どこに出現されるか分からないから、一応みんなと同じような形で地面に寝転がって寝た振りをしておくか。


 荒木は瞬間移動している間すぐに胡坐をかいていた体制を崩してみんなと同じように寝ている振りをしてそのまま誰かが仕掛けた瞬間移動に身を任せた。


 そして、瞬間移動を終えた。


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